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ラフマニノフ「リラの花」

ロシア出身の作曲家、セルゲイ・ラフマニノフといえば、胸に訴えかけるような抒情的な楽曲が多いのが特徴的。

その重厚に折りかさなる和音、身体の中にまで染みわたる、光沢のある旋律は、ラフマニノフが幼いころから耳にしてきた、教会の鐘の音が源泉になっていると言われます。

鐘、といえば、フィギュアスケートのフリー曲でも扱われたことのある、前奏曲『鐘』が、まさにラフマニノフの曲ですね。

空に鳴りわたる鐘の音のように、おなじモチーフが繰り返されるところにも文学的な雰囲気が匂いたつ、ラフマニノフを語るに欠かせぬ名曲です。

一方で、ピアニストとしても優秀だったラフマニノフは、甘美でロマンティックなピアノ協奏曲も、数多く作曲しました。そのなかに「リラの花」という歌曲があります。

これは彼が従姉のナターリヤ・サーチナと結婚したときに作った曲と言われ、この曲が知られるとともに、「ラフマニノフと言えばリラ」と言われるほど、リラは彼を象徴する花になりました。

ちなみに「リラ」とは「ライラック」のことです。

さて歌曲、とご紹介したように、この曲にはエカテリーナ・ベケートワによる美しい歌詞がそえてあります。

季節には少し早いですが、初夏を思わせた週末の陽気に、ぴったりなこの花を。今日もいちりんあなたにどうぞ。

朝はやく 夜が明けるとき
露に濡れた草をかき分けて
私はさわやかな朝の空気を吸いにいく
かぐわしい木陰
リラの花が咲き群れる場所
私はそこへ自分の幸せを探しにいく

人生にはたったひとつの幸せがあり
私はそれを見つけたい
そしてその幸せはリラの花の中にある
緑の枝の上、かぐわしい花房の中に
私のささやかな幸せは花開いているのだ

「リラの花」エカテリーナ・ベケートワ

ライラック 花言葉「思い出」

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