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五月になりました

霜なくて曇る八十八夜かな
正岡子規

五月になりました。朝からあいにくの雨でしたが、今日は「夏も近づく…」の歌でも知られる、八十八夜。これは立春から数えて八十八日目にあたる雑節(日本特有のもの・農耕や生活に必要とされる目安)で、種まきや茶摘みを始めるのに適した頃としています。

「八十八夜の別れ霜」ともいい、この頃に降る霜をさいごに、ようやく冬の名残りともお別れですよ、という知らせです。

日本語、とりわけ俳句の季語には、「春の終わりを惜しむ」ことばが豊かなように思います。別れ霜もそうですし、逝く春、春の別れ、暮春、惜春など、煩雑なようでありながら、どの季語にも、過ぎ去ろうとする春への愛惜や、名残り惜しさ、余情がみてとれます。

私は俳句はつくりませんが、植物をそばに仕事する身の上、季節をあらわす言葉への愛着は、年々深まるばかりです。いっそこのまま、腰を据えて学に耽りたいと思うほど。

それにしても冬との別れには、冬を「やっと」見送ったといった安堵がありましたが、春の終わりは、自分の心の中にて、暮れかぬる春の遅日を見るみたい。なかなか暮れないしまらない。

そんな春と呼べるのも、暦の上ではあと四日。春のなごりと夏のきざしが行き帰する季節は、花も群れたり離れたり。さあ五月、よい月にしましょうね。今日もいちりんあなたにどうぞ。

カイドウ 花言葉「温和」

夏も近づく八十八夜

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