大村早紀

表現者 / 博士(工学) / 日々の思考を言語化可能な範囲で記録しています。

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2024-01-28 「客観」と「主観」

「客観」とは、「主観」と対をなすものではない。 「ある似た主観」を持った個人が一定数以上集まったとき、 その「主観」が、その集団において、「客観」と呼ばれる。 「客観」や「普通」は、その個人が思い描く集団によって異なる。 各個人の中には、あくまで各々の「主観」しか存在しない。 ただし、科学的根拠に基づく内容については、本主張の限りではない。

    • 2024-02-02 かぎ針編み

      1本の糸を、先端がかぎ状になった針で操り、立体物を造形していく。 左の手指で糸を手繰り、糸の張力を調整する。 そして、右の手指と針で糸を引っ掛け、引き出し、編む。 1目1目、理想的な編み目を造形するために、 両の手指と針先に全神経を集中させる。 1本の糸でも、位置によって異なる癖や太さを持つ。 繰り出す糸の状態を左手で確認しながら、右手に送り出す。 編み進めるとともに、その糸の性質を理解していく。 かぎ針編みは、糸との対話である。

      • 2024-01-31 色

        色は、光である。 昼の光の中では色とりどりの視界も、 夕焼けの光では青みを失い、 暗闇では全て黒く見える。 赤い物体は、絶対的に「赤い」のではなく、 赤い光のみを反射するために、赤く見える。 赤い光が無い世界では、赤い物体も赤くは見えない。 液晶などの光源は、反射ではなく、色の光を放つ。 そのため、暗闇の中でも、色鮮やかに目に映る。

        • 2024-01-26 柱

          日本の建築の要は、柱である。 建物が「建つ」。 木や人が「立つ」。 どちらも同じ、「たつ」という音を持つ。 建物が「建つ」と聞くと、 直線的な物体が垂直に「立つ」という印象を持つ。 「建つ」とはすなわち、柱が「立つ」ことである。

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        2024-01-28 「客観」と「主観」

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          2024-01-24 根

          植物の根は、建築の基礎と同等である。 建築は、上部構造を建てる前に、基礎工事を行う。 植物は、発芽の前に、発根する。 地盤面より上へ向かって構造物を成長させるためには、 何らかの形で構造物を地盤に固定する必要がある。 上部構造、すなわち茎や幹の規模が大きいほど、 地盤の中では大規模な下部構造、すなわち根が展開されている。

          2024-01-24 根

          2024-01-22 落ちる

          木から林檎が落ちる。 蛇口から水滴が落ちる。 空中へ跳び上がった自分が落ちる。 今日も確かに、空中の物体は地面に向かって落ちる。 今日も確かに、全てに重力は働いている。 この事実だけは、今日も真実である。

          2024-01-22 落ちる

          2024-01-20 夏目漱石『こころ』

          Kの自殺は失恋によるものではない。 失恋は、Kの中でこの世を去る思考が始まったきっかけに過ぎない。 学問に生きる理由を見出していた優秀な学徒が、 初めて異性へ好意を持ち、浮ついている自分に戸惑っていた。 そのとき、懇意にしていた友人がその異性と結婚すると聞き、 友人やその異性に対して不愉快な感情を持つ自分を目の当たりにした。 学問に邁進する高尚な自分が、他人への(特に色恋が絡む)感情という、 生産的でない、説明のつかないものに精神を支配されている。 生きる理由であった学問

          2024-01-20 夏目漱石『こころ』

          2024-01-17 言葉

          定量的な内容以外の言葉はまやかしである。 まやかしであるからこそ、言葉は独自の世界を創り出す。 そして、同じ言葉から引き出される世界観は、各個人で全く異なる。 ただし、声は言葉以外の情報を持つ。 感情は言葉ではなく、音として表れる。

          2024-01-17 言葉

          2024-01-16 立方体

          立方体が一番美しい。 中身が密実な立方体を想像する。 6の正方形の面、8の鋭利な頂点、12の真っ直ぐな辺。 そして、確かな重量を感じる。 中身が空虚な立方体を想像する。 さらに、面を取り除いた骨組みの姿を想像する。 途端に、軽やかな佇まいになる。 しかし、確かにそこに立っている。

          2024-01-16 立方体

          2024-01-15 ガール水道橋

          ガール水道橋が一番美しい。 学生時代、西洋建築に関する参考書の中で出会った。 訪れたことはないが、その姿を何度も頭の中で思い描いている。 石積みの柱と3段のアーチ構造、川の上部を跨ぎ横切る直線。 水道橋という明確な目的の下、僅かな傾斜によって静かに水を運ぶ。 公共の構造物では合理性が優先され、簡潔で美しい構造となりやすい。 まさに美の本質、構造美である。

          2024-01-15 ガール水道橋

          2024-01-14 方眼編み

          方眼編みが一番美しい。 かぎ針で、長編み1目、鎖編み2目をひたすら編む方眼編み。 編む糸自体の美しさを全面に引き出してくれる。 布とは違った糸の立体感、すなわち糸の光沢と影を感じられる。 毎日、凝りもせず方眼編みをしている。 編む度毎に、糸の美しさに感動を覚える。

          2024-01-14 方眼編み

          プロフィール

          大村 早紀 表現者 / 博士(工学) 【学歴】 2019.3 京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程 修了 博士(工学) 2017.3 京都大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程 修了 2015.3 京都大学工学部建築学科 卒業 2011.3 徳島文理高等学校 卒業 【賞】 日本建築学会 2020年日本建築学会奨励賞 「大垂壁を有する伝統木造建物の耐力および崩壊形の簡易推定式の提案」

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