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遠回りの理由はなんだ

「たださ、紆余曲折の中の山あり谷ありのジェットコースターは具体的すぎるくらい具体的なんだけど、そのジェットコースターの乗り方については大きく具体性を欠いているわけよ・・・SUPER BEAVERってこれまで一つとしてロジカルに時間を過ごしてきてないじゃん?マニュアルになり得る事例が一つもないっていうか。全てにおいて、人、気持ち、以上。みたいな」
・・・ロジカルに生きてこられていたならこんな軌跡は辿らなかっただろうし、そもそもうまく進むこと以上に、楽しく進むことを優先してきた・・・笑ったり泣いたりした。楽しいだけではなかったから余計に愛せる日々だ。」
『都会のラクダ』より抜粋(2021年11月26日発行 著・渋谷龍太)


これ、全てにおいて言えるなと、そう思った。

少し要素が混濁してはいるが、
努力すること/全力でやること/泥臭いこと/苦手と対峙すること/
なんだか根性論だなぁ、とクサくて恥ずかしくなってしまうようなこと、
その辺りに普遍的に言えるものがこの一節にある気がした。


私は昔から何事にも全力になってしまう性分で、

”想い”とか”根性”だけでなんとかしてきて、

その度に「あぁ、もっとスマートにやる方法はなかったのか」
なんて思ったりもして。


そういう時に、とりあえず自分を納得させる言い訳として、
「頑張ったら報われた瞬間や完成した瞬間の達成感、喜びが倍増するんだ」
と、理解するようにしていた。


事実その要素がゼロではないし、
何かの大会・イベントを一緒に頑張る仲間がいるような場合は、
同じ苦楽を乗り越えての本番の一体感・感動はひとしおだ。

しかし、
その一方で、
辛い時期と報われた瞬間の落差を感じたいから頑張るのか?
と思うと、それもなんだか違う気がした。


わざわざ感動を増幅させたいがために、頑張っているんだろうか。
そんなに刺激が欲しいのか?


正直、一体感や感動なんていうものは確かに思い出にはなるが、
自己満足と言えばそれまでという気もする。

自分に聞いてみても、
「自己満足したいから頑張っているわけでもない」
そういう返事がやってきた。


その一瞬のためだけに頑張れるほど、我慢強くもない。



加えて、最終的に同じアウトプットになるならば、
しっかり最短ルートを組み立てて、
ショートカットしてたどり着いた方が良いに決まっている。

時間も無駄じゃないし、労力も使わない。効率的だ。


ではなぜ、あえて全力でやったり、最低限以上のことをしたり、遠回りしたり、向き合わなくて良いことにも向き合ってみたり、本気で闘ったりするのだろう。


どうにも説明がつかなかった。


そうモヤモヤしていた時に、引用した本の一節に出会った。
驚いた。

これだ、と。


私は最終的な結果にばかり目を向けていたから、
”一瞬の達成感や喜びのためになぜ頑張れる?”と迷宮入りしていたのだが、

そもそもそれが間違っていた。


私が大切にしたかったのは、結末だけではない。

大事なのは、そこに至るまでの過程だった。

そして、結果に対する快楽(感動や高揚感といったもの)を求めているのではなく、過程における学びを求めていた、ということならばこれまでの違和感に説明がつく。


本気で苦しんだり、悩んだり、失敗したり、寝不足になってうとうとしながら頑張った日々。

その中で知り得た新しい自分の感情や、人との出会い、触れてこなかった分野への知見、記憶に残る景色、そういったもの全てから何かを学んでいる、財産になっていると、無意識にどこかでメリットを感じていたのだ。


遠回りしないと、出会えなかったこと・もの。

それがとても愛しくて、宝物なのだ。


贈与の話でも、
ストーリーが大事、という話があった。

同じ時計でも、誰かからプレゼントされた時計と、自分で買った時計とでは価値が違う。

プレゼントを失くしてしまって慌てて同じものを買っても、もうそれは以前と同じ価値はない。
 
手元に届くまでの、ストーリーが抜け落ちるからだ。
 
 
何かを目指して力を出し切るということは、すなわち省エネをしたら見られなかったストーリーを見ることである。

 
遠いなぁ、無駄になるかもなぁ、なんて思いながら歩いていく道中自体を、
私は楽しんでいる
んだと思う。


だから今後何がどうということではないのだが、腑に落ちないことが一つ腑に落ちた感動をそのままに。


SUPER BEAVER、ありがとう。


【ちなみに】
もちろん、なんでもかんでも遠回りしたいわけではない。
遊園地に行ったら普通に並ぶのではなくショートカットで乗れるチケットがあればそれで乗りたい。
鈍行より新幹線でささっと行きたい。

しかし考えようによっては、並んでいる時の友達との会話が楽しかったり(むしろアトラクションは付属品くらいの勢い)、鈍行の車窓から見える景色が素晴らしかったり、そういうこともある。

そんな曖昧なことをぽやぽやと思いながら。

どっちが良い・悪いの世界ではないから、
結論は特に書かないnoteでご容赦いただきたい。

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