見出し画像

デジタルプロダクトデザインにおける「質」と「スピード」~ SaaS Designer Advent Calendar 2023 1日目 ~

どうも!今回はSaaS Designer Advent Calendar 2023の1日目の記事です。

ソフトウェア開発の「質」と「スピード」は @t_wada さんのスライドがとても有名です。

では、ソフトウェア開発の中でデザインにフォーカスするとどうでしょうか?
デザインにおいても、質とスピードは常に対立する要素のように見えます。しかし、両者を対立構造として捉えずにどちらも大事にしていくことで、非常に効果的な成果を生み出すことができると考えています。

本記事ではデジタルプロダクトデザインにおける「質」と「スピード」について私なりの考えをお伝えしたいと思います。

デザインプロセスをFreeform DesignとStructured Designの2つのフェーズとして捉える

デザインをする流れの中で、デザインのポイント、コミュニケーション、ステークホルダーは変わっていきます。このデザインにおける必要な要素をFreeform DesignとStructured Designの2つのフェーズに分けてみましょう。

DesignをFreeform DesignとStructured Designに分ける

Freeform DesignとStructured DesignはFigmaの思想にある考え方で、Figmaのカンファレンスでも紹介されています。

Freeform DesignとStructured Designの定義はざっくり下記の通りです。

  • Freeform Design

    • アイディアを出し、デザインを作っては壊す。どんなデザインがベストなのかを固めるフェーズ

      • デザインは手書きでもよく、デザインの方向性、可能性を見つける

  • Structured Design

    • デザインを整理し、より実装に落とし込みやすいようにするフェーズ

      • デザインの案を実装できる形にする

Freeform Designではスピードを、Structured Designでは質を上げる

手書きのようなデザインから段々とデザインを固めていき、実装に落とし込まれるまでの間でデザインが完成していきます。Freeform DesignとStructured Designのフェーズをキッパリと分けるのではなく、グラデーションのようにフェーズが進行していきます。

Freeform DesignとStructured Designの流れの中でデザインが固まっていく

Freeform Designの段階では手書きのスケッチや初期のモックアップを用いて、PdMと一緒に機能のアイディアの広がりを探ります。重要なのは、さまざまなデザインの方向性を迅速に試し、最適な解決策を見つけることです。この段階ではデザインの質よりもスピードが求められます。質が高いデザインを1つ出すよりも複数のデザイン案を出してPdMやエンジニアと共に機能デザインをしていきます。

Freeform Designで得られたインサイトをもとに、Structured Designフェーズではデザインを洗練させ、実装に向けての詳細なプランを立てます。この段階でのデザインは、より具体的で、技術的な要件に沿った形になります。
Freeform Designでスピードを上げて方向性を確立したことで、Structured Designフェーズではデザインの質を上げることができます。

Freeform DesignフェーズとStructured Designフェーズにおけるコミュニケーションが、質とスピードを保つ鍵です。デザイナーは、自身のクリエイティブなアイデアをPdMやエンジニアなどのメンバーと共有し、各フェーズでデザインを武器にしてコミュニケーションを取り、さまざまなメンバーのフィードバックを受け入れることで、デザインの実現可能性を高めていきます。

まとめ

デジタルプロダクトデザインにおける「質」と「スピード」をFreeform DesignとStructured Designに合わせて説明しました。このプロセスの中でデザインシステムを活用することもできると思います。生成AIをうまく活用すればFreeform Designのフェーズの速度は爆速になるかもしれません、生成AIで出力したものをStructured Designのフェーズでプロダクトに合うように質を高めればいいのです。

それぞれのフェーズでどのような協力ができるでしょうか?
「質」と「スピード」を両方担保できるようなデザインプロセスや仕組みづくりは各フェーズを言語化していくことで改善点が見えてきます

日々デザインをする中やプロセス改善のヒントになれば幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?