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思春期の水曜日

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毎週水曜日に更新中の『思春期の水曜日』のまとめになります。
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記事一覧

思春期の水曜日 其二四

 女子たちが同性の学級委員を虐め始めているのは、男のオレにもわかった。原因が、彼氏がヤン…

坂木陽介
2日前

思春期の水曜日 其二三

 随分と格好悪い彼氏を持った。それが私の正直な感想だった。女子がこぞって学級委員に難癖つ…

坂木陽介
9日前
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思春期の水曜日 其二二

 昼休み終了と同時に、学級委員は別々に、二人とも教室に戻ってきた。そして何事もなかったか…

坂木陽介
2週間前

思春期の水曜日 其二一

 昼休み終了間際、女子の学級委員が教室内に戻ってくると、女子たちは一斉に白い目を向けた。…

坂木陽介
3週間前

思春期の水曜日 其二〇

 青天の霹靂だった。学級委員カップルの話も徐々に静まってきた昼休み、俺はスマホで衝撃的な…

坂木陽介
1か月前
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思春期の水曜日 其一九

 一限の数学が終わった。噂話が駆け巡る時間は、少しずつ冷めていっている。短時間での、次の…

坂木陽介
1か月前

思春期の水曜日 其一八

 前席の女子が、学級委員との紙片のやり取りで一喜一憂している。  他人の恋路に一喜一憂するなんて、くだらなくて幼い――――とは言えない。おれも、一喜一憂した人間の一人だ。何故なら、おれも女子学級委員に恋していた者だからだ。手を繋いでの登校風景を見て、おれは傘を落とし、しばらく呆然として動けなかった。雨に濡れ、涙を流し、立ち尽くした。同じ思いを味わった生徒は、男女双方に何人もいたはずだ。  あの二人は、あらゆる要素に恵まれた存在だ。整う姿、文武両道の実績、人望、芯の強さ……今の

思春期の水曜日 其一七

 学級委員の二人に質問攻めをかけた、私も含めた生徒は、程なく教室にやってきた数学教師の一…

坂木陽介
1か月前

思春期の水曜日 其一六

 隣席の男子がとてつもなく変な題名の本を読んでいる。しかもそれでいて、題名だけは知ってい…

坂木陽介
1か月前
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思春期の水曜日 其一五

 進路希望になんと書いていいか、僕には全く見当がつかない。学力も平均、対人関係も苦手、打…

坂木陽介
2か月前
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思春期の水曜日 其一四

 進路希望記入用紙が配られて、何人かは迷わず説明途中でも記入している。しかし大半の人間は…

坂木陽介
2か月前

思春期の水曜日 其一三

 今の俺は、視力だけはいい。スマホ、PC、タブレット全盛の現代において、視力だけは2.0より…

坂木陽介
2か月前
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思春期の水曜日 其一二

「何か言った?」  後ろに座る男子生徒を座ったまま振り返り、あたしはそう尋ねた。しかし、 …

坂木陽介
3か月前

思春期の水曜日 其一一

 HRの最中、学級委員二人の手によって、進路希望の用紙が配られていく。噂の渦中にいる二人の様子に、これといった変化はない。人間観察を趣味とするオレにも、事の真相はわからない。  オレの趣味は演劇で、劇団にも所属しているが、これといった「芽」は出ていない。同じ劇団の同年代が、TVに出た、舞台に立った、という話を聞く度に、己の才能の無さを痛感してきた。  しかし、それは本当に才能の不足が原因なのか?稽古中にそう問われた時に、自分の努力が有意義かどうか、わからなくなった。  改めて