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「作る曲がどれも似たようなものになってしまう」という状態を回避する案

曲作りに取り組む中で、

「作る曲がどれも似たようなものになってしまう」

という悩みを持っている人は多いはずです。

こちらでは、その「似たような曲」を避けるための案をいくつかご紹介してみます。

「似たような曲」を避けるためには曲が持つ要素を変えるのが効果的で、ここではより詳しく、どんな要素を変えるべきかというところに絞って案を挙げていきます。

※当記事はこちらのポッドキャストの内容を編集/再構成したものです。


[1]リズムを変える

まずひとつ目に挙げられるのが、「曲のリズムを変える」という案です。

具体的には、

  • 8分音符主体の曲をよく作る→今回は16音符主体の曲を作ってみる

  • 4拍子の曲が多い→今回は3拍子にしてみる

  • 「タンタンタン…」というストレートなノリを持つ曲ばかり→「タッタ・タッタ…」と跳ねるようなリズムを持つ曲を作ってみる

などのやり方がそれにあたります。

これを作曲のたびに考えて、リズム面での方針をきちんと練ってから曲作りに取り掛かると、基本的な曲調は変わってくるはずです。

[2]テンポを変える

ふたつ目に挙げらるのが、上記で述べた「リズム」にやや近いものとして「テンポを変える」という案です。

これは例えば、

  • 前回の曲がアップテンポな曲だった→今回はすごくゆったりしたスローテンポな曲にしてみる

  • いつもBPM=100程度の曲ばかり→今回はBPM=150くらいまで速くしてみる

などのやり方を指しますが、根本的な曲のノリが変わらないと「似たような曲調でテンポを速めただけ」というような仕上がりになってしまうことも多いため、この点については前述した「リズム」のバリエーションと掛け合わせるのがより効果的です。

また突っ込んでいうと、例えば

  • ミディアムテンポで曲を作ろうとする場合自然と8分音符主体のリズムの取り方になる

  • スローテンポでは自然と16分音符主体のリズムを選んでしまう

などのように、テンポによってそれにはまりやすいリズムがあるため、その両方を考慮しながら(掛け合わせながら)それまでにない曲調を探っていけると理想的です。

[3]キーを変える

三つ目に挙げられるのが「キーを変える」という案です。

この点について、最も速効性があるのは「メジャーキー」「マイナーキー」を切り替えるやり方で、例えばいつもメジャーキーの曲ばかりを作っているとしたら新たにマイナーキーの曲に挑戦してみることなどが検討できます。

そもそもメジャーキーとマイナーキーではそのもとになるメジャースケール/マイナースケールの構造が違うため、その部分を変えることが「曲から感じられる雰囲気を変えること」に直接つながります。

また、ひとそれぞれに「作りやすいキー」があるもので、例えばいつも「Cメジャー」で曲を作ってしまうなら、意識的に馴染みの薄いキーを選んで、例えば「A♭メジャー」や「Eメジャー」などで曲作りを進めたりすることもできます。

馴染みの薄いキーを選ぶことで、特に作曲において扱われるコードのメンバーが大きく変わるため、いつもにない感覚で作曲に取り組むことができるようになって、それが曲調の違いを生み出します。

ただ、単にキーを変えたとしても同じメジャーキー同士であれば構造は変わらないため、「キーは変えてるけどやってることが同じ」という結果になってしまうことも多く、その点には注意が必要です。

[4]コード進行の構造を変える

上記で述べた「キーは変えてるけどやってることが同じ」という状態を防ぐ意味で、次に「コード進行の構造を変える」というやり方も案として挙げられます。

これは、前提として「一般的なコード進行がどのような構造によって成り立っているか」という点を理解していないと実施できない方法だといえますが、例えば、日常的に「キー=Cメジャー」の曲作りにおいて

「C→F→G」

のようなコードの流れをよく使っているとして、これを

「Cメジャーダイアトニックコードの『I→IV→V』」

というように構造で捉えることができていると、他のキーによる作曲に取り組む中で

「『I→IV→V』にならないように、別の構造を持ったコードの展開にしよう」

というような選択ができます。

既に述べた「メジャー」「マイナー」の例のように、構造が変わると曲が与える印象は必然的に変わるため、作る曲のバリエーションを本気で追求するうえではやはりそのあたりの理解を深めていくのが一番望ましいといえます。

[5]メロディの構造を変える

上記に近いものとして、「メロディの構造を変える」という案も挙げることができます。

ひとそれぞれで「よく作ってしまうメロディの形」があり、なにげなくメロディを考えると無意識のうちにその好きな形を繰り返してしまうことも多いため、そこで前述したコードと同じく構造的な視点を持って、主に

  • どんな音を使うか

  • どんなリズムを持たせるか

  • 音をどう進めるか

  • どんな大きさでどう置くか

などを念頭に置きながらメロディを組み立てていくことで、似たような雰囲気を避けていろいろなタイプのメロディを生み出すことができるようになっていきます。

これを理解するためにはヒット曲のメロディをメロディ譜を見ながら分析するのがおすすめで、いわゆる一般的に考えられる「良いメロディ」がどうような構造によって成り立っているかを紐解くことで、メロディ作りをより柔軟にコントロールしていけるようになります。

[6]曲の構成を変える

最後に挙げられるのが「曲の構成を変える」という案です。

これは、例えば

  • 毎回「A→B→サビ」のような展開ばかり作っている→「A→サビ」の展開にしてみる

  • サビから始まる曲を作ってみる

などのように、ブロック(セクション)の構成に意識を向けたり、また

  • 今回のBメロはすごく短くする

  • 「1行×2」のような構成でブロックをまとめがちだから「1行×4」を盛り込んでみる

などと、ブロックの中身に変化をつけることなどを指します。

上記で述べた、

  • リズム

  • テンポ

  • キー

  • コード進行の構造

  • メロディの構造

  • 曲の構成

などを踏まえて、例えば「リズム/テンポ/コード進行の構造」の三点を前回の曲とは違ったものになるように作り込むだけでも、十分に異なる雰囲気を持つ曲としてそれを聴かせることができるはずです。

これを含め、曲作りの前にはある程度の方針を立てて、「リズムは〇〇で、テンポは××な感じで…」というように毎回の作曲でそれぞれに違った要素を盛り込むようにすると、、冒頭で述べた「作る曲がどれも似たようなものになってしまう」という悩みは回避していくことができます。

また、そもそも「作る曲がどれも似たようなものになってしまう」という状態のすべてが悪いわけでもなく、そのひとならではの統一された曲調があっていい、というのが私の考えです。

自分の得意な音楽性や曲の雰囲気は大切にしつつも、その中でバリエーションを聴かせるように取り組んでいけるとより望ましいです。

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