見出し画像

「作曲が上手くなるひと」がこなしている上達のサイクル

作曲が上手くなるひとのほとんどは、共通して似たようなサイクルをこなしています。

これを私は「作曲上達のサイクル」などと呼んでいますが、このサイクルは文字通り「繰り返される循環的な行動」で、その好循環によって作曲技術がスムーズに向上していきます。

こちらでそのあたりについて書いてみます。

※当記事はこちらのポッドキャストの内容を編集/再構成したものです。


「上達のサイクル」の概要

冒頭で述べた「上達のサイクル」にあたる行動とは、具体的には以下のような順番で行われる取り組みを指します。

  1. 曲を分析する

  2. 分析で得たものをもとに曲を作る

  3. きちんと曲を作りきって達成感と自信に包まれて自分を誇る

  4. 新たな曲調に挑戦するための方針を定める

  5. (1に戻る)

それぞれについて簡単にまとめます。

ステップ1:曲を分析する

まずひとつ目の「曲を分析する」はその名の通り「曲を分析的な観点から紐解く行為」で、これによって一般的な音楽の構造が見えます。

「分析」ときくとすごく大変なことのように感じられますが、特に初心者のうちはそこまできちんとしたものではなくても、曲の中身をざっくりと把握する程度で十分です。

【メモ】曲を聴きながら、そこにあるメロディ/ハーモニーの雰囲気や構成をなんとなく理解して、「ああこんな感じになっているのか」という程度の認識が持てればまずは問題ないです。

ポップス・ロックのボーカル曲を前提とすると、特に作曲に慣れていない頃は「弾き語り」を通じて一般的な曲の構造を知ることがおすすめです。

複数の曲を弾き語りしていると共通の要素が見えてくるもので、

  • 標準的な楽曲がどのように成り立っているか

  • 標準を応用するうえではどのような点にアレンジが加えられているか

などが、なんとなく理解できるようになっていきます。

もちろん、コード譜を読み解いたり、メロディを楽器で演奏したりDAWに打ち込んでみたりすることもその詳細を知るために効果的です。

いずれの場合にも、「どんなものを作るべきか把握する」ということを意識しながらこのステップに取り組んでみて下さい。

ステップ2:分析で得たものを元に曲を作る

次に、分析で得たものを参考にしながら曲を作るステップに入ります。

これは、簡単にいえば分析した曲を真似して曲を作ることを指しますが、この段階でも「分析の結果をきちんと曲に反映させなきゃ…」と真剣に取り組むというよりも、もっと気楽な姿勢で

「あの曲のあんな感じになるように、なんとなく真似してやってみよう」

とアプローチするのが望ましいです。

より具体的には、ステップ1で分析した曲のコード進行を真似してみたり、メロディの雰囲気をなんとなく近づけたり、また曲の展開や構成をそのまま流用することなどが考えられます。

さらには、この「真似する」というやり方は、作るべき内容に悩んでしまうようなときにも重宝します。

曲作りの中で判断に迷ったり、「ここからどう進めればいいのか分からない」と感じてしまうようなときには、「あの曲はどうなってるかな?」という観点から、分析した曲の状態を参考にしながら進めていくのがおすすめです。

ステップ1で作曲レベルに応じた分析ができてさえいれば、このステップ2でも滞りなく曲作りを進めていくことができるはずです。

ステップ3:きちんと曲を作りきって達成感と自信に包まれて自分を誇る

次のステップとして「曲を作りきる」ということ、そしてそれを通じて達成感に包まれて自信をつけて自分を誇る、というところを目指します。

この部分をひとつのステップとして抜き出したのはやはり作曲上達を目的とするうえで「曲を作りきる」という行為がとても重要で、実際に上達するひとのもれなく全員が必ず曲を作りきっているからです。

この「曲を作りきること」が重要である理由はいくつか挙げられますが、特に「達成感」や「自信」のところが大きいです。

曲を作りきると、

  • 「やった、1曲完成させることができた!」

  • 「自分でも曲を作れるんだ」

  • 「結構良い曲になった、自分はやっぱりセンスあるのかも?」

などと考えることができて、大きな達成感が得られて自信が身につきます。

作りきった1曲が確かな作曲の実績になり、またそれを通じて生まれた自己肯定感的なものが「作曲楽しい」という気持ちになり、それが作曲の意欲や向上心につながっていきます。

特に「結構良い曲が作れたなあ」という感覚はいわば「自画自賛」ならぬ「自曲自賛」の行為といえますが、それがあると上達が加速していきます。

【メモ】自分だけでひそかに自分を褒めるだけなら他人には迷惑がかからないため、むしろ大いに褒めてあげてほしいです。

達成感も自信も自曲自賛も、すべては曲を作りきってこそです。「上達のサイクル」のひとつのステップとして、必ずこの「曲を作りきる」というところを意識してみて下さい。

ステップ4:新たな曲調に挑戦するための方針を定める

曲を作りきれたら、次なるステップとして新しい曲を作るための方針を立てます。

これも、ここまでと同じように「次はあの曲の感じをやってみようかな」という軽い感覚で新たな曲の雰囲気をイメージできればそれで十分です。

ここでポイントとなるのは、

「未経験の曲調やジャンルに挑戦する」

という点で、これによって作曲の幅が広がっていきます。

例えば、アップテンポな曲を既に作っていた場合には次なる作曲としてスローテンポな曲調に挑戦してみたり、またメジャーキーで成り立つ明るい曲を既に作っていたら新たな曲ではマイナーキーから成る少し暗い雰囲気の曲を作る、というような選択ができます。

その後:ステップ1に戻る

「上達のサイクル」として、上記4つのステップを経たあとには最初に挙げた「曲分析」に戻りますが、この時の分析対象としては、新たな曲の方針として定めていた曲調に近い曲を選びます。

やることは同じで、基本的には弾き語りをしたりコード譜を眺めたりしながらざっくりと曲の構造を紐解き、そこで得たものをもとに真似をするような感覚で曲作りに取り掛かり、きちんと曲を作りきる…、というステップを踏んでいきます。

サイクルを止めない

改めて「上達のサイクル」を以下にまとめます。

  1. 曲を分析する

  2. 分析で得たものをもとに曲を作る

  3. きちんと曲を作りきって達成感と自信に包まれて自分を誇る

  4. 新たな曲調に挑戦するための方針を定める

  5. (1に戻る)

このサイクルを回していくことで無理なく、かつ効率良く作曲の幅を広げていくことができますが、冒頭でも述べたようにこれらは循環させることで効果を発揮するため、特に「サイクルを止めない」というところを意識すべきです。

そのような意味からも「きちんと曲を作りきって達成感と自信に包まれて自分を誇る」という点が一番大事かもしれません。

※曲を作りきらないと上達のサイクルを回すことにならない(循環が止まってしまう)ためです。

作曲技術の向上を目指すうえで、ぜひ参考にしてみて下さい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?