見出し画像

さいたま国際芸術祭2023 世の中のノイズ ジム・オルークを聴いて思うこと

さいたま国際芸術祭2023のオープニングは、テリー・ライリーで、クロージングは、なんと、ジム・オルークのコンサートだった。

ぎゃああ、と、誰かが泣いている。
海の底で、遠くの空で、

静かに、椅子に座り、淡々と黙々と
パソコン画面に向かって、オフィスワークする。
椅子の軋み、その人は、ひたすら、目の前の仕事をこなしていく。外の風景は、どんどん変わっていくんだけれど。

ジム・オルークは、人が生きている時間と誰もみていないかもしれない風景やその中で聞こえるノイズを奏でているみたいだなあと思う。ノイズを含む環境音は、声を発していない人を含む音楽なんでは、と、ジム・オルークを聴いていると思う。遊びの部分もあり、音楽家の強い意志

「おれは、これが好きなの!!それは、嫌なの!!」

と、迷いなく発せられているので、いいなぁと聴いていられる。迷いのなさや発する強さは、なかば、たたかいのようでもあり、その強烈な風は、松丸契の音楽にも感じる。

だから、聴いていると、世の中の中に身を置いている気分になり、わたしもその中で生きているんだな、と、思う。

ジム・オルークのライブに行ってみたいと思っていて、ようやく行けた。ようやく観られた!!

と、思ったら、オープンにされた演奏後の楽屋でサンタ帽を被ったおじさまが、ニコニコして椅子に座っていたのですが、前日に行った会場にサンタ帽を被ったおじさんで、あれ??れれれ??昨日、おんなじ音楽を聴いていたのかと、じんわり、うれしかった。

2階会場内入り口に、枯れていく薔薇が展示されており、日に日に枯れて、白い綿毛となり、人知れず、花が変わっていくそれまでのこと、その前を通り過ぎていく人びとの音を感じていました。

迷路のような会場内を散策していたら、思いがけず、近藤さんに、また、ばったり会えてしまい、同時間に、ジム・オルークと居合わせた偶然がうれしかった。

インスタレーションや上映スペースもあり、てくてく散歩していたら、おんなじ角度で写真撮ろうとしていた、と、後に並んでいる人もいたりして、もふもふした床は、あったかい雪みたいな感触で、もふもふ歩いてくだり、行き止まりの先を行ってみたり……、地下の部屋も行ってみたり、夏はお化け屋敷にしたら、楽しそう、と、歩いてみた。

歩きながら、ジム・オルークは、案外、朗らかなお人だと思った。

例えば、目の前にりんごがあれば、かじってみたくなるもので、会場内の仕掛けを遊んでしまえ、と、せっかくなので、少し手を加えて、帰ってきました。変化に気づかれにくいことですが、美術で関われた方、気づかれたでしょうか……。

来年も楽しみです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?