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『ぼくの火星でくらすユートピア⑵』

《ユートピア》——扉を開けたなら爆発しそうな勢いで空気が入れ替わる。

車から降りたら目の前にはゴミ捨て場があるのは常の事情だ。大小高低関わらずとにかくゴミ捨て場はある。

僕は屑を捨てて車に戻った。

こいつとは長い付き合いになる。レンタルショップにしょぼくれていた最後のひとつだった。僕はね。ミッションの免許は諦めたんですよ。僕のね。教官は酷いもんでしたよ。ええ。そんでね。僕は止めたんです。つまりね。ええっとね。何が言いたいかって言うとね。僕はね。口下手なものだからね。いえ。とんでもなく上がってしまうんですよ。独り言はね。素直なんですがね。こうやって人と喋るとなるとね。上手く言葉が浮かんでこないんだからね。

僕はレンタルショップのイッカクに列記とした限定免許を見せたはずなんだが。どうしてかこいつが僕の相方だ。

しかしこいつは僕に上手く懐いてくれている。給油代はいつでも高くつくぞ。だから今日も古本屋へ向かう訳だ。

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