サトウ サコ

じゆうきままに。🔰note初心者🔰いつもは『小説家になろう』で児童向けノベルを書いてま…

サトウ サコ

じゆうきままに。🔰note初心者🔰いつもは『小説家になろう』で児童向けノベルを書いてます。ここでは思いついたことを思いついたままに書いてこーかな?と思ってます。

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  • 『うちの男子荘がお世話になります!』

    男子荘が!シリーズ

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    どうして繰り返している?何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も

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『うちの男子荘がお世話になります!』⑮(終)

〇EP14『すこしずつ』  翌朝、ゴミ捨て場に向かうと、同じくゴミ捨てをしていた東西くんに会った。 「おはよう」  声を掛けて行こうとすると、 「あ、晴さん」  と引き留められた。 「聞いた? 榛くんのこと」 「榛くん? 」  特に、なにも聞いてないけど。 「何かあったの? 」 「いやね、」  と東西くん。 「どういう風の吹きまわしか、榛くん、今晩、家族とご飯食べるらしいよ」 「急展開。何があったんだろう」  にんまりして、おれは言う。 「知らない」  東西くんは、おれの表

    • 『うちの男子荘がお世話になります!』⑭

      〇EP13『残された写真』  「ワタシの家族は、ワタシと、父と、母、3人家族でした」  お餅ちゃんのお父さんは動物雑誌の編集者、お母さんは動物の写真を撮影する写真家だった。 「こういうのを職場婚って言っていいんでしょうか、まあ、そんな感じの関係でした。実際に、母の撮った写真を雑誌で使うこともありましたし」  アフリカ、サバンナ……様々な国や地域に出掛け、写真を撮影していたらしい。 「凄いね」  おれが言うと、 「はい」  お餅ちゃんは、明るい顔でうなずいた。自慢のお母さんな

      • 『うちの男子荘がお世話になります!』⑬

        〇EP12『夜の訪問者』  午後8時。夕飯を終わらせ、ぼんやりする。隣りの部屋の生活音も聞こえはじめ、無事榛くんが部屋に戻ってきたことに安心していると、部屋をノックされた。チャイムがあるのに。  玄関を開けると、 「すみません、夜分に……」  お餅ちゃんが立っていた。  家にあがってもいいか、とのことだったので、遠慮なく、とレジャーシートを敷く。 「すみません、急に押しかけたりして」  レジャーシートの上に正座するお餅ちゃんは、礼儀正しく礼をした。 「いえいえ」  いつもの

        • 『うちの男子荘がお世話になります!』⑫

          〇EP11『船長の船』  船長の生まれはここのあたりではなく、海の近くの街だったらしい。  船長のお父さんは、漁師だった。海をこよなく愛す父親だったらしく、船長にも海の魅力をよく語って聞かせてくれていたらしい。夏休みの時分なんかは、船長を船に乗せて漁に出ていたりもしていた。  父親の教育もあり、船長もちいさい頃は、海が大好きだった。朝起きれば海に駆けてゆき、学校が終われば海に遊びにいく、そんな少年だったらしい。  それは、船長が中学3年の夏休みのある一日だった。「勉強のし過

        『うちの男子荘がお世話になります!』⑮(終)

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        記事

          『うちの男子荘がお世話になります!』⑪

          〇EP10『それぞれの思春期』  「晴さんって、反抗期あった? 」  榛くんが去った後、静まった中で、東西くんが切り出した。 「おれ? 」  急に話を振られ、おれは驚きつつも、「うーん」と過去を思い出す。思春期、おれはなにをしてただろうか。もう何年も前の話だし、思い返す機会もなかった。母親がたまに、過去のアレコレを掘り返してくる程度だ。例えば、運動会でリレーの時、バトンの受け渡しのタイミングが合わなくて顔からズッコケて、そのせいで鼻を折ったけど、そのおかげで鼻が高くなった、

          『うちの男子荘がお世話になります!』⑪

          『うちの男子荘がお世話になります!』⑩

          〇EP9『事件解決』  翌日、昼頃、おれの部屋に、お餅ちゃん、榛くん、船長、東西くん、殿下が揃っていた。 「すっかり集会所にされちゃったな」  チラシの束をビニール紐で縛りながら、おれはつぶやく。  東西くんと船長はお餅ちゃんに「ゴミ漁り事件」について説明した。何度か質問をはさんでいたお餅ちゃんだったが、ようやく理解してくれたらしい。自分にも非があったのだとわかると、顔を耳まで赤くした。 「やや、ワタシが悪かったみたいで……船長、疑ったりして本当にごめんなさい」 「大丈夫…

          『うちの男子荘がお世話になります!』⑩

          『うちの男子荘がお世話になります!』⑨

          〇EP8『佐々木家の事情』  恐らく酒が回ってなければ、こんな踏み入って失礼な質問なんてしなかっただろう。無意識に口から出てしまった言葉に、おれは慌てて、「あ、その、すみません」と後悔した。  しかしお人好しのリョクさんは、まったく気にしていないと言った表情で笑ってくれた。お餅ちゃんの件が解決したのが嬉しかったのだろう。「榛名のことですか? 」と、快く答えてくれた。 「わたしだけじゃないんですよ、親にも反抗的なんです。思春期、というやつですよ。わたしらと榛名の間で、考え方が

          『うちの男子荘がお世話になります!』⑨

          『うちの男子荘がお世話になります!』⑧

          〇EP7『事件の全貌』  重々しい乾杯の音頭が取られ、それぞれが無言のままビールに口をつけた。  テーブルの上には、唐揚げの盛り合わせ、ポテト、餃子、たこわさと並んでいるが、この雰囲気の中で、誰も手をつけようとしない。 「で、お話、というのは……」  リョクさんが切り出した。 「ええ、あの」  おれは東西くんたちを盗み見て言う。 「お餅ちゃんの、ゴミの件なのですが……心当たりありますか? 」 「柏餅さんのゴミ……」  リョクさんは言葉を復唱し、パチクリと瞬きをした。まだピン

          『うちの男子荘がお世話になります!』⑧

          『うちの男子荘がお世話になります!』⑦

          〇EP6『ふたりの関係』  船長とリョクさんに話を聞こう、と榛くんを誘うも、「兄貴がいるなら絶対行かないっす」と断られてしまった。そのため、おれと東西くんと殿下とで事情を聞くことになった。 「さて、どこにふたりを呼びだそうか」 「気軽な気持ちで来てくれそうなところがいいよねえ」  と、東西くんがセッティングした場所は、近所の飲み屋だった。 「おとなしかいないし、夕飯がてらってことで」  西さんご夫婦が経営する『飲み屋 西』は、二階建て住居の1階部分を改造して作られた、超小規

          『うちの男子荘がお世話になります!』⑦

          『うちの男子荘がお世話になります!』⑥

          〇EP5『隠された真実? 』  かつて東の国にはニェン一族という王族が存在した。歴史から封印された一族である。なぜなら、国の最高機密の人々だと認められ、厳重に管理されていたからだ。  さて、問題は、なぜニェン一族が、一族ごと、国の最高機密にされたかということである。理由は、彼ら一族の“内側”にあった。文字通り、内側である。  ニェンの血を引く者は、腹の中にダイアモンドを形成するのだ。生まれたばかりのころは欠片ほど。だが、体が大きくなるに比例して、ダイアモンドも大きくなってゆ

          『うちの男子荘がお世話になります!』⑥

          『うちの男子荘がお世話になってます!』⑤

          〇EP4『怒りのハル』  お餅ちゃんと解散したのち、おれは榛くんの部屋を訪れた。  訳を聞いたら教えて欲しい、と言われていたのだ。  榛くんの部屋には、部屋主である榛くん、コンビニから帰宅した東西くん、東西くんに巻き込まれた殿下がいた。殿下とは、東西くんの親友の青年で、かなりの無口ということで通っている。  「にしても、綺麗な部屋だね。それに、味もあるし」  おれが言うと、 「まさに、小説家先生って部屋だよね」  と、東西くんが同意した。  榛くんの部屋は、おれの部屋とは正

          『うちの男子荘がお世話になってます!』⑤

          『うちの男子荘がお世話になります!』④

          〇EP3『事情聴取』  「なんか……ごめんね、こんな部屋で……」  段ボール4つで引っ越して来れるほど荷物の少ないおれだが、荷物が少ないからといって、部屋が整頓されてて綺麗かと言われればその限りではない。  面倒臭がってゴミ箱を買っていないから、ゴミ袋はむき出しのままだし、自炊をしないからカップ麺や弁当の空き箱がシンクに重なっている。床や通販サイトで適当に購入した机の上は、郵便受けに突っ込まれるチラシや、保険案内の封筒の住処になっている。「清掃って概念が存在しないの? 」と

          『うちの男子荘がお世話になります!』④

          『うちの男子荘がお世話になります!』③

          〇EP2『事件発生』  よく晴れた土曜日の朝、洗濯物を干しにベランダに出たら、人影をふたつ見つけた。派手な茶髪の少年と、派手な柄シャツの青年。おれの隣に住む102号室の佐々木 榛名くん、通称『榛くん』と、203号室に住む吾妻 東西くん、通称『東西くん』だ。顔を突き合わせるふたりは、手元の1台の携帯電話に夢中になっているようだった。 「おはよう」  あいさつをすると、ふたりはこちらをバッと見た。あまりの勢いに、下着をはさんだ洗濯ハンガーを手に固まっていると、今度は手招きされた

          『うちの男子荘がお世話になります!』③

          『うちの男子荘がお世話になります!』②

          〇EP1『佐々木荘の住人の紹介』  まず、おれの部屋の紹介から。ドン。おれの部屋は佐々木男子荘のいちばん西側の、1階、101号室。部屋の間取りは、1K。玄関をあけてすぐにキッチン、浴室、トイレがあり、奥に主な居住地があるという、普遍的なものだ。築40年ということで、お世辞にも綺麗と呼べない部屋だが、風呂トイレ別なのはありがたいといったところ。ドンドン。  駐車場代込で家賃3万円。元は大学生を対象にしたアパートらしく、おれ以外の住人は学生だ。ドンドンドン。  さて、問題の住民

          『うちの男子荘がお世話になります!』②

          『うちの男子荘がお世話になります!』①

          ⚠本作は『note創作大賞』に応募している作品であり、冒頭部にネタバレを含むあらすじが掲載されます。ネタバレをご覧になりたくない方は、目次より「本編」を選択してくださいますよう、お願いします。 あらすじ営業成績が悪いと地方へ異動が決まった会社員、牧南 晴太郎は、築40年のボロアパート『佐々木男子荘』に住むことになった。 『佐々木男子荘』の住民は、年中セーラー服の『船長』、家出中の高校生『榛くん』、放浪人『東西くん』、無口すぎる『殿下』、何故か男子荘に住む女子『お餅ちゃん』と

          『うちの男子荘がお世話になります!』①

          ものがたりのはじまり

          押し入れをあさってたら、こんなものが出てきた。 誤字だらけ、おまけに字も汚くて恥ずかしい。 これは、間違いなく、私が書いた文章だ。 ご丁寧にファイルには年が記録されていて、9歳から12歳あたりに書かれたものみたいだ。 お察しの方はいないと思われるが、これは、現在カクヨムおよびNOVEL DAYSで私が連載している長編小説シリーズの元となった話だ。 【世界異次元旅行記シリーズ】 カクヨム→ NOVEL DAYS→ 現在では『無番汽車』と称されてる汽車は、構想当時は『

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