ねぇ、私まだ起きてるよ!

出張でビジネスホテルに泊まっている。時刻は1時34分。

夜更かししているわけではなく21時半にはベッドに入ったのだが、0時過ぎに目を覚ましてしまい、
その後もう一度入眠を試みたものの、また起きてしまったというわけだ。


子どものころは、眠れないのが怖かった。

とはいえ寝付きは良いほうで、外泊してもどこでもすぐに眠れるほうでもある。

だからこそごく稀に目が覚めてしまった夜中なんかは、真夜中に自分一人ぽつんと取り残されたような気持ちになって、
目が覚めてしまったこと自体に焦ってしまって大変だった。

大慌てで2段ベッドのはしごを降りて、下で眠る父の布団に潜り込んで、「ねぇ、パパ、パパ、私、起きちゃった」と、迷惑そうにする父を揺すり起こしていた。

父が目覚めて私を認識してくれて初めて、「よかった、これで一人じゃない」と安心できた。


誰かと二人でいても、友人たちと複数人でいても、私が先に寝てしまうことが多い。私は一度寝るとあまり目も覚めない。

先に相手が寝てしまうと不安で不安で仕方ない。
寝息やいびきが聞こえてくると、相手が別の世界に行ってしまって普段とは別人になってしまったようで怖くなる。

「ねぇ、私まだ起きてるよ!」「先に行かないで!」と揺すり起こしたくなる。


そんな私も曲がりなりにも成長した。

「眠れない」とか「起きちゃった」ことに対する耐性がついてきた。

いま、ビジネスホテルで目が覚めて、時間もまだ夜真っ只中で、スマホをタップして、うーんどうしようかなと考える。

もういいや、と諦めて電気をつける。

加湿器に水を入れ直して、お湯を沸かして紅茶をいれる。カフェインとったら余計目が覚めるなぁと思いながら。

目が乾いている感じがしたから目薬をさす。

なんだか暑くて寝苦しかったような気もしてきたので暖房を切ってみる。

トイレを済ませて、洗面所で自分の顔を見る。うん、そこまで顔色は悪くない。

仕方ないから今日はYouTubeでも見ながら寝落ちするのを待ってみてもいいかなと思いながら、スティックシュガーを2本入れたアップルティーを飲む。


「明日の朝早いのに」とか「仕事中眠くなっちゃったら困るのに」とか思うけれど、
「移動で寝てリカバリーするしかないな〜」「クマはメイクで隠せるな」とも思えるようになったのは、
私がこれまでいくつか過ごしてきた眠れない夜の経験から、私が学んだからなのだろう。


明日(今日)はどんな一日になるかな。

朝は起きられるかな。起きないとまずいな。

朝ごはんはなにを食べようかな。

眠たくなるまで待っててあげるから大丈夫。

怖くないから布団に入ろう。

寝る前はちゃんとトイレに行ってね。

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