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この世界の全ての制約を完全に無視した意思の疎通

まだ木曜日なのに二度寝して見事に寝過ごしました。
身支度で挽回したものの、今朝に限って時刻表通りにはこないはずの奈良交通のバスが限りなく定刻に近い時間に走り去っていく。
歩いても、バスに乗っても乗る電車は同じ時刻の電車なのだけど。

まあ、こんな日もあるさ。

そう思いながら大通り沿いに駅までの道を歩いていると、緊急車両(救急車)のサイレンの音が聞こえてきた。振り返らなくてもだいたい距離はわかる。大通りの交差点の信号が赤に変わって横断歩道の信号が青になった。

対岸の道を挟んで二本の横断歩道には競争するような勢いの小学生の男の子が二人。自身に近い側の男の子が走り始めて大通りの中央を超えたところで救急車と鉢合わせる映像が脳裏をよぎる。ぶつかりはしなかったけれど。

現実に戻ってくると男の子と目が合った。駆け出そうとする男に右手の手のひらを立てて静止をうながす。まるで近くで話をしたかのようにこちらの意図を汲み取って、よーいドンの姿勢を解いてその場に立ち止まると、周囲に何があるのかを見回して、状況がつかめたようだった。

もう一本の横断歩道でスタートダッシュを決めようと構えていた男の子も、状況を察したようで駆け出すのを諦めてくれた。

そして赤信号で停止した車両の間を緊急車両が走り抜けていったのを確認すると、二人のよーいドンが再開された。自身はこれ以上干渉しないように歩き出すと、かすめるように駆け抜けていった。

この世界の全ての制約を完全に無視した意思の疎通。
「危ないから止まって!」もなければ「ありがとう。」もいらない。
「この感覚知っているかも。」と思えるような懐かしい気持ち。

常時できるわけではないと思うけど、こんな風に会話をしてた時期があったんじゃないかって。

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