実際にリモートワークが始まってからの色々な話。

仕事でつながりのあった東京の社長からお声をかけていただき、晴れてリモートワーカーとしてデビューすることが決まった私だったが、いざ始めてみると色々なトラブル(?)に見舞われた。

リモートワークを即座に辞めなければならないようなレベルとまではいかないものの、それなりに想定外な出来事もあった。(とはいえ個人的にはこういった事象を加味しても今の環境には大満足であるのだが。)

おもに、これからリモートワークをはじめよう(はじめたい)!と考えている方たちに向けて、備忘録としてここにまとめておこうと思う。

1. 腰痛が悪化し毎月のように発熱&寝込んだ。

最も想定外かつ一番重かったのがこれである。元々腰痛なぞとは無縁の生活を送っていたのだが、二度の出産を経験して骨盤が歪みまくったせいなのか、長時間じっとしているようなデスクワークに不向きな身体(?)へと変化してしまっていたようなのである。(そもそも長時間じっとしているようなスタイルは良くないとは思うので、じっとしていられなくなった・こまめに立ったり休憩を取ったりということが出来るようになったという点では良かったとも言える。)

正確には、リモートワークをはじめた当初はニトリのママさんデスク&折りたたみチェアという、何とも姿勢に良くない、脆弱性に溢れたスタイルで仕事をしていたのが諸悪の根源だった。

自分の身長やパソコンの目線に合わないデスク&チェアで仕事をすると、肩こり・腰痛・眼精疲労など、あらゆる身体症状があらわれるようになる。当たり前といえば当たり前なのだろうけど、今まで会社勤めでデスクとチェアが支給され、それが合っているのか合っていないのかもよく分からない状態で仕事をしていた無頓着な私には、とてつもなく衝撃的だった。こんなにダイレクトに影響がある事象だとは、到底想像がつかなかったからだ。

「毎月のように」というのは、要するに「生理のたびに」という意味なのだが、生理のたびに風邪のような症状(発熱・悪寒・倦怠感)で1〜2日寝込むという状況は、子育て中のめちゃくちゃ忙しい身にとって由々しき事態だった。

主人からも「きちんとしたデスクとチェア買ったほうがいいよ」とアドバイスされてはいたのだが、ここまで影響があるとは考えていなかったので「手持ちのデスクとチェアもあることだし、後回しでいいや」と軽く見ていた。今ではとても反省している。

ほどなくして広めの部屋に引っ越すことになったので、そのタイミングでデスクとチェアを新調した。デスクは大きければ大きいほうがいいと考えて、横幅150cm、奥行き70cm近くもあるものを購入した。チェアに関しては、奮発してアーロンチェア(ライト)を購入した。

実は前職で使用していたのが同じものだった。全社員支給のチェアはまた別の、アーロンチェアよりも安価なものだったのだが、身体の小さい私にとってはとても座り心地が悪く感じられた。そしてたまたま大会議室に置かれていたチェアに腰掛けて「これ凄くいいな」と、勝手に業務用チェアと交換して何食わぬ顔で仕事をし続けたのだ。

しかも、まさかこれが10万もする高価なチェアだとは知らなかったのである。名前すら全く知らなかった。業務用チェアよりも一回りくらいコンパクトだったので、むしろ安いんじゃないかとズブの素人は勘違いしまくっていた。

たまたま社長から「お前何で会議室の椅子を使っているんだ」と指摘されてはじめてその存在を知ることになったのだが、「さすがはデザイナーだな、本能で"良いもの"を嗅ぎ分ける能力があるとは」とイヤミを言われたのを未だに覚えている。

そんなこんなで、デスクとチェアを新調してからは快適そのもの。これでようやく、腰痛からも開放されたのであった。

2.「孤独との闘い」が待っていた。

「リモートあるある」上位にランクインしている「孤独との闘い」だが、私もまんまとこの罠にハマってしまった(?)仕事仲間との「距離感」そして、圧倒的コミュニケーション不足による「虚無感」である。

とにかく寂しいのだ。仕事上で何か不安な点や不明点などがあったときにはじめて、チャットでコミュニケーションを取ったり、通話したりといったアクションをするわけだが、言わばそういった「単調な」コミュニケーションにとどまってしまう。

会社勤めであれば、例えば隣の席の人と今晩の夕食の話をしたり、休憩時間に別の部署の人と好きなゲームやアニメの話をしたり、そういった雑談が当たり前のようにできた。当時は何とも思っていなかったが、結構これがリフレッシュになっていたり、頭の切り替えに役立っていたりしたんだな、と今では思う。

家と保育園との往復のみで、基本的には家から出ることがないのだ。しかも仕事をはじめたばかりだと、まずはその勝手を覚えること、仕事に慣れることに必死である。会社からは何も言われていなかったし、何なら期待もされていなかったとは思うのだが、自分で勝手にプレッシャーを感じ、焦りを感じてしまっていたのだ。

はやく期待に応えなければと考えれば考えるほど、考えが制限され、思考も狭まり、何もかもがんじがらめになって、やがては孤独感となって己の心を襲ってくるのだった。

寂しい。誰かと喋りたい。共感したい。

そう思ったときに、ふと、我に返った。これはまさしく、ひとりめ出産後の自分の気持ちと同じではないか。ひとりめ出産後、はじめての育児で右も左も分からず、それなのに周囲はお祝いモードだから弱音を吐くわけにもいかず、誰にも本心から話すことができなかった。そういった「周囲との温度差」から次第にコミュニケーション不足に陥っていき、孤独感、社会との隔たり、喪失感にも似たものを感じていた。その当時の気持ちとよく似ていた。

そう気付いてからは行動が早かった。それまで勤めていた会社の知人や古い馴染みを誘って、ランチに出かけるようにしたのだ。育児のことや家庭のことや、仕事のことや、趣味のことや...何でもいい、そのとき話したいことを話すだけでいいのだ。もちろん、相手の聞き役に徹することもあっていい。要は積極的にコミュニケーションを取ればいいわけである。

また社内のコミュニケーションについても自ら上司に提案し、定例MTGとは別に、進捗確認のためのMTGを1 on 1でセッティングしてもらうようにした。上司も元々お喋りが好きなタイプの人間なので、MTGとは言いながらもしばしば脱線し「あのデザインがいいんだよな」「今度こういうイベントがあって」と他愛もない会話をしてくれたり、社内のちょっとしたエピソードなどを共有してくれたりするので、それだけでも距離が縮まっているような手応えがあった。

またそういう刺激があると、自分のモチベーションにも繋がるものである。仕事に対するやる気も湧いてきて、作業効率が格段に良くなった。

と同時に、リモートワーカーの場合、己のメンタルをマネジメントする必要があること、そしてそれがいかに重要であるかということを、身をもって体感したのであった。

3. 周囲のママと全く話が噛み合わなくなった。

元から「ママ友」と呼べるような関係の人は周囲にいないし、これは会社勤めの頃からの問題(?)ではあるのだが。

保育園の先生なりママさんなりから「お仕事は何をされてるんですか?」と聞かれ、「(ウェブ)デザインの仕事をしています」「在宅でリモート勤務しています」と答えても、何を言っているのかさっぱり、という顔をされてしまうのだ。さすが宮崎。陸の孤島。田舎オブ田舎。

「えー!すごいですねー!パソコンでお仕事されてるんですか?」と返ってくるのがやっとなのである。「パソコンを使う」ということにすら崇高さを見出してしまう次元なのだ。

ましてや「コーディング」だの「クラウド」だの「セキュリティ」だの発言した日には卒倒しちゃうんじゃないかなと心配になるレベル。昔から親交のある地元の友人らについても同じようなものなので、プライベートで自分と同じ土俵で会話ができる大人がいないのだ。

かといって不便を感じたり、不満に思ったりするわけではない。前述の通り、もはや私には「ランチ仲間」がいてくれる。ママ友のあいだで話が通じなくても、ランチ仲間とのあいだで話が通じればそれで良いのだ。

また、今の仕事のスタイルになったことで、私生活への満足度が格段に上がった。仕事の時間がコントロールしやすくなったことで、家事育児とのバランスが取れるようになり、ストレスも減った。子どもたちに当たることも減った。総合的に見て、周囲のママと話が合わないこと自体、自分にとってはどうでもいいことだった。

それでも、出張で東京に出ていったときには、社内メンバーとお喋りしまくったり(オフ会)、その近辺の友人らと会ってお喋りしたりする。関東圏の友人らは普段から最先端の情報に触れて生活しているので、IT企業勤めでなくても「リモート勤務最高だね」「宮崎に居ながら東京水準のお給料って最強じゃん?私も田舎に引っ越そうかな」といった反応になる。

自分と同じ土俵でコミュニケーションが取れることへの喜びが高まり、とても元気になれるのだ。

その状態で再び宮崎に帰ってくると、周囲とのギャップをより強く感じて「あぁ、こんなに情報差があるのか!」と再認識させられる。

保育園の先生方からは「出張ですか!?東京まで!?それはそれはご苦労さまです!」と労をねぎらわれるのだが、実際のところ自分の中ではリフレッシュ休暇と言ってもいいくらいのイベントごとなので、ちょっと居心地が悪いような、むず痒いような感じがするのである。

4. 世間から「パソコンの前に座って内職をしている」と思われるようになった。

「えー!パソコンでお仕事されてるんですか?」とも関連する話なのだが、私の周囲の人たちに「リモートワーク」と横文字で表現しても全くピンときてくれない世界なので、「在宅勤務をしている」と言うようにしている。

しかし、在宅勤務というと田舎では「内職」を連想するようで、どうやら私はパソコンの前に座って内職をしていると思われているようだ。否定するのも説明するのも面倒くさいから「まぁそんなもんですね〜」と軽く流している。

中には詳しく聞きたいわ!と声をかけてくださる先生やママさんもいらっしゃるのだが、UI/UXやマーケティングなどといった内容まで含めてしまうと極めてややこしくなるので、「スマホとかでサイト見たりお買い物したりしますよね、あのサイトの見た目を作ったり、サイトの中に出てくる広告を作ったりしてます」「自社のチラシとか、パンフレットとかも作ったりします」とごくごく平たく説明している。それでも理解してくれるかどうか...といったリテラシーなのである。

説明が極端に面倒に感じられるときには自ら「パソコンの前で内職してる!」と発言するようにしている。誤解を招きまくる言い方だが、これで大抵の人は納得してくれる。

...が、「パソコンの前に座って行う内職」って何だろう?

5. 買い物すらも億劫になり食料品の戸別配達に加入してしまった。

引っ越し前は、近所にディスカウントショップがあり、しかも朝9時からの開店だったので、保育園へ子どもたちを送ったついでに食料品を調達して帰宅するというスタイルだった。

しかし、引っ越し後の環境では最寄りのスーパーでも開店が朝9時半と微妙に保育園の時間とズレていて、保育園ついでに寄れるようなお買い物スポットがなくなってしまった。基本的に、よっぽどの用事がない限りは仕事を始めたら中断したくないタイプなので「お買い物ごとき」では中座できなかったりする。そうなると、買い物しそびれて子どもたちのお迎えの時間が来てしまうことも多いのだ。

小さい子どもたちを2人も連れてスーパーに連れて行くなど自殺行為に等しい。それだけでHPが大半削られてしまうので、必然的に「家にあるもので済ませてしまおう」という思考に陥るのである。

そうなると冷蔵庫頼りになるわけだが、買い物に行かなくなると、当たり前のことだがストックされている食材も目減りしていく。しかも仕事が終わり保育園への往復を経て、イチから調理となると時間もかかってしまう。面倒くさい上に工数がかさむ。これは良くない。効率的に家事を運用しなくては。

ということで、このような生活スタイル(?)の変化に伴って、戸別配達サービスに加入して週一で食材をゲットできる環境にしてしまった。こういったサービスは今まで「忙しい人」「単身者」「高齢者」向けだと思っていたが、自分のような「出不精」にも有効だということが分かった。

多少コストはかかるのだが、それでも自分がラクをするためにお金を払っていると思えば割り切れる。事実、献立を考える時間が大幅にカットされたので以前に比べて「今夜どうしようあぁああああああ」と頭を抱えることも少なくなった。これはとても便利だ。

しかもちょっとお高級なだけあって、冷食にしろチルドにしろ、何でも美味い。これぞ企業努力の賜物。今まで通いつめていたディスカウントストアとの格の差。(ディスカウントストアも庶民の味方感があって大好きだし機会があれば出かけるんだが)これはこれで、とっても良い...!

何より子ども向け(高齢者向け)に「骨取り魚の切り身」やら「添加物不使用」やらが揃いも揃っているのだ。チンするだけで調理できて、しかも添加物不使用なら罪悪感も皆無。子どもたちも「美味しい!」と言ってパクパク食べてくれるのだから、こんなに良いことはない。

6. 更にAmazonの定期購入にまで手を出してしまった。

実は元から子どもたちのオムツやおしり拭きなど、かさばりまくる日用品はAmazon頼りではあった。

しかもプライム会員としてではなく一般会員として、必要を感じたときにだけ購入していた。何なら私が住んでいるのは「陸の孤島」宮崎。プライム会員になろうが「お急ぎ便」を選択しようが到着が早まることはないし、料金がやや安くなるとはいえ、購入頻度と年会費とを天秤にかけると、さほど得でもないのだった。

が、しかし。リモート勤務になり、出不精に拍車がかかり、戸別宅配まで重なってくると更に、「買い物...そもそも行かなくても良くない?」「オムツとかおしり拭きだけじゃなくても...ほかにもかさばるものあるやん?アウトソースしちゃえばよくない?」と考えるようになってしまった。OH  YES ズボラ。I AM ズボラ。

とうとうお試し30日の期間をキャンセルすることなく継続してプライム会員となり、オムツやおしり拭きやペット用トイレシートなど、かさばりまくる日用品を定期購入としてセットしたのであった。

また、副産物としてプライムビデオを観られるようになったのは地味に嬉しかった。元から主人が契約していたdTVでは扱っていないコンテンツも配信されていたりして、カバー範囲が広がったのだ。

...子どもがいるときには子ども向けコンテンツ一択なのではあるが。

まとめ。

今回は主にネガティブ(?)と思われそうな側面から順番に切り出してみようと思って書き始めたのだが、案外、そうでもなくなってしまった。むしろ私の中では良かったことだらけだ。

子育てを優先してねと会社が言ってくれるから、何かに追われる感覚がなくなったし、急ぐ必要もなくなった。おかげでメンタルが安定したし、ごはんを用意する時間も圧縮できるようになったから、子どもたちとダラダライチャイチャする時間も増えた。

リモートワーカーデビューして、もうすぐで1年になる。理解のある人たちに囲まれ、のびのびと仕事が出来ていることに対して感謝しかない。と同時に、ほかのママさんたちも、もっとのびのびできたらいいのに。と考えてしまう。

忙しく精一杯働くことが好き!というママさんもいるので一概には言えないが、毎日せかせかあたふたしすぎることで、キャパオーバーになってしまい、子どもに当たってしまうだとか、一緒になって泣いてしまうだとか、そういった状況に陥ってしまうママさんがいたら、ぜひ、リモートワークをオススメしたい。

今回の内容は、そんな中でも「もちろん、いいことばっかりじゃないよ」といった意味合いでまとめたかったのだが、結局「リモートワークをはじめたらこんな変化があったんだけど、こうやって対策したよ!」な話に終始してしまった感が否めない。

事実、「リモートワークは自分には向いてませんでした」といった記事も見かけることがある。リモートワークにはどうやら適正があるのだ。

...というわけで、次回はこの「適正」について書いてみようと思う。

またもや、つづく

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