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山遊びの達人と過ごした秋の1日

八千穂レイクの周りで蝶を探した先月に続き、10月も八千穂高原へ!

今回は、栗やクルミを拾いながら山の中を歩き、お昼には秋の恵みをたっぷりいただきました。


山と地域とともにある島﨑夫妻

八千穂高原の森の入口にある山小屋で私たちを迎えてくれたのは、島﨑和友さん・規子さんご夫妻です。

島﨑和友さんと規子さん

和友さんは、町の広大な森林を整備している南佐久北部森林組合の代表理事専務をされています。以前さくほ通信clubのインタビューで、林業の過去から現在までをとても詳しく教えてくださいました。

上のレポートでも触れていますが、山は和友さんの仕事場であると同時に遊び場でもあります。

今回お邪魔した山小屋は40年ほど前に5年かけてコツコツと一人で建てたもので、ここを拠点に狩猟、釣り、山菜やきのこ採り、真冬はスノーモービルで雪山を走行……などなど、山での遊びを満喫する人生を送っているのです。

パートナーの規子さんは、お住まいの大石地区を走る国道299号沿いに”花もも”を植栽し、約3kmの「花もも街道」を維持管理する「大石花ももの里実行委員会」を立ち上げ10年間会長を務めるなど、魅力あふれる地域づくりに尽力してこられた方。現在は町議会議員をされています。

手作りの山小屋。

秋の山で出会う植物たち

山小屋を出発し、林の中へ。和友さんは色々な植物の前で足をとめ、名前や特徴を教えてくれます。

和友さんが持っているのはワラビが大きく成長したもの。
葉(歯)が落ちてなくなることから、「オバユリ」や「ウバユリ」と呼ばれるユリ。
たくさん生えていました。

初めて聞くものも多く、とても覚えきれませんが、一様に緑に見える林の中にものすごくたくさんの草木が共存しているんだな、ということが分かりました。

また「子どもの頃はよく食べた」とか「昔はこれを薬にした」といったお話も多く、私たちの世代にそういう知識が受け継がれていないのは、とってももったいないことなのでは……とも感じました。

そんななか、栗やクルミは現代っ子でも分かる山の恵みです。

ふと足元を見れば、トゲトゲの栗のイガがたくさん! ところが、動物が食べてしまったようで空っぽのものばかり、中身があっても虫食いの穴があるものがほとんどでした。

クルミは、どういう状態で落ちているかご存知でしょうか? もちろん、ミックスナッツの袋に入っているような状態ではなく殻が付いています。でも、その状態で落ちているのではなく、殻の外側に薄い果肉が付いているのです。木になっているときの実は緑色ですが、落ちると腐って黒くなり、軍手を付けた手やタワシで擦ったり、水で洗ったりすると、よく見る殻付きのクルミの姿が出てきます。

持ち帰ってからゴシゴシ洗ったクルミ。
黒っぽいのは実が取り切れていないもの。

動物の気配もたくさん

和友さんの植物ガイドを聴きながら、上りは人間用の山道を行き、帰りは林の中の獣道を下りました。

すると、子どもたちが動物の骨を発見! 和友さんによれば、撃たれた鹿が逃げた後にここで倒れ、骨になったのだろう……ということでした。

ピントが合ってませんが…
鹿の頭蓋骨と下顎の骨が揃って見つかりました。

和友さんはこのあたりで熊に出会ったこともあるそう。イガしか残っていなかった栗は、きっとネズミが食べたんだろう、とも教えてくれました。動物たちも、八千穂高原の恵みを享受しながら生きているんですね。

拾ったクルミがおはぎになるまで

山小屋に戻ったらお昼ごはんの準備です。

山小屋の外にある薪ストーブで調理。

規子さんがキノコを始めとした秋の味覚たっぷりの味噌汁を準備してくださっていたので、私たちはクルミの実を取り出す作業に挑戦しました。

まずはクルミの殻を割ります。普段見慣れない道具を使ってみたい子どもたちが、代わりばんこに次々と割ってくれました。

万力に挟み、ぐいっとハンドルを回して殻を割ります。

大変なのは、割れた殻から実を取り出す作業。爪楊枝やスプーンの細い柄などでほじくり出すのですが、ポロッときれいに出てくることはなかなかなくて、かなり時間がかかりました。

割ったクルミを受け取り、実を取り出します。

苦戦しつつ、万力に挟むときのクルミの方向によって、実の取り出しやすさが違うことなどを自然に発見したりもしました。

クルミ仕事に没頭する皆さん。

殻から取り出したクルミがある程度溜まったら、フライパンで炒ります。

生のクルミは油分たっぷり。体内でDHAなどに変化する体に良い油です。

すり鉢ですって塩と砂糖で味付けし、”半殺し“に潰したご飯を丸めた団子にまぶせば、クルミおはぎの完成です!

秋の味覚をいただきます!

テーブルの上には、薪ストーブの中でホクホクになった焼き芋なども並びました。

ひとりひとり、たっぷりお汁の入ったお椀を持って「いただきます!」。

具だくさんの味噌汁。
子どもたちもたくさんおかわりしました。

途中でイノシシの肉も登場。今年の1月に和友さんが仕留め、冷凍保存されていたものです。

イノシシって固くて食べにくいのかな、と思っていましたが、薄くスライスして焼いた肉は柔らかくて美味! こちらも子どもたちに大人気でした。

薪ストーブで肉も焼けます。

食後、子どもたちは山小屋の下を流れる川で遊び、私たちは和友さんの山小屋(味噌樽を再利用した露天風呂やサウナもある!)を見学させてもらったり。思う存分楽しんだ後、栗やクルミ、どんぐりなどをお土産に帰路につきました。

山小屋に飾られていた熊の頭蓋骨。
和友さんが仕留めたものです。
お腹いっぱいで笑顔の集合写真。
お天気にも恵まれて良かったです!

(さくほ通信club 部長 やつづか えり)

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