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最低限持っていたい毛鈎の種類

今回の更新は毛鈎の話。ですが、かなりやっている人向けの内容ですし、写真がないので、あくまで雑談として読んでいただければ、なんて思います。

 毛鈎を作るにしても買うにしても、どのくらいあれば、大体の釣り場でOKなのか? 人それぞれでしょうし、完全にそのときに見られる虫に合わせなければ釣れない気難しいマスもいたりしますから、一概には言えませんが、自作派向けに作ったメモがありますので、そこから少し転載します。

●基本形態は以下の8種類

1.エルクヘア・カディス
# 14、# 12、# 10。色はグレー、茶、黄色、クジャク
2.パラシュート・フライ

# 16、# 14、# 12。色はグレー、茶、クリーム、黄緑
3.ハックルミッジ
# 24、# 20。色はグレー、黒、赤、黄緑、クリーム
4.ソフトハックル・ニンフ

# 16、# 12。色はグレー、白、茶、緑
5.フェザントテール・ニンフ

# 16、# 14、# 12。色はキジの尾羽、金鶏の尾羽ほか
6.ウエットフライ

# 14、# 10。色は茶、緑、黄色
7.ウーリーバガー(マラブーウーリー)

# 12、# 10。4Xロング。色はピーコック/黒。グレー、茶、蛍光赤
8.アオミドロ・スペシャル

# 10。4Xロング。色はオリーブグリーン(黒、蛍光赤も)

 自分で作られる方なら、そこまで絞り込んだか?という感じでしょうか。種類よりも色なんじゃないかと思うことが多々あります。もちろん、意識する昆虫によりサイズと色は関連付けられるのですが、そのへんは各自の研究の楽しみとしておきます。
 これに追加するなら、アリ、バッタ、コオロギ、甲虫/カメムシといった陸生昆虫ですが、これらのフライである程度はカバーできます。例えばエルクヘア・カディスのピーコック(クジャク)ボディは、羽アリやコオロギ、甲虫のイメージで使うためですし、グレー系/茶系の大きいものなら蛾やバッタにも。ハックルミッジの黒もアリとして使えます。

 では、この中で解説の必要そうな特殊な色をいくつか挙げてみましょう。

●各色に秘められた理由

◉エルクヘア・カディスの「黄色」。
 この黄色ボディのエルクヘア・カディスは、餌釣りでいうキンパク=ミドリカワゲラ類の羽化期にはスペシャルな効果があります。サイズは# 14。
 なお、ウイングのエルクヘアは、先の色が明るいブラウンの「ゴールデンエルク」が入手できれば最高です。# 12以下のサイズの場合、実際に使う長さは、この見やすい明るい色の部分ですから。他のパターンでもなかなか効果的です。

パラシュートの「黄緑」。
 これはエルモンヒラタカゲロウのメス、というスペシャル中のスペシャルですが、初夏の奥多摩本流ではこれ以外ダメ、ということがあります。他の川でも同様の事案が発生する可能性も高いのでどうしても欲しい色ですね。ボディは黄緑、あとは白で繊細にまとめます。サイズは# 14〜16。
クリーム」の大きなサイズはモンカゲロウ/フタスジモンカゲロウのイミテーションになります。魚にとっては、春から夏の特別なご馳走です。時にはリアルサイズの# 10も欲しくなりますが、どうしても人工物は大きく見えるので、川の釣りの場合、基本的には# 12でいいと思います。

ハックルミッジの「」と「黄緑」。
 毛鈎としては、ボディを巻き糸(スレッド)の色そのままで作ってしまい、それに色を合わせて白、黒、茶などのテール(尾)を取り付け、テールと同色のハックルを巻いただけの簡単なものです。
 特にこの2色はもう、いわゆる河川中下流域のユスリカ、幼虫=赤虫とその成虫の色。つまり、オイカワやウグイと遊ぶ毛鈎です。このへんの小さな魚を専門に狙うなら、あの口に吸い込ませるのに邪魔なテールはない方がいいかもしれません。
 またテールなしバージョン各色は、ハックルの代わりに、ミニオーストリッチを巻いて幼虫〜サナギのスタイルにして、流れのほとんどない淵の水面直下を超ゆっくりと引いてくるような釣りも効果的です。これはマス類もイケたりします。

ソフトハックル・ニンフの「
 パートリッジ(ウズラのような小綬鶏のような鳥)の羽をハックルに使った、いわゆるテンカラ毛鈎スタイルなのですが、「」は明確に繭から出て羽化のために水面に泳ぎ上がるトビケラのサナギ=カディス・ピューパを意識しています。パターンとしても、黒い小さな翅(ウイングケース)を左右に付ければ、そのままカディス・ピューパになる感じですね。
 あと「」というかパールホワイトが爆発的な効果を発揮することがあるのですが、このへんの理由はよくわかりません。自分で作る方は知っているといい、かも?

フェザントテール・ニンフの「金鶏」=「ゴールデンフェザント
 # 16以下の小さなものでは他の素材として「スペックルド・ピーコック」なども使いますが、焦げ茶と薄茶の斑点を持つ羽根で作ることにより、グルグル巻くだけで、水生昆虫のまだら模様をリアルに再現します。体節を作るワイヤーはおもちゃのモーターの極細銅線とかがいいですね。
 このまだら模様のフェザントテール、オリジナルのキジの尾羽より効果ある、と思っています。テール(尾)やレッグ(脚)などのない、棒のようなフライでも、ときに恐るべき効果が……。

ウエットフライの3色。
 有名なパターン名で言えば、=マーチブラウングリズリーキング(テールは赤)、プロフェッサーに相当しますが、ウイング材はオリジナルにこだわらなくていいようです。私はマラード/ティール(模様入りのマガモ/コガモの羽根)などを束ねて、ふたつに分けたものを使っています。自分としては、ウイングは水中でのバランサー的なものですね。他にも使える、より効果のある素材はあると思います。

ウーリーバガーの「ピーコック/黒」。
 ボディは黒のスレッド(巻糸)に4本ほど撚り付けたピーコック・ハール(切れやすいピーコックの補強のためこの撚り付け加工は必須)で、テール(尾)は黒のマラブー。ただし、軸長のハリに、前方2/3に寄せて巻きます。つまり、マラブーのフワフワを咥えに来た奴を釣ろうという仕組みです。ここだけ食いに来て、ハリを含む胴体には一切、噛みつかないない奴がいるので……。
 ちなみに普通、このタイプのウーリーバガーは(この色の取り合わせなら)グリズリーのハックルを巻きますが、巻かなくてもOK=テール(尾)と、ウエイト入りのボディだけでイケます。こうなるとリーチ(ヒル)のパターンですね。

アオミドロ・スペシャルの「オリーブグリーン
 コレだっ!と言えるちょっとくすんだ色があるのですが、それはなかなか入手が難しく……。ただ、恐ろしく釣れる毛鈎であることには間違いありません。箱根・芦ノ湖の必殺フライとして有名ですが、一般の湖や川から管理釣り場まで、ニジマスやブラウントラウトからブラックバスまで、養殖魚からワイルドフィッシュまで、まさに何でもいけます。
 あとは管理釣り場用を中心に蛍光赤が欲しいですね。

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 他はまぁ……管理釣り場用として、イクラとか、ミミズとかもイケるのですが、ちょっと特殊(というか飛び道具)かなと思います。イクラ色=蛍光赤〜蛍光オレンジのシェニールを2本撚りして作ったミミズとか、ハマるとすごいんですけどね。
 もちろん私のフライボックスの中には、一般的ではないスーパー・スペシャルもあるし、楽しみだけで巻いた無茶苦茶リアルなパターン、昔はよく釣ったブラックバス用などもありますが、読んでくれる方が参考にできそうな、一般的なマス用に絞って、ご紹介しました。

 なお、毛鉤作りに関する細かなテクニックに関しては、入手可能なら以前私がお手伝いした『フライタイイングの疑問に答える本』(漆原孝治・著/地球丸・刊)に書いてありますので(出版社がなくなってしまったため、古書のみですが)参考にしていただけると幸いです。(了)

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フライフィッシング入門:目次
https://note.mu/sakuma_130390/n/n85152b3ea6f3

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