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●緑内障で、白内障手術と同様の眼内レンズにしたら…こうなりました 〜その1〜

 有料記事になっていますが、投げ銭用なので、全文無料で読めます。

 利き目である右目を、緑内障の原因とされる「眼圧」を下げるための手術をした、というのはすでにお伝えした通りです。で、まぁいろいろあったんですが、類似情報が全くネット上に見当たらないので書いておこう……と思った次第です。

(あととかの釣り、キャンプ記事の投稿が遅れてすみません)

まずは緑内障のお話

 眼圧というのは眼球の中の水房水という)の圧力、目の硬さなのですが、この圧力が高まりすぎるとモノを見る細胞が圧迫され、機能を失う=モノが見えなくなって行く、というのが緑内障です。神経系の破壊的障害なので、一度ダメになったモノを見る細胞は元に戻りません(このへん、レンズである水晶体が濁る「白内障」とは違うところ)。
 視野が欠けたり、さらに進めば失明もありますが、反対側の目が補うのでなかなか気づかないと言われています。

 ただし、多かれ少なかれ加齢によって起きるトラブルでもあるので、40歳をすぎたら年に何回かは眼圧を測りに行った方が良い、とはよく言われます。眼圧の上昇は、よほど急激に上がる(緑内障発作=これは失明の危機)以外、まず自覚できないと言われていますし。

 現状、私がどう見えているかというと下の写真のような感じ(拡大して見てください)。黒い影と白いボケと、両方あるようです。加えて、まばたきの直後だけ見える黒い影もあります。これは瞬間的にエッジが立つので自覚できるのかな。

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 そして全体的に薄暗いのに、明るい日差しが眩しい……なんてことも起きてきます。サングラスが数種必要ですね。

 もうひとつ、ネットのどこにもこういう表現はなかったのですけど、個人的な感じとしては「古いデジカメの液晶ファインダーみたい」です。特に黒い影になっている部分は(片目で見つつ)左右に視線を振ると、ザラザラっと画像が荒れるんですよね。暗いけど眩しいというのも、明暗に対しての上下幅が狭かった昔のデジカメと同じです。

 ものすごくデジタル。ああ、これは網膜に並んだ視細胞がドット抜けになっているんだな……と自覚できました。

眼圧が上がる原因は?

 そもそも「なんで眼圧が上がるのか?」というと、房水が流れる場所が詰まって起きるのです。しかしこれも、大別すると、細かい繊維のようなもので吊られているフィルター構造が長年のゴミ(垢みたいなもの)で目詰まりを起こす「開放隅角緑内障」と、目の構造的に詰まってしまう「閉塞隅角緑内障」とがあります。
 これらは手術のときに大きな差になりますが、それほど進行していないときはあまり考えなくてもいいはず、です。

 軽いものですと、目薬(点眼薬)を使って房水の排出を良くしたり、そもそもの房水が生産される量を抑えたりするのですが、それでも進行してしまうようだと、手術となります。

 せっかく早めに気づいて眼科さんに行ったのに「なんだ目薬でいいのか」と軽く見て、真面目にやらずに進行させて生活に支障のある視野欠損まで進んでしまう事案もままあると聞きます。勘違いは禁物。
 目薬とはいっても、下手すると全身症状を起こすことがあったり、基礎疾患や使っている飲み薬などにも影響する、かなり強いやつです。お医者さんから確認されますけど「喘息持ちの方には不可」とか「血圧のお薬との干渉に注意」など、ありますので。

私の事例=治療4年、止められずに手術

 で、私なんですが……4年ほど前、別件で眼科を受診し、検査で
・右目の眼圧が高いこと
・網膜の細胞が広範囲で危険領域に入っていること
・まだ視野に欠損はないこと
の3つが確認されました。

 経過観察してもいいと言われはしたのですが、右目=利き目=カメラのファインダーを見る目です。早めに手を打ちたいと医師に伝えて、目薬を処方していただき、使用し始めました。

 ただこの目薬も何種類も渡り歩きました。最初の2種(タプロス、タプコム)は1日1回点眼で比較的楽でしたし、効いたのですが、副作用である「まつ毛が伸びる」という事象が発生。
 普段目にしているまつ毛だけならまだしも、目頭に近い産毛のような細いまつ毛や目頭に生えている産毛(目やにが引っかかるのはこいつです)までもが、まつ毛並みに太く、長くなって目を刺激している状態になってしまいました。で、処方は中止。

 そこから効果的な薬を探して、1日2回のもの、さらに2本の組み合わせなど、いろいろやったのですが、結局は視野に自覚できるような影が出てきて、こりゃヤバい、と。
 その後、ついに視野検査で見えていないところが発覚して、手術が可能な大学病院に回されたのです。

 大学病院では、それまで以上にいろいろ検査をした結果、閉塞隅角緑内障なので、目の中のレンズ(水晶体)を人工レンズに置き換える、白内障手術と同じことをする、とあっという間に決定。人工のレンズに置き換えると、屈折率の関係で水晶体より薄くなるため、房水の流れる隙間が空くということです。

 これは利き目のピント調節機能が失われるということで、もっとも避けたかったのですが仕方ありません。緑内障発作の可能性があり、そこからの失明よりマシなので……。

他の手術としては、開放隅角緑内障ではフィルター状になっている部分を一部切り取って穴を開けたりもします。またレーザーで穴(排水口)を作る、さらにそこに小さなプラスチックのドレン管を差し込んでおくなどの方法があります。こっちで済めばよかったんですけどね。

眼内レンズ=遠くも近くも(なんとなく)見えにくい

 1月末に行われた手術は2泊3日。平時なら日帰りもできるのですが、昨今のコロナ禍で入院しての対応となりました。帰宅後も1日4回、抗菌剤や腫れを抑える薬などの点眼が1ヶ月続くのですから、まぁかなり面倒です。

 それより問題なのが、ピントが完全固定となってしまった右目です。

 手術前に、意図的に遠く/近くが見えるような度数にするかは聞かれたのですが「とりあえずそれまでの視力&左目(視力1.2〜1.5)に合わせてください」と答えました。片目だけ遠く/近くにピントを合わせるレンズを入れるなど、イレギュラーな方法もあることはあるのですが、よほど職業的な事情がある場合を除き、一般的には左右を揃えるものです。
 とはいうものの、実際の視力に関しては厳密に出せるものではないので、左右がぴったり合うかどうかは、ある程度「出たとこ勝負」らしいですが。

 手術が終わって、角膜などのむくみが減って来て、さてどうなったか、というと……慣れません。見えてはいるんですけど、力を入れようがどんなに頑張ろうが、レンズのピントは動かないのですから。
 これは不思議な感覚で「見えてるんだけど……」という感じなんですよ。じっと見つめるとそこそこハッキリはしてくるのですが、距離にもよりますけど鮮明にはならない。見つめていない部分はもっと顕著です。

 手術していない左目とのピントが違ってしまうのもあるでしょう。ものを見る距離の限られる室内から屋外に出たとき、視界が安定せず、フラついたりします。

 もうひとつ、歩いていたり、自転車で走っているときに、やたらとつまづく、舗装の穴でよろける、小さな段差に気づかない、といったことが増えてきたのです。つまり足元の立体感が損なわれている(緑内障との合わせ技っぽいので白内障手術だけで同じことが起きるかはわかりません)

 これ、近所の舗装道路を歩いているならまだいいのですが、未舗装の道、さらに河原、磯では、明らかに危険。釣りにもハイキングにも行けません。渓流釣りなんて完全アウトです。

 それでは!ということで、白内障手術後に勧められている「遠近両用メガネを作ってみよう」と眼科さんに行きました。

遠近両用メガネってこういうものだった

 で、眼科さんで測定してもらい、3月16日に遠近両用メガネを受け取りました。

 しかし初体験の感想としては、元々視力が十分にあってメガネなどをかける必要がなく、周囲の状況に対してものすごく目を動かしていた私には、まるっきり向いてない……と。

 遠近両用メガネとは、上半分が遠くを見るようにできていて、下半分の中央付近が手元を見るように(要は老眼鏡ですね)できています。昔は小窓のように別のカットを施したレンズがありましたが、昨今のものはその中間付近は「累進度数」、つまり徐々に度が変わっていくのです。

 そして周辺部は、どうしてもその帳尻を合わせるために歪みます。特に下半分の左右は、どこのレンズメーカーのサイトを見ても歪むと書かれています。つまり「視線は上下するだけ」が前提なのです。

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 また下半分は手に持った本などの字を見るために老眼鏡として作られているため、距離のある足元がボケます。老眼鏡をかけて離れたところを見ているのと同じ状態です(慣れるまで階段や廊下では手すりを使ってくださいと言われました)。
 足元を見たかったら、視線だけでなく、顔を下向きにして、メガネの中央部を使わないと見えません。

 つまり、遠近両用メガネとは「複数のメガネを掛け替える代わりに、最適度数のところを使ってモノを見る道具」なのです。

 さらに、格子状のものを見ながら左右に視点を変えてみたら、事前に聞いていたエリア以外、つまり上半分でも、上の方と中心、そのやや下の方にズレが生じて、視界がグニャグニャと歪みます……視線だけではなく、首を動かして見た場合でも同様です。

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 例えば、食卓横にあるTV画面を、食事をしながら横目でチラリと見るとまともには見えません。顔を向ければ見えますが、その代わりに顔を向けるごとに柱が斜めになったり家具がひしゃげたりと、周りの風景がグニャッと歪みます。

 これは……酔う。

 メガネ屋さんも眼科の先生も「慣れですね」というのですが、遠近レンズユーザーってこんなのに耐えている(あるいは慣れる)のでしょうか? それとも皆さんそんなに視線って動かさないのかな?

 そのうえ私は白内障ではなく緑内障=前記したように「見る」クオリティそのものが落ちているので、欲しいのは「全域で少しでもキチンと見えるメガネ」なんですよね。
 白内障患者さんのように、白く濁った水晶体が人工レンズに置き換わって視界がクリーンになった!嬉しい! ではなくて、そこは元々クリーンだったんですから、不便さしか感じないのは当然です。

物の見え方/見方は個人ごとに違うはずだけど

 このあたり、手術をした大学病院の眼科では「フツーは気がつかないレベル(緑内障の影)」「フツーは気にしないレベル(乱視)」とか言われるんですけど、そのたびに「フツーって何よ?」と思わされるのです。

 社会全体もしくは医学的「フツー」と、患者個人の人生の中での「フツー」が合ってない、って当然ではないですか……。アスリートや職人、料理人などの職業人が、感覚器官や手足の動きにシビアになるのは当然でしょう。もちろん一般の人だってそういうものを持って、人生歩んできた人もいるわけです。

 私は、一応、過去にとはいえ自動車雑誌の編集&ライター(自動車評論家的なことも)をやっていて、運転に関してはプロからレクチャーを受けたり、それを前提に話を聞いたりしていますし、それ以外の雑誌の仕事でも執筆だけでなく、カメラマンとして取材先や物撮りなどの撮影をしたり、Photoshop加工や画像作成、デザインなどもこなしてきました。
 さらに趣味(一時はこれも仕事でしたが)のフライフィッシングでは、わずか3〜4mmの毛鈎を作ったり、それを15mも投げて魚を待つようなことをしていたわけで……。

 これが「フツー」だったんですよね、私の。明らかに社会一般の「フツー」ではないですが、できる限りそこに戻したいと願うのは、当然なんじゃないかな?と思います。

サポートレンズ(アシストレンズ)を試す

 ということで、独断で別にメガネを作ることにしました。本来の用途と異なるイレギュラーな使い方ですが、レンズメーカーや眼鏡店で「サポートレンズ」「アシストレンズ」と呼ばれているやつです。

 本来の用途というのは、老眼ではない、もっと若い世代に向けての、ごく弱い遠近両用メガネなのです。特に近視の方が手元を見るのに、メガネを外す必要がなく、有効とのこと。ただその後数年で老眼鏡が必要となることから、対象年齢幅が狭く、イマイチ売れていない/知られていないそうです。

 最小の度数変化は0.5度。私の場合は、遠くは乱視補正が入った素通し(0.00)、距離1〜2mの足元に目線を走らせたときは+0.50度で試しましたが、度が入っていることを感じません。視力確認用の小さなレンズでしたが、歪みも出ず、自然です。試した印象では、日常の生活(自転車/徒歩)なら、これ1本でなんとかなりそうです。

 もちろん、でこぼこ道や河原、磯=釣りや低山散策もできるかも……。とはいえ、まだ出来上がっていないので、使用感に関しては続編のパート2で報告させていただきます。

なお、長時間&長距離運転用には以前作っていた乱視&最小の近視補正を施したメガネ(できるだけ遠くを見たいので)、校正読みや毛鉤作りなどの細かい作業用には専用にカリカリに度を上げたリーディンググラスをしばらく使うつもりですが、角膜についた手術の痕の影響で、わずかに乱視の度数と角度が変化していますから、おって作り直しの予定です。

*   *   *

 ということで、無駄になってしまった最初の遠近両用メガネ(3万5000円もした!)の穴埋めに、投げ銭いただければありがたいです。参考になりましたら、よろしくお願いします。

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