書籍:論理的思考のコアスキル

こんにちは。
3人娘を育てている、ベンチャー企業のCTOです。


論理的思考のコアスキル

波頭亮さんが書かれた「論理的思考のコアスキル」という書籍を拝読しました。

波頭亮さんは、経営コンサルティングに関する書籍を多数出版されており、ご自身も経営コンサルティングの会社を経営されています。

本書は、コンサルタントの基礎スキルといえる論理的思考について説明しています。

ただし、ビジネス書によくある「フレームワークの紹介」といった趣よりも、論理とは何か、思考とは何か、といった基礎的な考え方と構造について記載されている教養書と言えます。

本書の内容は、論理的思考についての説明から、論理的思考のためのコアスキル、そのコアスキルの習得方法、という流れで進んでいき、最後に批判的な思考としてくクリティカルシンキングについて語っています。

今回、第一章「論理的思考とは」から一部紹介いたします。
この「論理的思考」を「思考」と「論理」にわけて、それぞれ説明していきます。

思考

「分かる」

思考を端的に表現すると「情報と知識を加工すること」と言えます。

ひとは何かを「分かる」ために、発生した事象(情報)と自分の知識を照らし合わせます。
目の前に黄色い花が一面に広がっていたとして、それを美しいと感じて、これが何の花なのか名前があるのか知りたいと思ったとき、その赤い花の特徴を探し、自分の知識と照らし合わせ、場合によっては調べ、何の花なのかを「分かる」ようになります。

このように、情報と知識を加工していくプロセスを思考と呼びます。
さらに、何かが「分かる」ための能力を思考力といいます。

豊富な知識は、思考のための材料となります。
しかし、その場に持ち合わせていない知識もあるでしょう。
その際に必要となるのが、情報収集です。

思考力は、思考のための「知識」「情報の加工力」、そして「情報収集力」で構成されていると言えます。

「分かる」のプロセス

思考のプロセスにおける情報の加工は、以下のように分割できます。

  • 考察対象を要素に「分ける」

  • 分けたものを、知識と「比べる」

  • 比べた結果を、統合・整理して「くくる」

例えば、目の前に「一面に咲く畑に植えられた黄色い花」があったとします。

  • 一面に咲く花、畑に植えられる花、黄色い花、に条件を分ける

  • それぞれの条件と知識を比較し、一致するものをリストアップ

  • リストアップされたもののなかから、全条件に一致するものでくくる

といったプロセスを経て、何の花かなのか「分かる」ようになります。

他にも、「風邪を引いた」という事象に対して、「昨日は薄着だった」「最近インスタントラーメンしか食べていない」という条件と「体温が下がると免疫力が下がる」「十分な栄養素が不足していると風邪を引きやすい」といった知識を比較して、「風邪を引いた」理由が「分かる」ようになります。

そして、「分ける」「比べる」「くくる」の情報加工によって、以下の成果が得られます。

  • 「事象の識別」

  • 「事象間の関係性の把握」

「分かる」から得られるもの

「事象の識別」を積み上げると、知識が体系化されます。

例えば、生き物を魚類・両生類・爬虫類・哺乳類と分類することが、これにあたります。
更に、背骨の有無などによって上位の概念を作ったり、逆に詳細化して下位の概念を作ったりもします。

このような分類・体系化のプロセスは、思考における重大な概念「具体と抽象」を得ることができます。

また、「事象間の関係性の把握」も、思考に対して大きな寄与をします。

関係性は以下の三つに分類されます。

  • 独立:

    • 関係が無いこと

  • 相関:

    • 何らかの関係性があること

  • 因果:

    • 相関の特別な形態で、一つの事象が別の事象の原因となって引き起こすこと

この内、「因果」を補足することができると、事象に対して積極的に働きかけ、結果をコントロールできるようになります。
これは同時に、過去と現在と未来という、時間感覚の獲得ともなります。

思考をする上で重要な「具体と抽象」および「過去と現在と未来」という時空間の広がりは、このように思考と関連します。


本書では、このあと「論理」についても説明がなされます。
この中で、ロジカルシンキングの二つの基本的な考え方である「演繹法」と「帰納法」についての説明もなされます。

「論理」の説明は、(このような書かれ方はしていませんでしたが)関数に似ているように思え、エンジニアにとっては関数型プログラミングのアナロジーとして捉えると理解しやすいようにも思えました。


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