これからの活動について

 小さな可能性かもしれない。ひとつひとつは微細かもしれない。しかし、そんな「奇跡」はきっと、至るところで生まれている。そしてこの宇宙に散らばった「奇跡」らが光を放って「炸裂」したとき、そこに輝きがあったことを、世界は思い出す。—『ドンと来い! 超常文芸』321頁

 つい半年前、私は「絶対文芸同人炸裂ミラクルガールズ」による冊子の創刊号『ドンと来い!超常文芸』の編集後記を、このように結んだ。大言壮語だったかもしれない。が、私は本気でそれを信じていた。信じたかっただけなのかもしれない。それでも、私は確かに、そんな世界を夢見ていた。

 私の夢は、やはり絵空事でしかなかったのだろうか。目に見えないほど小さなウイルスが世界に思い出させたのは「輝き」などではなく、この世界の歪みや脆弱さ、そして人々の心に巣くう憎悪や差別だった。言葉も、それに従うように暴力性を増した。テレビやインターネットから流れてくる言葉を拒絶したくなった、そんな時期もあった。

 私はいま、自分が文章を書いていく意味、理由について考えている。これが現実だ、と認めてしまえば楽なのかもしれない。ただ、往生際が悪いだけなのかもしれない。それでも私は、まだ夢を見ている。

 5/6に予定されていた文学フリマ東京は中止となってしまったが、活動は継続していく。

 まず、当初5/6の発行を予定していた第2号は、少々完成まで時期を延ばし、次回の秋の文学フリマ東京での本格的な刊行を目指す。この期間を無駄にはせず、ブラッシュアップに努めようと考えている。

 また、今回のことでは、自分たちの文章を届けるチャンネルを増やす必要性も感じた。直に向かい合って本を届けることももちろん大切なことなのだが、同時に、世界に対して開かれていることも、重要である。そのひとつの試みとして、ありがたいことに在庫切れとなっている創刊号、その電子化を検討している。

 この同人は、みなそれぞれに別の活動もしている。また、それを抜きにしてもこの情勢もあって、なかなか思い通りに活動はできないかもしれない。しかし、歩みは止めない。夢の続きを夢見るために。

(矢馬)

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