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Crazy for you〜花譜不可解参狂in日本武道館に寄せて~

2022年8月24日、花譜待望の日本武道館ライブ、不可解参狂が開催されました。
デビューから約4年、普通の女の子だった彼女が日本武道館に立ったわけですよ。いつの間にか大きく遠い存在になってしまった感慨深い。

ありがたいことに現地プレミアムチケットをなんとか確保できましたが、Youtubeメンバーシップ最速先行で落選した時にはかなり焦りました。花譜待望の武道館公演とはいえ、もうこんなキャパでは安心してチケットが取れないんだな。このコンテンツもいつの間に大きくなってしまった。今回は神椿ライブ初のペンライト使用可能公演ということで、2階南から見渡す形で眺める無線制御されたペンライトの光の海は非常に綺麗でした。

"予感"と"少女降臨"と"超構造体"
数段に分かれた舞台に大きく広がるモニターと総勢10名の豪華なバンドメンバーが配置された"超構造体"。事前にYoutubeでも"予感"として公開されていたオープニング映像での開幕にまずは何より震えました。
https://youtu.be/RaASF1ozPOQ

"花譜 one-man Live 不可解"のオープニングといえば前回の2ndまで花譜がポエトリーリーディングを行う"少女降臨"でしたが、今回はそれがない始まりとなりました。
デビュー時14歳だった彼女も18歳になり、もう"少女"ではなくなった。今までの始まりだった"少女降臨"を撤廃して"予感"をopとしたのは、成長した花譜のこれからの始まりを予感させるライブになることを感じさせられる大事なスタートとなりました。
1曲目は"魔女"からテンポよくシームレスに楽曲を繋げてデビュー曲から新曲まで一気に駆け抜けます。この、繋ぎ目のない自然な流れで大量の楽曲を味わえるのもライブの醍醐味。

可不から見る花譜の成長
デビュー曲の"糸"まで歌い終えると音楽的同位体可不の起動映像のち舞台に可不が登場します。花譜と並んで立つ姿は姉妹のよう。花譜ちゃんの方が可不よりも少し背が高くなっていたの、成長したんだなあと、こういうところからも切実に感じさせられました。
可不が登場以来、多くの名曲が生まれ、花譜とは別の軸で独り歩きをしてきました。そんな多数の名曲から今回選ばれたのはsasakure. UKさんの"化孵化"と"組曲"の"流線形メーデー"。花譜ちゃんと歌うことで新たな化学反応が生まれるんですよね、ほんと不思議な子。

"組曲"と"狂"と"壊"
可不ゾーンを終え、カッコイイ変身バンクと共に新衣装"燕(壊)"へ衣装チェンジ。"不可解参狂"が終わったら"不可解参壊"でも始まるのかなという話を開演前にフォロワーさんと話してたところで、まさかの"第三形態燕"を壊してきて笑ってしまった。神椿侮れない。赤く狂気と華溢れる衣装に着替えたところで今回のゲスト1人目、たなかさんが登場。戦闘準備完了ってやつだ。
四角い箱枠の中で歌うたなかさんの隣で歌う花譜ちゃん。この箱枠のセット、視覚的に上手い働きをしていて、花譜ちゃんがリアルに存在していて、たなかさんが逆にどこか違う空間にいるようで、とても面白いなあと思いながら"飛翔するmeme"聴いてました。

隠れ最強ボス枠"イマジナリーフレンド"
2人目に登場した特別ゲストは大森靖子さん。ここが今夜の隠れ最強ボス枠だった。箱を飛び出して舞い踊る大森靖子さんと楽曲PVで登場した後藤栞奈さんが踊るというなんとも強い三つ巴が揃った"イマジナリーフレンド"。靖子さんのイマジナリーフレンドについてはYouTubeで弾き語り動画を事前に見ていて、あの歌唱力の強さにどう花譜ちゃんは戦っていくのだろうと見守っていましたが、歌に関しては花譜ちゃんも負けず劣らず強かった。"組曲"の醍醐味だなあと思わされる場面でした。それにしても"狂担当"靖子さんの舞台を蝶のように舞い踊るダンスも非常に狂気に満ち溢れていて(誉め言葉)、なんとも強すぎた。普通に"イマジナリーフレンド"の顔しながら、途中で靖子さんが彼女の楽曲であり花譜ちゃんがカバーしたことでも知られる"死神"のフレーズを入れ込んできた点もかなり強かった。そんな2人のぶつかり合いが広がる下で栞奈さんがPVの世界を踊ってるこの楽曲、強いしか表現しようのない語彙力の欠如。

夏の終わりの桜色
3月に行われた高校卒業記念ライブの映像と共に、"表裏ガール"。花譜ちゃんがの優しい歌声と相まって、会場が春の暖かさに包まれました。このパート、配信では桜の花が舞い散る演出が足されていて、XR技術の凄さが際立つシーンでした。

ディスコと化した武道館
武道館が優しさに包まれたところで、「一緒に踊りませんか?」との花譜のポエトリーリーディング映像からの流れでDJパート"KAF Disco The Que"へ。ここのパートはPさんの選曲ということで、なんとも好き勝手やってくれたなという仕上がりでした。武道館がディスコと化したことで、イマジナリーフレンドあたりから狂い始めた思考がここで見事に壊れた。ここがライブハウスだったら踊り狂っていましたねほんと。
ミラーボールが回るディスコと化した武道館にて"ダンスが僕の恋人"では東京ゲゲゲイのMIKEYさんが登場。約3年前に花譜ちゃんによるカバーが投稿されたこの曲。マイキーさんのダンスかっこよかったです。

ここで事前に発表されていたゲストパートが終了...と思いきや、「特別ゲストにお越しいただきました!」のコールと共に現れたのは深脊界スタジオからORESMAの2人。ここでORESMAが登場するとは思わないじゃん。コラボ楽曲の新曲"CAN-VERSE"を響かせます。花譜ちゃんとponさんの"ちゅっちゅちゅるっ"がめちゃくちゃ可愛かったです。

初めて生で見たORESMAの登場に感激しながらまたまた深脊界からの特別ゲストのコール。VALISのオリジンが登場。思わず座席から前のめりになって目を見開いた。先日のVALISの配信ライブで初公開された新曲"神聖革命バーチャルリアリティー"をリアルな彼女たちのフォーメーションダンスと共に繰り広げます。リアルなVALISのダンスを現地で見ることになるとは思ってなかったので感謝してもしきれない。VALISのダンスは配信だと演出が優先されてしまってフォーメーションの美しさを味わいきれないなと思っていたのですが、現地で全体を見渡してようやく良さが100%分かりました。彼女たちのダンスは凄い。

最強の5人の"魔女"
怒涛のゲストパートを終え、幸祜・春猿火・ヰ世界情緒の3人が武道館に向かう映像パートへ。3人で繰り広げるこの後のVWPパートを予感させる演出に当然留学中の理芽ちゃんはいなくて。
"らぷらす"に連れられて武道館の舞台に登場する3人。「今回は理芽ちゃんがいなくて寂しいですが...」との話をしてたところで「ちょっと待ったあ!」の声。Rim came back to Japan. 「花譜たろの武道館公演に私が参加しないわけないじゃない」とのことで、そりゃそうだ。
「り...りめちゃん....!?」との嬉しそうな花譜ちゃんと「ほんものだよっ?」とおどける理芽ちゃん。尊い。
5人が揃えば最強とのことで、花譜×V.W.Pのデュエットを4曲繰り広げました。
以前までに花譜×V.W.Pのデュエット曲はライブで順次公開されてきましたが、花譜幸祜曲なかったよねとサラッと新曲を持ってくる強さ。
最後にV.W.Pライブではお馴染みになったダンスチューン"共鳴"を歌って4人は会場を後にしました。

明かされた三部作
不可解弐Re Q1で"過去を喰らう"が新曲"海に化ける"に化けた衝撃は今でも覚えていて、あれからこの2曲は他のフェスライブでも花譜の挨拶曲としてお馴染みの楽曲となりました。
あの時の衝撃を越える衝撃はないだろうと高を括っていたら、"海に化ける"が新曲"人を気取る"に化けました。ーー過去を喰らう三部作。想定外の隠し球に頭を抱えた。3曲でようやく完成形を見せた"過去を喰らう"は本当に素晴らしかった。

"不可解"~"未観測"の流れから「不可解三部作の完結編」とのコールと共に新曲"狂感覚"。これも三部作だったのかと深く頷かされました。花譜の可能性を広げていくこの世界観の幅広さに、楽曲制作されたカンザキイオリさんの偉大さを日々感じる。

花譜の物語とPIDPIPERの物語
御伽噺の話をしたかったのだけど、ないままライブが終わるとは思ってなかった。ライブ不可解の幕間と花譜のアルバムの特典CDとしてお馴染みの、プロデューサーPIDPIPER氏が描く物語"御伽噺"。
彼が描く世界を花譜ちゃん達が演じることで成り立つこの物語ですが、今回はそのパートを完全にカットして、音楽に尺を全振りしてきました。
この舞台はP氏の物語ではなく、あくまで花譜自身の物語を表現する最高の場として演出することに徹したんだろうなという考えで納得しました。そのような演出ができたのも、花譜ちゃん自身がこの4年で表現力の面で遥かな成長を遂げたから。
"御伽噺"は来年バーチャル演劇なるものが行われることが発表されましたが、こちらも綺麗に完結してくれることを期待しています。

"VIRTUAL SINGER SONGWRITER KAF"
ここで二人のダンサーが踊る花譜のポエトリーリーディング映像。何が起こるのかとみんなでじっと見守る中映像の"VIRTUAL SINGER KAF"の表示の中心に"SONGWRITER"の文字が浮かび上がりました。
そう、"VIRTUAL SINGER SONGWRITER KAF"。
ここで涙腺が大崩壊。デビュー間もない頃はMCもおぼつかなく、なかなか言葉の表現に苦労していたところが垣間見えていた彼女がついに自分の言葉と自分のメロディで歌う力を手に入れた。こんなに感慨深いものはない。思えば、直近のライブは花譜ちゃんによるポエトリーリーディングが幕間で際立っていました。あの詩は基本的に花譜ちゃん本人によるものということで、彼女も表現の幅広さを日々洗練させていたんだなあと改めて感慨深くなります。

花譜ちゃん自身による優しいメロディと言葉で紡がれた"マイディア"。「この曲は聴いてくれる"あなた"に向けた曲です。」そう言ってくれた彼女の想いにこのライブの真のテーマである"Crazy for you"の想いが切実に詰め込まれていました。

高校1年から曲を書き始め、この曲が生まれるまでに何十曲も作ってきた末に高校3年の夏にようやく納得のいくものが完成したということで、音楽にかける思いがもうプロに近い領域。
今後の彼女のシンガーソングライターとしての活動にも期待すると共に、私としては花譜ちゃんには好きな歌を歌って欲しい。何か作りたくなった時には思いのまま作ってほしいという思いが第一です。彼女のやりたいことを観測することが我々観測者の役目だと思うので。

「私を武道館に連れてきてくれてありがとう。」
最後のあなたの言葉を私はきっとずっと忘れません。

今後どんな舞台だって、きっと乗り越えていける。そんな期待を抱かせてくれる素晴らしいライブでした。間違いなく、今年1番のベストライブ。

"Crazy for you"
エンドロールが流れ始めた瞬間、この3時間濃密な映画を見ていたかのような気分になりました。これはきっと劇場版FUKAKAI Ⅲ -Crazy for you-。
不可解においては毎回映画を見ていたかのような満足感になるのですが、今回は特にその濃さが強かった。
武道館という壮大な舞台に描かれた花譜という物語はしっかり私の心に、現代のvirtual scienceに大きな爪痕を残してくれました。本当にありがとう。

"狂"と銘打たれたこのライブで何が起こるのか色々想いを馳せながら挑みましたが、"mad"なライブの着地点に"Crazy for you(君に夢中)"という真のテーマが現れた時、腑に落ちました。
"狂"の末にある、狂おしいほど愛しい"愛"。私たちが花譜ちゃんを好きでいるように、花譜ちゃんもまた私たちへの愛を伝えてくれようと必死で頑張ってくれたライブ。そりゃ感動で涙も出る。
いやあ、今回も神椿に負けたなあという感嘆がライブ終わりにふとこぼれ落ちました。

ライブ終わりの発表で花譜3周年10大プロジェクトの全貌が明らかになったわけですが、そこで花譜ライブシリーズ"不可解"が三部作であり、次回"不可解参想"で完結になることが明かされました。"3rd(次回通算9回目の)ワンマンライブ"とは。
10代の締めくくりに"不可解"を完結させるということで、"終わり"の先に何が待っているのか。今後の展開にも期待が高まります。
"Crazy for you"。私もこれからも「あなたに夢中」です。

M1. 魔女
M2. 畢生よ
M3. 夜が降り止む前に
M4. ニヒル
M5. アンサー
M6. 命に嫌われている (カンザキイオリCover)
M7. 私論理
M8. 戸惑いテレパシー
M9. 糸
M10. 化孵化 with 可不
M11. 流線形メーデー(sasakure.UK Cover) with 可不
M12. 飛翔するmeme with たなか
M13. イマジナリーフレンド with 大森靖子
M14. 裏表ガール
M15. ダンスが僕の恋人(東京ゲゲゲイCover) with MIKEY from 東京ゲゲゲイ
M16. CAN-VERSE with ORESAMA *新曲(ORESAMA提供によるコラボ曲)
M17. 神聖革命バーチャルリアリティー with VALIS
M18. 深淵 with ヰ世界情緒
M19. 魔的 with 理芽
M20. 残火 with 春猿火
M21. 歯車 with 幸祜
M22. 共鳴(V.W.P)
M23. 過去を喰らう
M24. 海に化ける
M25. 人を気取る *新曲(「過去を喰らう」三部作完結編)
M26. 不可解
M27. 未観測
M28. 狂感覚 *新曲(「不可解」三部作完結編)
M29. マイディア *新曲(花譜作詞・作曲)

エンドロール後の特別再放送追加楽曲の話も途中まで書き進めてたのだけど、やっぱりやめました。10/2までアーカイブ公開中なので、続きは是非こちらで。 https://www.zan-live.com/live/detail/10212


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