和声法(0)〜前提知識
ここでは和声学の学習の際に必要な、和音の機能、カデンツなどについて解説しています。
実際に四声体による配置や連結に入る前に、これらの知識を確認しておきましょう。
☆音階から和音へ…お団子のように重ねる
まずは、五線にハ長調の音階を書いてみます。
次に、これらの上に2つずつ音を積み重ねてみましょう。
これが、ハ長調の楽曲でおもに使われる和音であり、ハ長調の固有三和音(diatonic code)と呼ばれます。
短調では、和声的短音階が用いられます。(常に導音は、主音と短2度の関係にあります。)
短2度という言葉がピンと来なかった場合は、こちらの記事を参照してください。
①和音記号の名前…ローマ数字
上の画像で、音符の下に何やら記号があります。これらは和音記号といい、ローマ数字のⅠからⅦまであります。
Ⅰの左横にある大文字の「C:」は、ハ長調であることを示しています。
(短調は小文字の「c:」です。)
音を指定する記号としては、コードネームと似ていますが、
コードネームが絶対的な音の組合せを示すのに対して、和音記号で示した場合、24のすべての調に応用することができます。
(数式をxやyとして表すようなものです。)
小難しく見えてしまうのですが、体系化された理論には記号を用いる方が厳密でわかりやすいですよね。
②和音の機能 …TSDの3種類
和音は次の3種類の機能に分類できます。
楽譜にするとこうなります。
ここで、Ⅲ度(ミソシ)は応用編で取り扱うというのと、Ⅶ度(シレファ)は、芸大和声ではV7の和音の一種として扱われるというので省いておくと、
固有三和音はこのように分類できます。
音の例はあくまでハ長調だったらということなので、
調が変われば、同じ音の和音(同じコードネーム)でも、機能が変わります。
③カデンツ …こちらも3種類
カデンツとは、3つの機能T(トニック)、D(ドミナント)、S(サブドミナント)の組み合わせのことです。
全部で3種類しかありません。
どんなに複雑な楽曲でも、この3つのカデンツの組み合わせからできています。
④和音進行 …ⅡはⅤに一途
3種類のカデンツを踏まえた上で、
各和音同士をどうつなげれば良いかをまとめると、以下のようになります。
太字のところを覚えておけば大丈夫です。
⑤終止の名前 …句読点に例えると
フレーズの切りのいいところを終止といいます。
終止には次の4種類があります。
・復習クイズ
まずこれらを覚えれば大丈夫です。
①和音の機能を3つ答えましょう。
②3つのカデンツを答えましょう。
③Ⅰ、Ⅱ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵの和音を、3つの機能に分類しましょう。
④Ⅰ、Ⅱ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵのそれぞれの和音について、次に進行できる和音をすべて思い出しましょう。
⑤4種類ある終止を思い出しましょう。
・答え
①T(トニック)、D(ドミナント)、S(サブドミナント)
②T→Ⅰ、Ⅵ
S→Ⅱ、Ⅳ
D→Ⅴ
③K1 【T→D→T】
K2 【T→S→D→T】
K3 【T→S→T】
④Ⅰ→Ⅱ,Ⅳ,Ⅴ,Ⅵ
Ⅱ→Ⅴ
Ⅳ→Ⅰ,Ⅱ,Ⅴ
Ⅴ→Ⅰ,Ⅵ
Ⅵ→Ⅱ,Ⅳ,Ⅴ
⑤全終止、偽終止、半終止、変終止
次回の和声学⑴では、三和音の基本形について書いていきます!
最後まで読んでくださり、ありがとうございます🌸
(2020.10.7に改訂し、④と⑤の項を加えました。)
さくら舞
サポートお待ちしています♪励みになります🌟