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胎盤を作る旅へ。妊娠9週目

つわりの冒険

妊娠確定の6週目頃から、ゆるりと始まったつわり。でも数日で落ち着き、「もしかしてつわりのないタイプ?」と淡い期待を抱いた。

だけど9週目あたりから、徐々に頭角を現してきた。

なんとなく食べられないかも、と思うようになったのは、お米と魚介からだった。代わりに、甘いものがひたすら食べたい。普段は控えていたが、菓子パンなら食べられる気がした。
あとは、夫が作るパスタやチキンソテーなんかが美味しく食べられた。「今日は何が食べられそう?」と気分を共有しながら、一緒に食べられそうなものを探す冒険の日々だった。
いっぺんに食べると気持ち悪くなるので、少量ずつゆっくり食べるようにした。

それと、妊娠するまで知らなかったが、食事関係なく日常的に気持ち悪い。寝転がっていても吐き気がするから、休もうと思っても休めなくて、それが辛くてメソメソしてしまう。なんなら、朝目が覚めた時から気持ち悪い。

スーパーへ買い出しに行くと、人が歩いている様子や陳列している商品を見ているだけで、船酔いのような気持ち悪さが込み上げた。
スローな歩みで買い物をするおじいちゃんおばあちゃんを、「わかる、わかります、歩くのつらいよね」と仲間のように感じた。
同時に、「外から見えない不調を抱えている人はきっとたくさんいる。急かしたり、イライラしないで、心にゆとりを持って優しく在ろう」と誓った。

特につわりは、お腹が膨らむ前に訪れる人がほとんどだ。電車で立つのが辛くても見てわからないし、妊娠初期は自分でも妊婦であることに慣れていないので、優先席の前に立つのも気が引けてしまう。産後は、マタニティマークを見かけたら、お腹の大きさに関わらず席を譲ってあげたいと思った。

不調勢揃い

つわりに加えて、いろんな不調が襲いかかってきた。
妊婦は免疫力が下がるため、なまものは避けた方が無難だとされている。(これについては、人それぞれの考え方がある。)
私は妊娠前からお腹が弱い方だったので、大事を取って非加熱のものを控えていた。
それでも、腹痛と吐き気を伴う胃腸炎のような症状が、月に1回やってきた。これは妊娠4〜5ヶ月になるまで続いた。

そしてダルい、眠い、めまい、疲労感。
休んでも休んでも、回復ということがない。昼寝してしまうと、起きた時のつわりが悪化しやすいのも厄介で、うたたねにも気をつけていた。
お腹に力が入らなくて、声を張ることもしんどくボソボソ喋るようになった。

これはきっと、胎盤づくりに体が本気を出し始めたからだと思った。
この時期から数ヶ月かけて、母体はせっせと胎盤を作成し、赤ちゃんに必要なものを届けられるよう準備に本腰をいれるそうだ。

なかったものを、ゼロから体の中に作るんだもん。そりゃあ大変なことよ、大工事、大改造、私の体は赤子のためにすべてを捧げ、自分のことは後回し。
母体を改造して、自身が成長していく環境を整える赤ん坊も、それをやってのける母体も、すごすぎないか?神秘なんて言葉では理解できない。いや、どうやってもきっと理解はできない。

こんな不思議な世界の大冒険は、まだまだ始まったばかり。
今まで旅したどの国よりも、壮大で道標のない波瀾万丈な旅へ、出発した。

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