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ひとりでサハラ砂漠に立った日

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砂の海が波打ち、けれどその波は動かない。
まるで、時間が止まったようだった。

いつかこの目でサハラを見たい。

そう願うようになったのは、もういつからかわからない。

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どこかで見た、圧倒的に美しいサハラ砂漠の映像が、忘れられなかった。
本屋で偶然、サハラ砂漠が表紙の雑誌を見かけた。
その前を通り過ぎようとしても、動けない自分がいた。

これを興味と呼ぶのか、わからない。
けれどもうその頃には、旅をしてきた直感を信じられる自分になっていた。

「ここに行く」

根拠のない確信が、もう芽生えていた。

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しばらく仕事が忙しく、長期休みがとれたのは、転職のために仕事を辞めたときだった。実に5年ぶりの海外ひとり旅に選んだのは、初めてのアフリカ大陸、モロッコ。
いつかの直感が確信となり、確信は現実になった。

11日間に及ぶ大冒険。

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見慣れない文字と服装、世界一の迷路都市と名付けられた職人街。
英語さえも通じないタクシー。
初めて目にした、イスラム教の繊細で壮観な歴史的建造物。
初めて耳にした、街中に大音量で響き渡るコーラン。
常に香る複雑な匂いと、40度近い灼熱の太陽。

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眼に映るもの、五感で感じるすべてが刺激的で、ずっとドキドキしていた。
拭えない大きな不安さえも抱きしめて、わたしは11日間、旅をした。

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夢に見続けたサハラ砂漠は、地球と違う惑星に降り立ったかのような異世界で、写真で見たものと、同じだけれど全然違った。

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朝日に照らされる砂漠と風紋は、この世の景色とは思えない美しさで
静かすぎる世界には、風の音とラクダが砂を踏む音しか、存在しなかった。
夕日が作りだすシルエットは、世界中の人に見てほしい絵画のようで
夜は人生で間違いなく1番の、果てが見えない星空だった。

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雑誌ともちがう。
テレビともちがう。
この足で訪れなければわからない、熱さと匂いがそこにあった。

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もしもう一度、あの場所に立てたなら。

あの圧倒的な異世界を、人はどう感じるのだろう。
どんな言葉でその感動を、表現するのだろう。
やわらかい一面の砂漠に寝そべったら、どんな感情を抱くのだろう。

あの壮大なアトラス山脈を超える道の先に、何を期待し描くのだろう。

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そうだ、次は、大切な人と訪れたい。

同じ旅は存在しないから。
ひとりの時とはちがう世界を、あのサハラ砂漠はきっと、見せてくれる。

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