闇を飲み込め 5

「分離不可能なんて、どうしてそんなことに?」
ゼロとレイトを知るリクが問う
「人としての命が尽きるまで戦ったと言うことだろうな」
ジャグラーは答えながら、リクから目線を逸らした
虚空を見る目、彼だけが見てきたゼットの闘いを見ているのか
「今度変身したら身体がもたないと言われたと言ってたからな。ハルキだけじゃないゼットも限界ギリギリだった」
ジャグラーはフッと笑うと、ゼロを見る
「地球人との一体化は織り込み済だったろうが、そこまではとは思っていなかっただろう、ゼロ」
「織り込み済って?」
不思議そうなリクがゼロとジャグラーを交互に見た
答えたのはジャグラーだった
「リク、お前さんもライザー使ってただろう。あれはメダルをセットする人間が必要だ。ゼットのようなタイプチェンジする場合はな」
ジャグラーはリクを見、ガイにもチラリと視線を向ける
「お前さんのように人間態が無いゼットには相棒が必要ってわけだ」
ゼロを見据えて、ジャグラーは嗤う
「あの地球で怪獣と戦う経験値が有るのは俺の部下だけだ。その選択は悪くないぜ」


「あの、ハルキさんの家族は?」
震える問いかけは、ゼロではなく、レイトのもの
「ハルキは母一人子一人だよ」
「お別れをしてきたってことですか?」
「知らん。俺が先に地球を出てる」
ジャグラーは抱えているハルキに視線を落とす
「言わないことを聞き出す趣味はない」
「好きな人とかいたんでしょうか?」
顔を上げたジャグラーはまた虚空を見ている
「式に呼ばれて主賓として祝辞述べてたかもな、俺は上司だから」


「ジャグラー、お前さん、ウルトラマンを部下にしたのか」
ガイのポツリと洩らした言葉に、ジャグラーは鋭い視線を向ける
「俺の部下がウルトラマンになったんだ!間違えるな!ハルキは望んでウルトラマンになったわけじゃない」
ジャグラーとガイの因縁はよく知られている
光に選ばれなかった者と光に撰ばれてウルトラマンになった者
どんな思いで、ウルトラマンになってしまった部下を見てきたのだろうか
ハルキがジャグラーを尊敬し慕っているのはその言動からも見てとれる
ジャグラーはなによりハルキを庇護しているし、ハルキに背負わせたものに怒りを示している


「後悔はしてないです」
腕の中のハルキが目を覚ましたようだ
「スマン、起こしたか」
「すみません、なんか寝ちゃったりして」
立ち上がろうとしたのを押し留め隣に座らせる
「ハルキが起きたから、ちょうどいい、本題に入ろうか」
ジャグラーは真っ直ぐゼロを指差す
「お前さん、厄介な連中に狙われてるぜ!」

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