闇を飲み込め 3

心配そうな顔でリクが駆け込んできた
「ハルキさんは?」
「こっちだ」
先に立って案内し、たどり着いた部屋にリクが顔をしかめる
「この部屋は対宇宙人用の」
「ウルトラマンに匹敵する力を持つあの男には意味ないが」
ロックを解除し自動ドアを開く
その音に椅子に座っていたハルキが立ち上がる
「リクくん先輩!」
初めて声を発し、隣に立つリクに歩み寄る
「何が有ったんです?」
リクの問いかけに首を横に降る
「何も説明してくれなかったから」
そのまま、ベッドのジャグラーに視線を向ける
「ただ、隊長は巻き込まれただけ、だと思う」

リクを先輩と呼ぶ、その事実にある推測が成り立つ
しかし、ジャグラーを隊長と呼ぶことに結び付かない
考えを巡らしていると、またドアの開く音が
振り返ると、ハットを被った男が一人
「ウルトラマンオーブ、何故此処に?!」
「ガイさん!」
リクが先輩ウルトラマンの突然の登場に驚いている
「声が聞こえた、誰かの名前を呼ぶアイツの声が」
横をすり抜けベッドに近づこうとするガイの前にハルキが立ち塞がった
「ダメです!近づくな近寄らせるなって言われてるんです」
払いのけようとしたガイの腕を掴む
一瞬のにらみ合い
「退け!」
ガイがハルキを振り払い、その身体は壁際まで吹っ飛んだ
リクがハルキさんと名を呼びながら駆け寄る
「ジャグラー」
ガイがジャグラーに触れた時、バチンと弾けるような音が聞こえ光った

目を開けると、ジャグラーがその半身を起こしていた
ベッドの横には苦しげに踞るガイが
「誰が引っ掛かったのかと思えば、お前か。ガイ!」
「何、を、した?」
切れ切れにガイが問う
「トラップだよ、近づく奴の生命エネルギーを吸う」
ジャグラーはベッドから降りた
「ハルキには近づくなと言っておいた」
ニヤリと笑いつつ手招きして、ハルキと呼ぶ
オスッと返事をしたハルキに手伝わせて、ガイを椅子に座らせる
「心配かけたな」
見たことのない優しい表情と聞いたことのない優しい声で、ハルキに言う
くしゃっと表情を歪ませたハルキがふらっと倒れかかる
ハルキ?と名を呼んで抱き留めたジャグラーがハルキの顔を覗き込み、愉快そうにははっと声を発した
「寝てる」


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