闇を飲み込め 6

唖然となるゼロ、首を傾げるリク、じっとジャグラーを見据えるガイ
ジャグラーはニヤリとして、言葉を続けた
「闇の盛り場で、ウルトラマンZをつけ狙ってる奴等がいると聞いたんだよ
高値をつけて行方を追っていると
話してた連中はウルトラマンになんか太刀打ちできない小悪党だったがな
よりによって、Zだからな、戯れ言と聞き流せなくて、情報屋を当たった
情報屋によると、その噂が出たのはZがあの地球に来る前の時期だな
宇宙警備隊に入りたてのひよっこウルトラマンだから容易いだろうと
だが、何故かしばらく消息不明でかなり必死でで居所を探していた
最近になって、ようやく目撃情報が出たが、直ぐに行方を見失う」
ジャグラーはゼロを見る
「わかるか?あの地球での情報が一切抜けてる
Zが地球人と一体化してることが知られていない
まあ、レジェンドクラスに見受けられるが、そうあることじゃないから無理もない
例え気付いたとしても、あの地球での出来事を知らなければ、ハルキに辿り着かない」
ジャグラーは隣のハルキを見た
「全長50メートル級のヒューマノイドを隠すより、ハルキを隠すほうが簡単だからな
だから、ハルキを連れてサイドアースまで来たんだが、先手を打たれた」
「宇宙船を攻撃したのはその連中だと言うのか?」
問うとジャグラーは頷いた
「しばらく隠っていたから忘れてたが、俺の情報は高く売れるんだよ
俺がZに関心を持ったとあの情報屋が売ったんだろうよ
賢いつもりの悪党連中ほど、俺が元は光の側の所属で腐れ縁のウルトラマンがいることを気にするからな」


「何故、サイドアースに?あの地球でもよかったんじゃ?」
リクが言う
「俺とハルキが抜けたストレイジは戦力ダウンしている
それにあの基地のセキュリティがどんなものか、お前さんが一番よくわかってるんじゃないか、リク」
「確かに、襲われたのは基地の中だし、応戦してたのハルキさんだ」
リクが苦笑いする
「生体反応で識別するセンサーは無いのか?」
問いかける
「あの地球にそんなテクノロジーは無い
あったら、隊長なんかやってないし、ハルキだって危うい」
もっともな答えが返ってきた
「このサイドアースなら我々がいるから、か」
「それもある
ここを選んだのはゼロを呼び出すのに都合が良いからだ」
「狙いは俺だという根拠は?」
真剣な声でゼロが問う
「新人警備隊員に狙われる理由があるとは思えない
あの地球でのことが知られているなら、俺もあり得るがな」
「それにしても、いとも簡単に見つけたんだな
金目当ての小悪党が探し回って見付けられてないんだろ?」
ゼロの疑問は的を射ている
「Zの最新情報を握ってるのは俺だぜ」
得意気に胸を張る
「Zを見かけたという宙域の地球人生存可能惑星は1つだけだったからな
そこで待って見かけたら手を振ってやれば、ハルキが俺に会いに来るさ」
喜び勇んで駆け寄る姿が目に浮かんだ
「そうしたら、ついてこいと言えばいい」


「そういえば、ハルキ
メダルどうした?メダルの気配がしないのは何故だ?」
「ねえ、ハルキさん
ライザーどうかしたんですか?僕から呼び掛けても応答がなかった」
ゼロとリクに問われて、ハルキの目が泳ぐ
「それは……」
「お前さん、取り上げたのか!」
ガイが声を発する
「ライザーとメダルを渡せと言っただけだ、ハルキは素直に渡してくれたよ」
「おい、ハルキ!」
「隊長はちゃんと返してくれるし」
ハルキの答えに、別なことが浮かぶ
「前にもあったのか!」
「ライザーはちょっと借りたことがある
メダルは俺が拾ったから、しばらく持っていたな」
「あの地球で何してたんだ?」
「真面目に防衛軍の隊長はやってたぞ、なあハルキ」
ガイに対して、ジャグラーは愉快そうに笑った
「隊長は最後までストレイジの隊長として一緒に戦ってくれました」
誇らしげにハルキが答える
「隊長は隊長です」
ガイは言い難そうに
「こいつは正義の味方では…」
「俺が正義の味方じゃないことなら、ハルキは知ってるよ
ハルキはウルトラマンだからな」
どういうことだ?
「隊長が人間じゃない姿になることも怪獣になることも知ってます」
「怪獣?」
ゼロとリクが不思議がる
だが、ジャグラーと長い付き合いのガイの反応は違った
「ゼッパンドンか!」
「あの怪獣、ゼッパンドンと言うんですか!強いですよね
火の玉で攻撃してくるし、瞬間移動するし」
「まさか」
「戦いました」
明快に言い切るハルキに、しばし絶句する
「あの時は隊長だって知らなかったですけれど」


ジャグラーは笑っている
「俺も謎なんだよなあ、ハルキが俺を信じてるのが」
「長年の信頼関係か」
ゼロの呟きに、ジャグラーは首を横に振る
「ハルキは新規配属だから、ストレイジでの付き合いは一番短い」
「レイトが、短くても深かったんじゃないか、と言ってる」
「パパさんは良いこと言うねえ」
きょとんとしているハルキに、レイトはゼロが身体を借りている相手だと説明し
「人間態のあるウルトラマンが二人もいる場で言うことじゃないが、ウルトラマンが地球人の身体を借りるのは普通だな」
「なるほど、良い隊長だったんだな」

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