見出し画像

夢が叶った話<ミモザのある暮らし>

今でもよく覚えています。高校卒業の春休みに友人と卒業記念旅行に行きました。行き先は熱海(渋い)だったけど、鎌倉に寄り道をしました。回ったのはメジャーな場所ばかり鶴岡八幡宮、鎌倉大仏、銭洗弁天、江ノ島…。でもその時に最も印象に残っているのは、いわゆる観光スポットではなく通りすがりに見た大きなミモザの木でした。

銭洗弁天に徒歩で向かう途中で住宅街を通り、そこで洋館のお庭に黄色い花を咲かせるミモザを見つけました。黄色の小さな花は満開でそこだけぱあっと明るくて可愛くて、その存在にノックアウト。その景色は絵本の中の世界みたいでした。ミモザは知っていたけれど、こうやって庭で咲いているのを見たのははじめて。私の住む街ではミモザの木を見たことがありませんでした。

その時に強く「ミモザの花を庭に植えたい」と思ったのです。(もっと理想を言えばミモザが咲く庭のある洋館に住みたい。)だから今でも頭の中にその時のミモザが咲く庭の画像あって、細かいところまで思い出すことができます。

家に帰ってその話を家族にしたら「アカシア(ミモザの別名)はこのあたりじゃ育てられない。北限が神奈川あたり」と言われました。私はその当時北関東に住んでいたので、鎌倉がある南関東とは温度に少し違いがあります。たぶん、本当はギリギリ育てられたのかもしれない。でも90年代だったし、今みたいにネットで情報も簡単に入手できるわけではなかったのです。私は親の言うことを素直に信じるタイプの子だったので、その時は「そうなのか」と思って納得しました。

でも別に諦めたわけではありません。心には「お庭にミモザの木があって、春に黄色の花をたくさん咲かせる」がいつか叶えたい夢としていつも静かに存在していました。春先にお花屋でミモザを見つけるたびに「いつか私の庭に」と思っていました。私は叶えたいことに関して胆力があるタイプだと思っています。ガツガツと掴みに行く感じではなく、でもじわじわとずっと長いこと思い続ける感じです(怖い)。

で、結婚して、埼玉に引っ越してきたのですが、しばらくはマンションに住んでいたのでその願いを叶えることは難しかったのです。

4年前に今住んでいる一軒家に引っ越してきて、翌年の春に念願が叶ってミモザの木を植えました。

庭って言うか空きスペースに植えたてのミモザさん

そして2年後、つまり今年の春にたくさんのお花を咲かせてくれました。2月の下旬から4月の上旬まで約2ヶ月弱の間に家にミモザの花があり、とても幸せな気持ちでした。

2年でだいぶ大きくなりました

我が家はリビングが2階にあるので日当たりがよく、朝にはたくさんの光が入ります。キッチン横のテーブルで毎朝、点てたお茶を飲むのが日課です。

真夏以外の季節にはテーブルには大抵何かしらの花が飾ってあって、それを眺めながら心静かにお茶をいただきます。どんなに忙しくても、この時間を取ることを大事にしています。

3時のお茶のテーブルにもミモザ

ミモザは枝に近い方から咲き、最後にてっぺんの部分が咲くことを知りました。

花屋さんのミモザと違ってふわふわがほんとうにふっわふっわ。新鮮だから?

まあるくて、ふわふわ

花が盛りの時期には家のいろんな場所にミモザを飾られてとっても華やかに。これは玄関先。

着物を撮ったつもりで、ミモザが映りこんでいました

ミモザの切手でミモザのお手紙書いて幸せな気持ちに。

ミモザのポストカードにミモザの切手
ミモザの切手

菓子四季録の中にも登場しています。

菓子四季録 vol.10 柑橘のマリネを添えたババロア
菓子四季録 vol.11 苺とミルキークリームのブッセ

この2ヶ月間、本当にたくさん楽しませてくれました。ミモザさん、ありがとうございます。来年も花をつけてくれるように、今はすでに剪定をしてさっぱり。また次の春にたくさんの花を咲かせてくれるのを楽しみにしています。

そしてこれを書きながら、私は願い事をロングスパンで叶えていくのが好きなんだなと思いました。願い事を長く育てて夢にし、その夢を自分の一部にして一緒に寄り添って生きていき感じ。じわじわと温めて、育てて、途中の過程も長く楽しむ。それってなんか幸せだと思うし、夢見ることがまだたくさんあることも幸せだと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?