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「進撃の巨人」漫画を今から読む(1巻)

先日、進撃の巨人 アニメシリーズ最終回を視聴後、想像以上に落ち着かないのでとりあえず、これまで手を付けていなかった漫画を読んでみることにする。できるだけゆっくり読み、そして感じたことのメモを書いておこうと思う。(ネタバレあり)


0.あらすじ

100年ぶりに巨人襲来しウォールマリア突破。巨人に母を食われ、駆逐してやる、と叫ぶエレン。5年後、104期訓練兵解散式の夜。同期10人登場。進路は憲兵団か調査兵団か?正論を言うジャンに絡むエレン。翌日、再び超大型巨人が現れウォールローゼを破壊。エレンたちの初陣開始。エレンが巨人にあっさり食われ1巻の終わり。

1.惨敗する調査兵団(無駄とは何か)

調査兵団が壁外調査で惨敗して帰ってくるシーンは思うところが多い。最近最終話を見た私は今、調査兵団にとても肩入れしている。でも、冷静ではない今だからこそ感じられることがあるはずだ。

調査兵団は100人以上で出発し、戻ってこれたのは20人に満たない。亡くなった兵団員の腕だけが、彼の母親に渡される。母親の「息子の死は無駄ではないのですよね?」との問いかけに、生き残った兵員は取り繕うことができず思わず叫んでしまう。「何の成果も得られませんでした!!」と。そして野次馬たちは「税の無駄遣いだ」と言い合う。

必要なのは「正しさ」ではなく「フェアネス」

この状況で「税の無駄遣いだ」という評価は正しい。でも、そう口にした人にエレンは怒り、殴りつける。私はこの「エレンの行動」が、今の私たちに本当に必要なものだと感じる。それはなぜか?その評価が「正しくてもフェアでない」からだ。今必要なのは「正しい評価を下せる人」ではない。正しくても「フェアではない」と気づける感性、そして「フェアでない評価」がいくら正しくても、それにNOと言える感覚、それが今の私たちに必要なものだ。

成果は主張して生まれるもの

「成果というもの」は誰かが主張しないと生成しない。この場面では調査兵団が自ら作り出す必要があるが、彼らは放棄した。だから成果なしという評価は妥当な判断だ。しかし調査兵団は命を賭して調査に出かけ、仲間を失い、絶望して帰ってきた。そんな彼らの絶望は「責められること」を欲していて、要は自暴自棄的になっている。彼らが成果を作り出すことを放棄しても責められるべきではない。

成果の弊害

目に見える成果がなかなか得られないことを続けることはとても苦しい。だから「短期的に成果が得られること」に人は集まり、長期的に取り組むべき課題は放置される。まれに長期的課題に手を付ける人はいるだろう。けれどもそういう人を見たとき、多くの人は「無駄だ」という評価を口にするだろう。その評価は正しいかもしれない。でもそれは「全くフェアではない」。成果が無くてもやる価値があることは多いはずだ。

私たちにできること

もちろん、成果の弊害を主張したところで何も変わらない。確かにそうかもしれないね、と言われておしまいだろう。では私たちにできることは何か?それがまずは「正しくても「フェアではない」と気づくこと」。そして次はフェアに近づける努力をすること、だろう。この調査兵団の例で例えるなら、彼らの成果を説得力を持って作り出すことが必要なのだ。そしてそれこそが、アルミンが持つ「説得力」と言う才能だ。アルミンのように、自分がフェアだと感じる方向に対して説得力を行使する。それが私たちにできることだ。

2.支配されていたと気づくこと

超大型巨人登場シーンでの印象的ナレーション。
その日、人類は思い出した。奴らに支配されていた恐怖を・・・

わたしたちにも、ある日とつぜん支配されていることに気づかされることがあるはずだ。現代の私たちは、世界と「そうやって出会う」ようになっている。私たちの自由な意思は、じつは巧妙に作り出されたもの、というロジックは、いくらでもある(極端なものが陰謀論だ)。例えば、戦後教育が私たちの意志に大きな影響を与えているのは確かだろうし、高度資本主義社会が私たちの欲望を大きく変えていったのも間違いない。そうやって「私たちの意志」を現象として捉えなおすなら、つまり自然科学的手法を援用して説明しようとするなら、そこには「支配」とものが姿を現す。つまり自然科学が新たな宗教になったとき、私たちは「支配」から逃れられない運命を背負った、と言えるのかもしれない。そういう「私たちを支配する手の負えないもの」として巨人のメタファーは、私たちの感覚と符合する。だから、この時のエレンに肩入れせざるを得ない。そして思わず思う「そうだ、駆逐してくれ!」と。

3.先が思いやられる、というのが1巻の感想

この漫画は、いろいろ感じることが多すぎる。この調子で感想を書いていると、自分でも見返したくないくらいの分量になりそうだ。うーん、どうしようかは2巻を見てからで考えよう。(1巻感想、おわり)


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