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林健太郎『ワイマル共和国』からの妄想②:エーベルトとシャイデマンの共和国宣言

林健太郎著の『ワイマル共和国』に数多く掲載された顔写真。そこから勝手に妄想を膨らませる。ただそれだけの記事。今回はブルドッグ顔のエーベルトと、シャイには見えないシャイデマンだ。

●二人が活躍する背景
彼らはドイツ社会民主党(SPD)の首脳。彼らは「ロシアのヴォルシェビズム」を強く警戒している。ヴォルシェビズムとは何か。産業革命によって世界は「持つ者(ブルジョアジー)」と「持たざる者(プロレタリアート)」の闘争になっていた当時、持たざる者による暴力革命を目指す考え方が大きな力を持った。それがヴォルシェビズムだ。恐ろしい考えだけど、当時のドイツでは流行っていた(日本でも60年代は大流行だった)。それを警戒するSPDは常識派だ。でも、社会が危機的状況の場合、常識派は叩かれやすい。当時ヴォルシェビズムの主流はオップロイテとスパルタクス団の二大派閥(独立社会民主党の極左派。これ以降、独立極左とよんでしまう)。でもこの二つの派閥も仲が悪かった。

●またまた無断宣言(今度はシャイデマン)で進む物語
マックス大公の無断宣言によって皇帝退位は達成され、エーベルトに首相が渡された。でもどうやって国を治めたもんか。もともとドイツには議会があった。だから議会と政府が仲良くやったらいいでしょ、と私は安易に思ってしまうが、それは今の価値観にどっぷりだから。当時強かったヴォルシェビズムの常識は、議会じゃなくて労兵評議会(ソヴィエト)がいろいろ決めるんじゃぁ~、だ。たしかに、議会できめると「持つ者」の意見が通りがちだし、そうなるか。
ということで、権力の空白によってSPD(議会派)と独立極左(労兵評議会派)の覇権争いが勃発。皇帝強制退位と同じ日の午後、独立極左のリーブクネヒトが「共和国宣言」をするという噂が流れる。それを聞いたシャイデマンは、そりゃいかーん、と速攻で共和国宣言をしてしまう。でもそれはエーベルトに相談せずに独断での宣言だった。なので後でエーベルトに怒られる。あの顔で。超怖い。これによって、SDPは独立極左派を出し抜くことに成功する。しかし、マックス大公といい、シャイデマンといい、重要なことを無断でやっちゃう人たちだな。でも、重要さはある一線を超えると、そういう「誰かの暴走」的な形でしか前に進まないのかもしれない。

●顔写真からの妄想
エーベルトの顔を見ていると、私はどうしてもこのキャラを思いだす。この連想に違和感を持つ人は少ないだろう。

エーベルトの写真から連想される力強い人

すると、無断で共和国を宣言してエーベルトに怒られるシャイデマンは、こういう絵になる。

怒られるシャイマン

さすがに、シャイデマンはトム(つまり猫)には似てない。その通りだ。だれもがそう思うだろう。でも、シャイデマンの写真をずっと見ていると髪型が、猫の耳にちょっと似ているような気がしてくる。すると、トムの口の周りが白いところも、白い口髭シャイデマンとの共通点に見えてくる。そう思えるようになれば妄想は成功だ。私の妄想の合格ラインは低いのだ。
おっちょこちょいのシャイデマンは、ずるがしこいリーブクネヒトの策略にはまり、うっかり共和国を宣言してしまう。そのため、怖いエーベルトにこっぴどく怒られてしまう。そういうドタバタ劇のなか、ワイマール共和国というものは始まったのだ。(おわり)


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