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🌛白拍子とジャワガムラン「月影之川」(インドネシアの三つの言語、日本語と日本古語で歌い舞う六楽章の組曲)~その創作の舞台裏~(その5)

第五楽章 ジャワ語

“Kali lelayan bulan” カリ ルラヤン ブラン
これでジャワ語の「ムーンリバー」です。

 ジャワガムランのテンポは、曲によって2倍になったり1.5倍になったり1/2(半分)になったりします。テンポを握っているのは、太鼓奏者です。このシステムを採用して、1曲の中で、2倍の速さになる小節を作ったり、半分のテンポにしたりしています。そのたびに太鼓のパターンが変わるのがわかるでしょう。テンポが遅くなれるほど、太鼓の手(パターン)は細かくなります。1曲の中でテンポが変わることは通常のガムランではないので、太鼓の担当者には反則技を多用し、楽しんでもらいました。

二行目から三行目に行くと1/2の速さになっています。

 ペロッグ音階で、調はリモ。「シ・ド・ミ・ファ・ソ・ラ」で主音は「シ」。

第六楽章 インドネシア語

“Sungai berbayang bulan” スンガイ ブルバヤン ブラン
これでインドネシア語の「ムーンリバー」です。

 ついにこの曲で、一番目に白拍子は蝙蝠(かわほり、平安時代の扇)を持って踊ります。そして二番になると散華をし、三番で本尊の地蔵菩薩に今日の演奏のお礼をして白拍子は退場します。

 ラドラン(Ladorang)というジャワガムランの踊りの伴奏の形式で楽しく演奏します。

今回の太鼓の担当者カトシュン(加藤駿吾)くん 

太鼓の形式は
一番 スマランガン(Semarangan)
二番 ケバル(Kebar)
三番 退場曲
退場曲は、定旋律をサロン(Saron)とスルントゥム(Slentemg)が元気よく叩いてくれます。

サロン(Saron) 私家版 楽器事典より
ステントゥム(Slentem)jpedia.wikiより

調は、再びバランに戻ります。
古ジャワ語 その1  7分10秒
古ジャワ語 その2  5分50秒
ジャワ語 3分44秒
インドネシア語 3回繰り返して5分22秒

 結果として、古い言葉の歌は、一音を長く伸ばし、新しい言葉になると一音一音は早く移って歌うようになりました。

 このイメージは声明にもあります。人々は言葉を「一音のイメージ」から「異なる音の組み合わせが意味するイメージ」することによって、感じること(感性)から、わかる(理解)ことを要求してきた歴史を見ることができます。

 全てはムーンリバーでした。改めて「ムーンリバー」の訳を載せます。

「ムーンリバー」 ジョニー・マーサー作詞

ムーンリバーは
1マイルよりも広いけれども
ぼくは、君(川)を立派に渡るだろう。
いつかね
夢をくれる
ぼくの心を奪う。
君(川)がどこへ行こう(流れよう)とも
ぼくは一緒に行くよ。

二人(川とぼく)は流れもの
世界を探しに出かける。
こんなにもたくさんの世界があるから
それを見なくっちゃね。
ぼくたちは、同じ
虹の渡された先
曲がって下ったところで(土地)で、待っている
ぼくの友だちハックルベリー・フィン。
ムーンリバー


白拍子+ジャワガムラン 「月影之川~Benewi aweayang wulan」

ご来場を心よりお待ち申し上げます。
日時:9月30日(土)16:00開場16:30開演
場所:松本記念音楽迎賓館(東京都世田谷区岡本2丁目32−15)
公演の詳細はこちらをご覧ください。
https://www.sakurai-makiko.com/tsukikagenokawa2023


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