いつも、離れると寂しくなるもんだ。

2022年3月29日、部署異動前の最終出勤日。余韻に浸りたかったが、意外と予定が詰まっており、朝から忙しなく業務に取り組んでゆく。

新卒入社して3年間働いていた障害福祉の現場を離れることになる。2,3月頃から実感が湧いてきて寂しさを募らせていたが、最終日は気を引き締めないと涙が零れ落ちそうだ。

入社したときは正直自分の会社のサービスも福祉サービスもよく分かっていなかった。世界を変えたいという気持ちだけは一丁前にあって、「就労分野の対人支援なんだな」「困っている方の生の声を聴いて、力になりたい」くらいの理解で入社しているから、本当によくやってこれたなと思う。

支援は辛いことも苦しいこともたくさんあって、「こんなにも大変なことはずっとは続けられないな」とか「支援の専門職としてキャリアを極めていくことはなさそうだな」とどこかドライな自分がいた。けれど、いざ支援職を離れるとなると、びっくりするくらい自分が支援が好きだったんだと気づくよね(遅いね)。

毎日、日常の中に一つはふふっと笑えるような、そんな場面が支援の現場では散りばめられている。だから、仕事に飽きることはないし、日々あっという間に過ぎる(もちろん大変な出来事もある!)。私の中では仕事というより、大学時代の自分がやりたいことの延長線上にいる感覚だった。

自分が社会へのアプローチとして外へ動けば動くほど、頭をひねり出して支援の引き出しを増やせば増やすほど、何かが変わる実感を確実に持つことができて、知識や繋がりが増えれば増えるほど、どんどん面白くなる仕事だった。働くことがGOALではなくって、働くことを通して人生の様々な選択肢が切り拓かれる瞬間を目の当たりにして、支援員という仕事の可能性を十分に感じているし、この仕事に誇りも持てるようになった(支援に終わりはないので、まだまだ未熟であることに変わりはないことを承知の上で!)。

「3年頑張ってきたな私」と自分への労いの気持ちと共に、この楽ではない仕事を続けてこれたのはやはり一緒に働いてきた同僚に恵まれていたことに尽きる。もう他の会社で働けないんじゃないかと思うくらい、人という面ではきっと社会の荒波にもう耐えられないくらい甘やかされてきた。

「そんな大好きな同僚が笑って、働けますように。」これが私の最大の願いだ。今はただ祈ることしかできないが、今後しっかりそこにコミットしていけるように、自分が影響力をつけて現状を変えられるように。異動先の採用部でパワーアップしていきたい。

まだまだ福祉の現場では働く方への心身のケアが十分ではないことへの違和感もこの肌で感じているし、それ故の突発的な人員不足による業務量の負荷増加から生じる慢性的な疲弊もこの目で見てきた。「今、障害福祉の現場では何が起こっているのか、当事者の方は何を求めていて、どうすれば長期就労できるのか。」この今までの視点にプラスして、「じゃあ当事者の方に向き合う支援者は何を求めていて、どうすれば笑って働けるのか」ということを私の問いとして今後心に留めておきます。

yosettiとMOTHER HOUSEのブックカバー

桜の満開宣言があった小雨が降る夜に、同僚にもらった牛革のブックカバーと色紙を持って一人帰り道にこんなことを思っていた。独特ななめしの香りは好きだ。新しい場所でくじけそうになったとき、この香りを嗅いで充電していこうじゃないか。

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