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ムーンショット計画



内閣府のホームページにひっそりとムーンショット目標なる計画が掲げられている。
大々的に、または頻繁に報じられているわけではなく、この存在を知らない人も多くいると思う。

少子高齢化社会や気候変動問題など重要な課題に直面する日本。こうした課題に対して人々を魅了する野心的な目標(ムーンショット)で対処するとして、以下のような経緯で国が設定した。


日本発の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来技術の延長にないより大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発(ムーンショット)を推進するためとするムーンショット型研究開発制度を制定し、2018年12月の総合科学技術・イノベーション会議で2050年までの6項目のムーンショット目標を定めた。

目標1.人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現


2050年までに、複数の人が遠隔操作する多数のアバターとロボットを組み合わせることによって、大規模で複雑なタスクを実行するための技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。
2030年までに、1つのタスクに対して、1人で10体以上のアバターを、アバター1体の場合と同等の速度、精度で操作できる技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。

目標2.超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現

2050年までに、臓器間の包括的ネットワークの統合的解析を通じて疾患予測・未病評価システムを確立し、疾患の発症自体の抑制・予防を目指す。
2050年までに、人の生涯にわたる個体機能の変化を臓器間の包括的ネットワークという観点で捉え、疾患として発症する前の「まだ後戻りできる状態」、すなわち「未病の状態」から健康な状態に引き戻すための方法を確立する。
2050年までに、疾患を引き起こすネットワーク構造を同定し、新たな予測・予防等の方法を確立する。
2030年までに、人の臓器間ネットワークを包括的に解明する。

目標3.AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現

2050年までに、人が違和感を持たない、人と同等以上な身体能力をもち、人生に寄り添って一緒に成長するAIロボットを開発する。
2030年までに、一定のルールの下で一緒に行動して90%以上の人が違和感を持たないAIロボットを開発する。
2050年までに、自然科学の領域において、自ら思考・行動し、自動的に科学的原理・解法の発見を目指すAIロボットシステムを開発する。
2030年までに、特定の問題に対して自動的に科学的原理・解法の発見を目指すAIロボットを開発する。
2050年までに、人が活動することが難しい環境で、自律的に判断し、自ら活動し成長するAIロボットを開発する。
2030年までに、特定の状況において人の監督の下で自律的に動作するAIロボットを開発する。

目標4.地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現

【Cool Earth & Clean Earth】
2050年までに、資源循環技術の商業規模のプラントや製品を世界的に普及させる。

【Cool Earth】
2030年までに、温室効果ガスに対する循環技術を開発し、ライフサイクルアセスメント(LCA)の観点からも有効であることをパイロット規模で確認する。

【Clean Earth】
2030年までに、環境汚染物質を有益な資源に変換もしくは無害化する技術を開発し、パイロット規模または試作品レベルで有効であることを確認する。

目標5.未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出

2050年までに、微生物や昆虫等の生物機能をフル活用し、完全資源循環型の食料生産システムを開発する。
2050年までに、食料のムダを無くし、健康・環境に配慮した合理的な食料消費を促す解決法を開発する。
2030年までに、上記システムのプロトタイプを開発・実証するとともに、倫理的・法的・社会的(ELSI)な議論を並行的に進めることにより、2050年までにグローバルに普及させる。

目標6.経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現

2050年頃までに、大規模化を達成し、誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現する。
2030年までに、一定規模のNISQ量子コンピュータを開発するとともに実効的な量子誤り訂正を実証する。

2020年1月に目標7が追加された。

目標7.主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステイナブル(sustainable 持続可能)な医療・介護システムを実現

【日常生活の中で自然と予防ができる社会の実現】

2040年までに、免疫システムや睡眠の制御等により健康を維持し疾患の発症・重症化を予防するための技術や、日常生活の場面で個人の心身の状態を可視化・予測し、各人に最適な健康維持の行動を自発的に促す技術を開発することで、心身共に健康を維持できる社会基盤を構築する。
2030年までに、全ての生体トレンドを低負荷で把握・管理できる技術を開発する。

【世界中どこにいても必要な医療にアクセスできるメディカルネットワークの実現】

2040年までに、簡便な検査や治療を家庭等で行うための診断・治療機器や、一部の慢性疾患の診断・治療フリー技術等を開発することで、地域に関わらず、また災害時や緊急時でも平時と同等の医療が提供されるメディカルネットワークを構築する。また、データサイエンスや評価系の構築等により医薬品・医療機器等の開発期間を大幅に短縮し、がんや認知症といった疾患の抜本的な治療法や早期介入手法を開発する。
2030年までに、小型・迅速・高感度な診断・治療機器や、医師の医学的所見・診断能力をさらに引き上げる技術等を開発し、個人の状況にあった質の高い医療・介護を少ない担い手でも適切に提供できる技術基盤を構築する。


【負荷を感じずQoLの劇的か改善を実現(健康格差をなくすインクルージョン社会の実現】

2040年までに、負荷を感じないリハビリ等で身体機能を回復させる技術、不調となった生体制御システムを正常化する技術、機能が衰えた臓器を再生・代替する技術等を開発することで、介護に依存せず在宅で自立的な生活を可能とする社会基盤を構築する。
2030年までに、負荷を低減したリハビリ等で身体機能の改善や在宅での自立的生活をサポートする技術、不調となった生体制御システムを改善する技術を開発する。

どれも非常に左翼的な発想であるが、なんとも非現実的で珍妙な計画である。
目標1をよく見ると体を機械と取り替え(サイボーグ)脳にマイクロチップを埋め込むような事が書いてある。この様な事を誰が望むのか。

日本が世界に先駆けた先進的な計画としているが、本当に日本人自ら考えているのだろか。日本人の将来のために、日本政府が真面目に考えているというのだろうか。海外の誰かに押し付けられ、日本人をモルモットにしようとされてはないだろうか。

トランスヒューマニズム

古くからトランスヒューマニズムという思想・概念がある。人間の身体と認知能力を進化させ、人間の能力を飛躍的に向上させようという概念である。
トランスヒューマニズムは人間の機能拡張やその他将来の科学技術の発展により、起こりうることを研究する学問でもある。

その思想を具現化しようとする人物が2016年のアメリカ大統領選挙の立候補者の中にいた。それが、自分の体と機械を取り替える時代が来ると主張する「トランスヒューマニスト党」のゾルタン・イシュトヴァン氏である。
イシュトヴァン氏の主張によると「科学技術の力によって人間の精神的・肉体的能力を増強する。人間にとって不必要で望ましくない状態を克服しようとしていた」と説明する。つまり、映画『ロボコップ』の主人公のように身体と機械を融合させたサイボーグも、人類の進化のための方法の一つなのだという。

2016年、イーロン・マスク氏のスタートアップ企業ニューラリンク(Neuralink Corporation)は、まさにトランスヒューマニズム、強化人間の開発を目的として設立された。
ニューラリンクは2020年8月、コインほどの大きさの脳直結型装置を豚に埋め込んで、元気そうに活動しつつ、リアルタイムでデータを取得できている様子を披露した。

ニューラリンクは、2020年の第2四半期に志願者による臨床試験を開始する計画で、米国食品医薬品局(FDA)の認可を待っている。頭蓋骨に8ミリメートルの穴を4つ開けて糸状の電極を挿入し、耳の後ろのインプラント(埋め込み機器)に神経細胞のデータを送る。そして、そのインプラントからコンピューターに情報を送信する。スケジュールはかなり野心的なもので、控え目に言っても実現の可能性は低い。

また、ニューラリンクは脳チップシステムで、脳で直接音楽を聴くストリーミングを開発するとも。
これは人間の脳とコンピューター端末を繋ぐシステムで、既にサルでは実験済みだという。

サイバネティック・アバター

ムーンショット計画の目標1にある2050年までの目標とはトランスヒューマニズムに他ならないのではないか。ロボットを遠隔操作まではよいが、身体を強化し脳にチップを埋め込むようなことは倫理的にも法律的にも問題となってくるのではないだろうか。
こういったことを国民に広く知られないうちに計画を進めていく事が非常に問題であると考える。

ゆりかごから墓場まで

ムーンショット目標3にこの言葉がある。第二次大戦後、英国が社会主義化する中でイギリス労働党が掲げたスローガンである。しかしながらこの政策は膨大な財政支出をもたらし「英国病」へと発展した。
“ゆりかごから墓場まで”という台詞は、生まれてから死ぬまで管理されるという社会主義的スローガンであり、決して安心感をもたらす言葉ではない。


ムーンショット計画は、日本人奴隷化計画が正解ではないかと思えてならない。

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