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eスポーツチーム向けの事業計画の項目を考案したい

皆様こんにちは

chouetteの桜野はるです。

さて、今回はeスポーツチームに特化(?)した事業計画書のテンプレを考案してみました。

一番最後にテンプレシート(Word)とデザイン案を盛り込んだスライド(PowerPoint)を有料販売しているので、よければご活用ください。

前もって言うと、内容の9割が殆どの業界に共通する項目で、5分が殆どのeスポーツ産業に共通する項目で、残り5分がeスポーツチームやコミュニティ事業に関連するような項目と思ってください。

なので、100%eスポーツチーム事業に特化したテンプレではなくて、95%はeスポーツ業界全体に共通するような項目であり、残り5%がeスポーツチーム独自の項目が盛り込まれていると思っていて貰えればなと思います。

事業計画書とは?

そもそも事業計画書ってなんやねん。
って思って人も中にはいると思います。

読んで字の如し「事業」を行うための「計画」を記した「書」です。

具体的にどのようなことを書くのかはこのあと説明します。

この事業計画書がどうして必要なのか。
それは、自分の事業はどのようにして進めていくのかを言語化することは、とても重要であるからです。

どうして重要なのか?

例えば、eスポーツチームに投資をしてもらうとしましょう。

その時に「あなたの事業はどこまで成長するのですか?」と言われます。
ほぼ間違いなく言われます。

投資するよ!
と言われてこのフレーズを言ってこないということは、信頼関係が濃い人かヤブ投資家(=詐欺?)のどちらかでしょう。

さて、このように「他人」に事業内容を伝える時に自分の言葉(=熱意)に加えて、補助資料として計画書を見せることによって、詳細な内容と自分の熱意の伝わりやすさが違います。

なにより、どのような内容をどこまで考えているのか。
これが明確になるので、本気度の伝わり方が全く違います。

簡単に事業計画書の必要性を説いたところで、早速事業計画書の話に入りましょう。

事業計画の内容を下準備する

何をするにも準備というのは必要になります。
事業計画書を作る前に、その事業計画書は何に使うものなのかを考えておく必要があります。

誰に対して見せるものなのかによって、冒頭でいう9割の部分が変わります。

今回は「銀行融資」や「投資家への出資依頼」を想定して作ります。

以下の項目を想像してみてください。

創業時の売上高と純利益
1年後の売上高と純利益
3年後の売上高と純利益

そして、それらの根拠となるKPI(=重要業績評価指標)
KPIとは、目標を達成する上で、達成度合いを計測・監視するための指標のことを言います。
わかりやすく言うと、目標・ゴールに対する達成の度合いを計測するために設定する指標のことで、目標の達成に必要な「進捗を客観的に把握する」ために指標を設定することにより、今ある数値や達成までに必要な工程を正確に把握することができるようになります。

例えば、戦略と整合という観点を持ったとして、KPIは「戦略と整合しているかどうか」という設定をしたり、分かりやすさという観点を持てば、KPIは「具体的かつ定義がシンプルか」という設定をしたりします。

これらが想像できたら次の下準備に進みます。
これは大きく分けて6項目あり、下準備の中でいちばん重要な部分です。
むしろ、この6項目が事業計画書の9割5分を占めていると言っても過言ではありません。

1.エグゼクティブサマリー

エグゼクティブとは、企業の上級管理職などを訳されたりします。
サマリーとは、簡単にいうと「まとめ」ということ。

つまり、この事業計画を執行する人たちのまとめを書きます。

具体的には以下の8つです。

・機会/解決する問題
→事業が解決する課題、もしくは事業をやるべきといえる機会

・事業内容
→サービスやプロダクト

・トラクション
→これまでの実績

・強み
→会社、組織としての強み

・市場環境
→市場の推移、対象となる市場、などのマーケット情報のサマリ

・経営チーム
→経営チームの経歴など

・成長戦略
→1枚で成長戦略をまとめる

・資金調達の概要
→調達額と資金使途をビジュアル重視で明記する

これらを準備します。
今回の場合は資金調達を想定しているので、最後の項目を入れております。
が、資金調達を目的としない事業計画の場合はここを省くか、どこからどれくらいのお金を事業に当て込み、その使いみちをどうする予定なのかを書き込むということでもいいと思います。

2.会社概要

・実現したいビジョン
→ミッション、ビジョン、もしくは押したいフレーズ

・会社の基礎情報
→所在地や資本金などの基礎情報

・組織の沿革
→創業時は代表の経歴

・経営チーム
→経営チームの経歴を紹介
※人数が多い場合は代表と経営陣を分ける
※エグゼクティブサマリーと同じメンバーを記載の場合は同じ内容でも良い

・事業概要
→事業の概要を記載

・強み
→組織の強みを記載

・事業概況
→売上高推移や強調したい組織の情報

ここでは、組織がどのようなところなのかを自己紹介するシーンです。
お金貸してください! 投資してください!
って言ってくる人がどのような人たちなのかを知らないで投資や融資をするのは投資家や銀行からしたら「怖い」以外の感情が湧きません。

我々はこういう考えを持っていて、こういうことをしようとしている集団ですよ!
というような内容をここで記載しましょう。

3.事業内容

・機会/解決する問題
→事業が解決する課題、もしくは事業をやるべきといえる機会

・事業内容
→サービスやプロダクト

・マネタイズモデル
→収益化するイメージを簡潔に記載

・ビジネスモデル図
→ビジネスモデルの図解

・トラクション
→ユーザー数、特筆すべきKPI、クライアント一覧

・特徴
→競合と比較した際の特長となる特徴(特許、経験など)

ここのパートはすごく具体的になります。
こういうeスポーツチームを作りたいです!
だけでは不十分であり、実際にどういうeスポーツチームの構成をしていくつもりなのかを記載する必要があります。

どこでお金が生まれるのか、ステークホルダーとはどのような関係が生まれるのかなども合わせて記載するようにしましょう。

4.市場環境

・市場推移
→狙う市場の成長性

・市場規模
→市場規模の説明

・市場の特徴
→eスポーツ市場の特徴を説明

・狙う領域
→eスポーツ市場の中でどのような部分を戦略的に狙うのか

・同事業を営む競合企業比較表
→競合企業や組織の比較

・ポジショニングマップ
→2軸で作成

ここでは、eスポーツ市場とはどのような市場なのかを書きます。
今から戦うフィールドはどのようなものかを研究するわけです。

APEXとかでも、マップの形状やギミックなどを覚えて、一緒に戦う選手達がどこにランドマークを置いているのかなどを考えて戦略を立てますよね。

それと同じように、eスポーツ市場はどのような市場で、どういう人達が参戦していて、どのような状況になっているのかを分析する必要があります。

5.成長戦略

・成長戦略
→成長戦略を1枚でまとめる

・詳細
→成長戦略達成のための直近の取り組みとその詳細

・エクイティストーリー
→創業、現在、未来の成長ストーリー

・3カ年アクションプラン
→3カ年、もしくは5カ年のアクションプランの記載
※各年度の重要なイベント、売上高、調達や提携のスケジュールを記載

・中期経営計画サマリー
→3カ年もしくは5カ年の中期経営計画サマリーを記載

正直いって、事業内容:成長戦略の比率で考えると「3:7」の割合で成長戦略のほうが事業計画を構築する上で重要と考えます。

どんだけ事業内容がすばらしいとしても、成長戦略を立ててなければ成長しません。
eスポーツ選手も成長するためにゲームの練習をするのと同じで、成長戦略は重要になってきます。

とくに、最後の中期経営計画サマリーを出すために必要なのが「PL」と呼ばれるもので、収支計画を軸に立てていきます。

これは、事業内容のマネタイズモデルを基に「収益源」を割り出し、その収益源からどれだけの収益があるのかを根拠を基に作ります。
さらに、どれくらいのお金が出費として必要なのかを計上します。

大きく収支計画で出す項目としては以下のとおりです。

・売上高
・原価内減価償却費
・販管費
→役員報酬
 人件費
 法定福利費
 福利厚生費
 広告宣伝費
 接待交際費
 発送・配達費
 消耗品費
 賃借料
 士業報酬       など
・営業外収益
→最近でいうと一時支援金などの給付金や助成金、補助金など
・営業外費用
→銀行に支払う利子など

これらを出すことで、売上高・原価・粗利・販管費・営業利益・経常利益・税引前純利益・税引き後純利益を出すことができます。

PLの書き方については専門的な部分も関わってくるので、また動画だったり生放送で触れることにします。
待てないって人は本やGoogle先生に聞くなどしてください。

また、ここで言うPLは財務諸表のPLとは様式が違いますので、PLと調べるより「収支計画」と調べたほうがいいと思います。

6.資金使途

・これまでの資金調達
→過去に資金調達をした内容

・本件の資金調達の概要
→調達の目的、時期、金額、想定されるバリュエーション、株式種類

・資金使途
→資金使途の詳細

・優先したいこと
→評価額、決議権比率、株式種類、決議速度、各種出資条件など

・資金調達の状況
→現在決まっている投資家と決定調達額

・インベストメントハイライト
→組織の強み、成長計画、出資メリットなど

このパートの殆どは資金調達をするのであれば重要になる部分ですが、そうでなく、自己資金で完結すのであれば3番目以外とくに必要ありません。

考案したい項目

さて、下準備が完了したら書き始めます。

と、言っても、冒頭で言う9割5分は下準備で完了しているので、書き始めると言ってもデザインやレイアウトを考えるだけで、得にこれと言って新たな要素を加えることはありません。

では、残り5分をどうするのか。
それがこの記事の本題になります。

残り5分はeスポーツチーム特有の事業計画の項目を上の下準備の内容に加えるような形式で解説します。

3.事業内容
・チーム構成
→部門、チームメンバー(選手など)

・スポンサープラン
→マネタイズモデルの補助として追加 など

・チームの成長戦略
5.成長戦略は事業の成長戦略であり、チームの育成などに関する成長戦略は事業内容に記載 ・特徴に記載してもいい

・主な練習スケジュールとサマリー
大まかな練習スケジュールを記載しておくのもいいかも知れません。
細かいスケジュールは必要ありませんが、初期・中期・長期の練習スケジュールとそれらを行うことによって上記のチーム成長戦略が達成できる根拠と担保を記載できるとベストです。

・パブリッシャーとの関わりについて
APEXであればEA LoLであればRiot
ゲームの権利を持っている企業とどのような関わりを持つかによって、事業の成功性が左右されます。
自分たちが行う事業計画にどのような関わりを持ってくるかを明確に記載しておくことが重要かと思います。

eスポーツチームに特化した事業計画の項目としてはこのくらいでしょうか。
chouetteGamingも実際このような内容を事業計画に盛り込んでいます。

我々の場合は資金調達をすることを目的としておりませんので、資金調達関連のページは入れ込んでおりませんでしたが、それ以外の内容は殆どパワーポイントにして各方面にプレゼンをしておりました。

まとめ

内容は各企業や組織によって変わってきますが、事業計画の各項目については殆どが共通する部分です。

各項目について何を書けばいいかわからない、収支計画ってどのようにして作ればいいのかわからないという人は私のTwitterまでご連絡ください。

時間を多く消費する作業内容ですので、無条件で教えることはできません。が、できる限り寄り添って、皆様のeスポーツ事業に貢献できるようにいたしますので、相談は受け付けております。

【Twitter】
https://twitter.com/sakuranoharu7

テンプレ配布

以下、有料にはなりますが、プレゼン用(デザインは含まれておりません)PowerPointテンプレとWordテンプレを以下で配布します。

ぜひ、興味がある方は少し高めですがご購入ください。
※©株式会社chouette は削除して頂いて構いません

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