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月と飛行機

月は涙をこぼした石の礫となって光ってすぐに消えてしまったが涙だったもちろん飛行機には届かないどちらかといえば礫となった時点で飛行機には脅威であったはずだ飛行機にとってすればいつも視界にある美しい光であり方角と時間を見るに有難い月にとってすれば自由に移動する胸が焼きつくようなしかし愉快でもありこれはなんという感情だったかとにかく涙を落とさずにはいられない遠すぎて速すぎて見えないことの全てで礫が当たってしまえとも思いまた当たらずにいてほしいと願う夜が来る度に月を眺め帰りたいと願う気持ちはようやく消えました地に足が着いたのは子どもを産んでからですこの子を地上で育てなくては安全な地上で育てて育ててそれからどうするのだっけこの子もまた帰りたいと念じるのかしら例えば飛行機に乗っていればいつも視界にある美しい光であり方角と時間を見るに有難い月に

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