『ローグワン』ギャレス・エドワーズ

 今更感想を書くのも恥ずかしいのですが、ようやく見てきたので簡単に。

 タフな物語だった。スターウォーズはナンバリングタイトルを一通り見た程度のラフなファンでしかないものの、こんなに使命感を帯びたような話だったかなと。自分にとってのスターウォーズはもちろん銀河を救うというスケール感はあるんだけど家族や師弟といった濃密な人間関係の中で完結しているような狭さのある物語だった。そのイメージでいたら今回の物語は父が敵側にいることの混乱や受け継がれる意思はあったものの、それがメインというよりも、大枠で見るといろいろな立場の人たちが自分なりの信念を持って使命を果たしていくための壮大な物語なんだと感じた。だから見終わった後の感想はタフな群像劇であると。主役はもちろんジンなんだろうけど、盲目の剣士に目が行ったり志願した兵士たちが何を思って参加していたのかとか。なんかいい意味でこれは戦争映画だと強く感じた。

 一方でラストの20分はしっかりスターウォーズ。宇宙空間を舞台にしてのドッグファイトやらベイダーの無双ぶりといい問答無用で興奮させられた。個人的には序盤の仲間集めのあたりは詰め込まれすぎていたり、状況説明が多すぎるような気がいしてイマイチ入り込めていなかったのだけれど、ローグワンとして惑星に侵入してからは本当に圧巻。一人、また一人と倒れていく中で、全員信念を貫いて使命を果たしていく。爽快感もありながらそこには常に喪失感がつきまとっている。こうやって歴史のはざまで忘れられかけている仲間たちの物語を見せられると久しぶりに今までのエピソードを全て見直したいと思った。そういう意味で映画としてもよいものだったし、商業的にも影響力のある作品が作られたと思う。

 ファンタスティックビーストを見たときにも思ったが、人気シリーズの続きものというのは雰囲気をどこまで引き継ぐかというのが何よりも重要になっていくんだろうなと。もちろんフォースやライトセイバーといったスターウォーズと言えばの固有名詞があるとテンションは上がるのだけれど、仮になかったとしても、満足度は高かっただろうし、スターウォーズ世界に帰ってきた。この世界に浸れている。という感覚が問答無用で嬉しかった。

 一方でその雰囲気を作るというのはかなり曖昧な言葉だし人気シリーズであればあるほどもとの作品の原理主義者たちがいるはず。そういったファンたちの期待を裏切らずに今までの文脈を汲み取って物語を紡いでいける監督やクリエイターの価値がどんどん上がっているんだろうと感じた映画体験だった。

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