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詩『空き地の片隅で』

月が照らす空き地の片隅
うず高く積まれ
回収されるのを待つ
かつての宝物

擦り切れたぬいぐるみ
手足がとれた人形
タイヤのない車
誰かが遊んだ宝物

もらって歓声を上げ
一緒に写真も撮った
いつも一緒に過ごした
それらが今ここにある

全部は置いておけない
いつか別れる時がくると
分かっているけど
見ていると悲しくなる

持ち主と ともに歩んだ
喜びも悲しみも見てきた
言葉にできないだけで
一緒に感じていたんだからね

持ち主の思い出が
ともに過ごした時間が
価値を失ったようで
捨てられてるようで

でも見ててつらいのは
擦り切れたものでなく
壊れたものでもなく
きれいなままのもの

遊んでもらえなかったんだね
さびしいよ
悲しいよ
そんな声が聞こえてくる

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