荒神咲夜

はると&りまの、ユニットで活動しています。『そらの風 こころの灯り』と題して思いついた…

荒神咲夜

はると&りまの、ユニットで活動しています。『そらの風 こころの灯り』と題して思いついた言葉を、空を吹き抜ける風のように、時には心にともる灯りのようにお届けします。詩や小説、絵など公開していますので、どうぞよろしくお願いします。

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    温かく優しい詩、明るく楽しい詩、ちょっと暗めで不気味な詩まで、幅広い作風の詩をお届けします。

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    私達が読んでよかった本、面白かった本を楽しくご紹介します。 気になった本はぜひ、お手に取ってみて下さいね。

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    関西在住のはると&りまののお出かけを写真と文章で綴ります。楽しく読んでいただける記事をお届けしますね。また、お出かけの参考にしていただければ嬉しいです。普段の詩とは違う、紀行エッセイをどうぞよろしくお願いします。

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    人間に捨てられた犬、コロが主人公の連作です。旅をしたり友と出会ったり別れの時が来たり。そんなコロの生涯の物語です。

  • 『まぬけな天使 白ガラスのセツの物語』

    ☆セツは落ちこぼれの天使。ふだんは白ガラスの姿で、人間の世界にまぎれこんでいる。ドーナツ屋やハンバーガーなどのチェーン店にやとわれ、流しの歌うたいを趣味としている。 世界と人間と生き物たちへの愛があふれている。あふれた愛情が過ぎるのをとがめられて、天上界から落ちこぼれているが、全然気にしないで行動する。何万年も生きているわりに、スケールが小さい。小さき物が好き。美声である。

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詩 『そらの風 こころの灯り』

わたしは風。 はるかな海を渡ったり、空高く舞ったり、 自由にどこへでもいけるよ。 村の中を走り、街角を吹き抜ける。 でも一番好きなのは 音を木霊にして、人に届けること。 みんなに聞いてほしいから。 わたしは灯り。 はるか遠くまできらめかせ、闇の中を照らしたり、 自由にどこへでもいけるんだ。 船を案内し、旅人の道しるべにもなるよ。 でも一番好きなのは 光をぬくもりにして、人に届けること。 みんなに温まってほしいから。 わたしはそらの風。 わたしはこころの灯り。 吹き渡るよう

    • 詩『ちぎれ雲』

      風のいたずらか 積み重なった厚い雲から 小さなかけらが飛び出した 風に流されて ちぎれ雲が空をゆく 小さな影が地面に落ちる どこへゆく? 何が見える? 一人は寂しいかい? ねぇ ちぎれ雲 もし雨が落ちそうになったら 地上を見るといい 人は心を空に映し 夕焼けに 青空に 泣いたり笑ったりしてるからさ 人が見える? 声は届いてる? 一人だと思うことはないよ ねぇ ちぎれ雲 空は果てしなく広いだろう? そんな場所に君はいるんだね

      • 詩『過ぎゆく春』

        暖かな日を待ちわびて 咲き誇った桜が風に揺れ 急ぐように散ってゆく たなびく霞 揺れる陽炎 花吹雪に透ける空 花びらは風に乗り 街を照らす夕日に染まり 空のはたてに消えてゆく 朧な月にかかる雲 闇たゆたいて 浮かぶ花びらは夢まぼろし 桜 散る 桜 舞う 日毎夜毎に 過ぎゆく春 季節は移ろい 心に留めた花の姿も 日一日と 薄れゆく

        • 詩『新芽の雫』

          負けるものか 負けるものか 北風が吹いても 冷たい雨に濡れそぼっても きっと終わる日がくるんだ 止まない雨がないように 明けない夜がないように 終わらない冬があるものか 泣いてはいけない 涙を流すのは 悦びが湧いた時だ そう思いながら木は 冬を過ごしたのだろうか 春になったからじゃない 冬を越したから芽吹く 小さな新芽についた雫は 悦びに溢れた涙なのだろう

        • 固定された記事

        詩 『そらの風 こころの灯り』

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        記事

          詩『春賛歌』

          地面の下で 落ち葉の裏で 冷たい雨や 時には霜を 身を潜めてやりすごしてきた 枝に止まり 木の葉の陰で 吹きすさぶ北風 時には雪を 身を膨らませて耐えてきた 生きとし生けるものすべてに 少しずつ近づいているよ 待ち望んでいる春が ほら すぐそこに 雲に覆われていた太陽から 日差しが降り注ぎ 暖かな風が吹く日が来たら 芽吹いた草木の合間から 顔を出し 飛び回り 春の歌を歌おう 春になったとて 明日のことは分からないけど 希望を持って耐えてきたんだ 柔らかな風が吹き

          詩『春賛歌』

          詩『時の河の中で』

          悠久の時に比べれば 空の広さに比べれば ちっぽけという他ないけれど みんな生きている 日差しを浴びながら 風を感じながら 鳥も 虫も 魚も 花も 人も 今日という日を生きている 虫が顏を覗かせる 鳥が歌っている 花が笑ってる 魚が躍ってる 人が泣いている 悲しみを涙で流しながら 涙を雨で隠しながら 笑みを浮かべている 時の河の中では そんな日々 命の営みすら ちっぽけなものだけど それでもみんな 生きている 今日という日をひたむきに

          詩『時の河の中で』

          詩『届け! ぼくの歌』

          寂しい時 青い空の下で ぼくは歌を歌う 大きな空に寂しさが吸い込まれる 楽しい時 道を歩きながら ぼくは歌を歌う 太陽がいつもより眩しい 悲しい時 真っ赤な夕日に向かって ぼくは歌を歌う 悲しみが涙に流れていく 歌を歌っていると 嬉しい時はもっと嬉しく 悲しい 寂しい気持ちが半分になる だからぼくは歌が好き 誰かに聴いてほしいけど 上手くないから恥ずかしい 風が吹き抜けた 野原がなびく 草や花が揺れる ぼくは歌った 風が運んでくれるといいな 遠くまで飛んでいくとい

          詩『届け! ぼくの歌』

          詩『太陽』

          ぼくは風 空をひとっ飛びして 西の空に沈んでいく 太陽を眺めにいくのさ ぼくは雲 空を流れていって 東の空から昇ってくる 太陽を迎えにいくんだ 空を見上げれば 風の歌が聴こえないかい? 雲の足跡が見えないかい? 太陽はぼくらの行く先にある ぼくは雨 草木を洗い流すんだ また太陽が顔を出した時に きらきら輝くようにね 太陽が顔を出したよ 暖かな日差しが降り注ぐ ほら 何もかも輝いてる もちろん君も ずっと雨の下にいたこと ぼくは見ていたからね

          詩『太陽』

          詩『残香』

          ともにあった頃は 駆け抜けるようだった時間が 今は淀みにはまったように 同じところをくるくる回る ともにあった頃に 気づくことのなかった思いが 後悔とともに浮かんできて 面影ばかりを探している 当たり前と思っていた日々は 特別なものだった 本当に大切なことは 失ってから気づくものだ 山の向こうに消えた鳥や 途切れた足跡のように 辿ることのできない 物語の終わり 残された言葉を 記憶の中の音 映像を 繰り返し浮かべては よすがとする他ない 花が散るように 残り香もいず

          詩『残香』

          詩『空のしずく』

          夜の野原 草の葉についた一雫 鳥が落としていった涙? それとも…… 月の光が雫を輝かせます 草は大喜び きらきらの指輪をもらったから きれいだねと 虫たちが集まってきました 星が落ちてきたのかな 違うよ ただの夜露さ ぼく 喉が渇いたから飲んでいい? だめ だめ だめ 一匹が歌い やがてみんな歌い出し 雫を囲んで輪になりました 東の空が明るくなると 雫は黄色や赤に染まり 日が昇るとダイヤモンドのように まぶしいほど輝きました  でもお昼になると雫は ほんのちいさなかけら

          詩『空のしずく』

          『雪の女王』読んだ本 ご紹介!

          ハンス・クリスチャン・アンデルセン著『雪の女王』 『人魚姫』、『マッチ売りの少女』などアンデルセンの童話は子供の頃読んでいましたが、『雪の女王』を読んだのは初めてです。童話というよりはファンタジーや冒険小説と言った方がいいような作品でした。 今回のレビューはネタバレしますので、ご注意下さい。 あらすじ 悪魔が作った鏡は、よいものや美しいものは小さく映り、悪いものや醜いものは実際よりも大きく映ります。その鏡が砕け、粉々になって降り注ぎました。その破片が少年カイの目に入り、心臓

          『雪の女王』読んだ本 ご紹介!

          『はじまりの日』読んだ本 ご紹介!

          『はじまりの日』は1974年に発表されたボブ・ディランの「Forever Young」に詩人アーサー・ビナードが日本語訳をつけた絵本です。原詩はディランが息子のために書いたものですが、訳は平易な言葉でありながらどの世代が読んでもメッセージが伝わってくるような、普遍的な内容に昇華させているように思いました。とても素晴らしい訳です。 上の引用は『はじまりの日』の冒頭です。 語りかけの相手である ‘きみ’ への願いが全編通して綴られます。 自分の手で幸せを作ってほしい。人として

          『はじまりの日』読んだ本 ご紹介!

          詩『花は花として』

          花が咲いた 石竹の小さな花びらが 風に吹かれて揺れている しっかりと根を張り 葉を精一杯広げ 太陽の光を受けとめた 冷たい雨も浴びたし 風に折れそうにもなった 愛でられることもなく ひっそり咲いていても 咲く日のために 花は花として生きてきた 人は人として生きる 花開く日がくるはずと 耐え忍んできたのに 咲かないこともある でも 人知れず流した涙と 人知れず咲く花に 違いなんてあるだろうか? きっとどちらも同じもの きっとどちらも美しい

          詩『花は花として』

          『オツベルと象』読んだ本 ご紹介!

          今回は宮沢賢治『オツベルと象』をご紹介したいと思います。この話、読まれた方も多いのではないでしょうか? あらすじ オツベルは十六人の百姓を雇う経営者です。工場(作中では小屋)には新式の稲扱器械が六台据え付けてあります。そこへ白象がやってきます。身体も大きく力もある象を取り込み、労働者として働かせることに成功したオツベル。待遇は悪く、白象はだんだん弱って力が出なくなっていきます。それを知った仲間の象達によって白象は助け出され、オツベルは殺されるという話です。 擬音と比喩 独特

          『オツベルと象』読んだ本 ご紹介!

          『ぼくは ちいさくて しろい』読んだ本 ご紹介!

          和田裕美 著 ミウラナオコ 絵 クラーケン 『ぼくはちいさくてしろい』 絵がとてもかわいくて、ページも多くなく、子供向けの読み聞かせにもいい絵本ですが、内容は深いです。 一人ぼっちの小さな白いペンギンの物語は、 という言葉から始まります。 「どうしてぼくは~なのかな?」 小さなペンギンは質問を繰り返し、心の中にいるおかあさんが一つ一つ答えていきながら、物語は進んでいきます。誰かより劣ることを疑問に思う小さなペンギンを、おかあさんは決して否定しません。小さなペンギンの疑問

          『ぼくは ちいさくて しろい』読んだ本 ご紹介!

          詩『青い色は』

          雨が降る 濡れた人しか分からない 冷たさがある 涙が流れる 泣いた人しか分からない 胸の内がある 雨が川となり 滝となって流れ落ち 深い淵となるように これまで流した涙も 心の中に湛えられ 淵となっていくのだろうか 地図になく  知る人もない淵の 深さを知るのは自分だけ ぼくは願っている 雨が上がることを 雲が消え去る日を いつか青空が広がり 見上げる時が来たなら 一歩 踏み出してみよう 青は そういう色だから 旧年中はありがとうございました。 本年もどうぞよ

          詩『青い色は』