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詩『空のしずく』

夜の野原
草の葉についた一雫ひとしずく
鳥が落としていった涙?
それとも……

月の光が雫を輝かせます
草は大喜び
きらきらの指輪をもらったから

ジョン・エヴァレット・ミレイ
『露にぬれたハリエニシダ』
(画像は拡大できます)

きれいだねと
虫たちが集まってきました
星が落ちてきたのかな
違うよ ただの夜露さ
ぼく 喉が渇いたから飲んでいい?
だめ だめ だめ
一匹が歌い やがてみんな歌い出し
雫を囲んで輪になりました

東の空が明るくなると
雫は黄色や赤に染まり
日が昇るとダイヤモンドのように
まぶしいほど輝きました 
でもお昼になると雫は
ほんのちいさなかけらになって
夕方 西の空が真っ赤になる前に
どこにも見えなくなっていました

やっぱり夜露だったんだ
飲んでおけばよかったなぁ
虫たちがそんな話をしていると

ぼくはここだよ

暗い空から声がしました
見上げると 小さな星が一つ
きらきら 手を振っています

昨日は楽しかったよ
また遊びたいな

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