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詩『希望』


アルベルト・ブレドウ『冬景色』

旅人が歩いている
頭上を覆う黒い雲は 
遠く地平線につながっている

葉を落とした一本の木が
北風にさらされている
旅人がその下に立ち 見上げる

風や雪に折られたのか
枝が落ちている
小さな芽をたくさんつけていた

拾い上げ 旅人は思う

小さな 硬い芽の一つ一つが
やがて来る春を待つ
この木の希望なんだろうな

落ちた枝が芽吹くことはない
でも木は生きて 待っている
無数の小さな希望を持って

希望は春が運んでくるものでも
明日が持ってくるものでもない
外から与えられたりしないんだ

希望は 自分の中にある
自分自身が希望なんだ
自分を信じよう

落ちた枝になるのか
芽吹く日がくるのか
それより 前を向こう

歩いていこう

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