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詩『移ろい』

花びらが はらはら ひらひら
風に乗って 陽を受けて
きらきら 地面に落ちてゆく

風に舞い 雨に落ち
散れば もう戻らない
あまりに儚い花の移ろい

葉を落としてから 冬を越し
春を待っていたはずなのに
あまりに短い花の時間とき

あしたに落ち 夕べに消える露
風に吹かれ 形を変える雲
水面みなもに浮かび 流れて消える泡沫うたかた
陽とともに 動いてゆく影
時とともに 姿を変える街並みのように

すべてが移ろってゆく

朝に咲き 夕べにしぼむ月草
その消えやすい染め色のように
人の思いもまた 移ろってゆく

花びらが一枚 はらはらと
目の前を通りすぎる
それが自然の移ろいであっても
今この時を 記憶に留めよう



〇実は今年、まだ桜を見ておりません。
皆様の探訪記事を拝読していて、ふっとイメージが湧きました。
素敵な文章とお写真を見せていただきながら、なにゆえ暗めの詩になってしまったのか分からないのですが。。。

〈参考〉万葉集
朝咲き 夕は消ぬる 月草の 消ぬべき恋も 我はするかも 
(あしたさき ゆうべはけぬる つきぐさの 
         けぬべきこひも あれはするかも)第10巻
(現代語訳)
朝に咲いて夕方にはしぼんでしまう月草のような、消え入りそうな恋を
私はするのでしょう。

う~む、参考にはしたけれど……な歌です。

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