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#62メガネを建てる建築家③

前回に引き続き、JINSについての回になります。今回でJINSの話は最終回になります。

今回は前回、前々回で触れていた「JINSのメガネオーダーメイド(JINS版ZOZOスーツ)」の可能性について、掘り下げています。

◯ラジオ内容まとめ

ZOZOスーツとJINSの比較によって、JINSのオーダメガネの可能性についてほりさげています。

JINS一番の特徴は「表情」という数値化しにくいデータを扱える点でしょう。ZOZOスーツの場合は体型(=サイズ)という数値化しやすいデータを扱っており、数値化しやすいが故に"誰にでもできる"という危うさを抱えています。

「体型」=人の姿形

「表情」=人の動き

「表情」を扱う面白さは人の動きという、個人個人の"クセ"を扱う点です。例えば靴のオーダーメイドでも、その人の"歩き方のクセ"を靴に反映することで本当に履き心地の良い靴となるように、メガネの場合は"表情のクセ"を反映することで本当につけ心地の良いメガネになるのではないでしょうか。

しかし「表情」は数値化しにくいデータであるだめ、扱うには独自の手法が必要になるでしょう。JINS Design Project第三弾の役割はその手法の開発だったのではないでしょうか。

第三弾では4人の「表情」データから4つのメガネを製作しています。その4人の内訳は男女二人ずつで年齢もバラバラに振り分けられています。すなわち「表情」という人によって違うデータを、ある程度の型(性別、年齢、etc)に当てはめながら数値化していく、それに適したメンバー構成になっているように考えられます。

また、オーダーメイドをする際のデータをどうやって集めるのか、という点も重要でしょう。「体型」の場合は固定的なデータのため計測用のスーツによるデータ収集が可能です。「表情」はその時の気分で変化する動的なデータのため一つの数値で捉えることは難しく、動きの幅を抑える必要があります。そのためには複数枚の写真が必要になりますが、それらはSNSに投稿した写真から参照することができるでしょう。

JINSの最もクールな点は、ビッグデータを一から集めるのではなく、SNSの中にある膨大なデータの集まり=大量の写真を"ビッグデータ化"する点です。

オーダーメイドにはわざわざ計測しなければならない、という手間があると感じています。ZOZOスーツは計測スーツを届けることで解消しようと試みましたが、JINSの場合は計測すら不要で、スマホ・SNSの中の画像からチョイスして送るだけで済むかもしれない。チョイスする作業は、昔のアルバムをめくって思い出に耽るような行為と近く、楽しさや友人とのコミュニケーションを伴った作業になるでしょう。

JINSオーダーメガネは"人の動きのクセ"といった深い部分に踏み込みながらも、オーダー手間感を少なくし、なとかつ楽しさに変えていく、これまでのオーダーメイドとは一線を画すものになるのではないでしょうか。

以上がJINS Design Projectに対する考察になります。JINSが掲げる「これからの時代に価値のあるメガネ」というコンセプトが、どのような形で結実するのか。僕らの想像した、JINSオーダーメガネという答えが合っているのか。答えあわせのできる日を待ち遠しく思います。

ありがとうございました。






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