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はじまり

緊急事態宣言が解け、初めての月曜日。

世間はまさにウイルスとの勝負に勝った喜びとは束の間、電車に揺られてとぼとぼ帰路につく人で溢れている。

移ろう窓の外にはぼんやりとした住宅街のマンションの灯りが幾度となく通り過ぎる。

乗客は1人ふたりと姿を消し、満席の社内も次第にまるで3密を避けるかのように空席を開けていく。僕は耳の付け根をさすった。

ここから連れて行かれるのはさらに灯りが少ない。ドアの空くたびに軋む開閉音がノスタルジックな邂逅を告げる。

駅に着くや否や僕はマスクを外した。誰にも気を遣わなくてもいい。
新鮮な空気を身体に取り込み、空を見上げた。

星は見えなかった。

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