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私の好きなインドネシアポップス

今回は私の好きなインドネシアポップスについて書きたいと思う。

インドネシアの音楽といえばバリのガムランなどが有名だろう。インドネシアポップスを聞いたことのない人やインドネシアをあまり知らない人からすればどれほど独特な音楽なのだろうと思うかもしれない。しかし、インドネシアポップスは日本人にとって言葉の壁はあるものの楽しめる曲が多い。

今回紹介する曲は完全に私の個人的嗜好ではあるが、気に入ってくれると嬉しい。

Hindia -Secukupnya(必要なだけ)

映画"Nanti Kita Cerita Tentang Hari Ini"で使われ、人気の曲となった。その曲の素晴らしさは、哲学的な歌詞にあるように思う。普段口にしないような不安やネガティブな感情などを共有しようとする運びにある。特に私が好きな歌詞はこの部分だ。

Tubuh yang berpatah hati
Bergantung pada gaji
Berlomba jadi asri
Mengais validasi

心折れた身体
給料への依存
美しくなることの競い合い
確信はない

Dan aku pun terhadir
Seakan paling mahir
Menenangkan dirimu
Yang merasa terpinggirkan dunia

そして私もそうだ
まるで最も熟練しているかのように
世界の隅に押しやられたように感じている君のことを
落ち着かせる

Tak pernah adil
Kita semua gagal
Angkat minumanmu
Bersedih bersama-sama

公平などない
私たちはみんな失敗した
飲み物を上げて
一緒に悲しもう

「心折れた身体 給料への依存 美しくなることへの競い合い 確信はない」と否定的な言葉で畳みかけるが、次には「そして私もそうだ」と共感してくれる。他人の面倒を見ているものの自分自身は大丈夫なふりをしているだけで…と読み取ることができる。さらにここから、「一緒に悲しもう」と味方についてくれる言葉が続く。この言葉にリスナーは味方がついた気持ちになるのではないだろうか。

この曲には圧倒的に人を幸せにする言葉は使われていない。それにもかかわらず幸せな気分になれる曲として受け取れるのには、その皮肉のうまさにあるのだろう。

歌詞の日本語訳はこちらを参照ください。


Endah N Rhesa -Pulang ke Pamulang(パムランに帰る)

この曲はひたすらPamulang(ジャワ島バンテン州南タンゲランの都市)のことを歌っているのだが、素朴ながらもお洒落なアレンジは、素敵な田舎の風景を思い浮かべさせる。

女性シンガーの明るく優しい歌声は、初めて聞く人にもどこか懐かしいように感じ、親近感を覚える。私は、実際にはPamulangに行ったことはないのだが、この曲を聴いてからPamulangに行きたくてたまらない。


Kunto Aji & Nadin Amizah -Selaras(調和)

ゆったりとしたメロディーがとても心地良く、Kunto Aji(男性ボーカル)の声とNadin Amizah(女性ボーカル)の声にうっとりとしてしまう。

歌詞に注目すると、人生に焦っている男女が再奮闘しようとする様を歌っている。その再奮闘の決め手が「帰る家がある」という点であることから、一人暮らしをする私は思わず涙してしまった。

喧噪から離れたとき、この曲を聴きたくなる。


Kunto Aji -Terlalu Lama Sendiri(ひとりになりすぎた)

同じアーティストの曲になってしまうのだが、この曲は思い出した頃に聞きたくなる曲だ。

「おひとり様」を楽しんでいたつもりが、後に「おひとり様」を続けられないことに気づく。いったいどうすれば…という「おひとり様」を歌っている。

言葉のリズムが心地よく、クセになる曲だ。


Adhitia Sofyan -Sesuatu di Jogja(ジョグジャには何かある)

"Hey cantik" 「やあ、かわいい子ちゃん」と何度も話しかけるところがかわいい。歌詞は物語調で空想の世界へとリスナーを誘う。

この曲を初めて聞いたのは、ジャカルタの木目の美しいテーブルのあるカフェに座りコーヒーを飲んでいた時だ。だからなのか、今でもこの曲を聴くと、コーヒーの香りを感じ心が温かくなる。

歌詞の日本語訳はこちらを参照ください。

以上の5曲を今回は紹介させていただいたが、インドネシアにはまだまだ素敵な曲がいっぱいある。またいつかインドネシアポップスについて書きたいと思う。



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