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Reverb #58 日本酒の神様に出会った話

今回の日本出張では、とても特別な体験をしました。日本酒の神様に出会うことができたのです。そして神様はとても柔らかい感性の持ち主でした。

ご存知でしょうか?日本には日本酒の神様がいらっしゃいます。今回、私は多くの人のお力添えで日本酒の神様に出会うことができました。その神様とは、農口尚彦さんです。
彼は16歳から杜氏の道に入り、70年以上日本酒を造り続け、数々の素晴らしい日本酒を作り続けています。90歳になられた現在も石川県小松市にある農口尚彦研究所で酒造りに積極的に関わり続けています。


農口さんの作る日本酒は日本で、世界で認められた日本酒であります。世界のファーストクラスで、ノーベル賞のアワードなどで農口さんが手がけた日本酒が選ばれてきました。これはまさに世界が彼の日本酒を求めていた証でもあります。



今回、農口尚彦研究所を訪れることができた際に正直私はお会いすることが難しいだろうなと思っていました。なぜならその時の石川県も酷暑に見舞われていまして、90歳になった身では農口さんは外出は難しいのでは?と思ったのです(そのくらい暑い日が続いていますよね)。

しかし、神様は違いました。神様はやはり神様だったのです。


農口さんはわざわざ会う時間を作ってくださいました。もちろん研究所を見学できたことは私にとって本当に素晴らしい体験だったのですが、農口さんに直接お話を伺うことで、その体験はより光り輝きました。

どのような点が光り輝いたか。
それは彼の日本酒に対する想いが研究所の隅々まで行き届いていることを実感できた点です。


具体的に感じた点を挙げてみます。
農口尚彦研究所は日本酒作りにおいて最先端の機材を取り入れている場所と、昔ながらの手法を使っている場所がそれぞれ存在しています。全てが最先端でもなく、全てが昔ながらでもないのです。なぜなのか。それは農口さんが日本酒作りに関しての最先端の技術情報を全て理解し、工程を深く理解し「この部分は最先端の技術を取り入れるべきだが、この部分は手作業で行うべき」と判断することができたからです。最先端と手作業を積極的に取り入れ、どちらかに偏らないバランス感覚に感銘を受けました。

そして農口さんご自身の聞く力の凄さには驚かされました。農口さんは様と言われる杜氏さんですが、彼自身はお酒を飲めないそうなんです。驚きですよね。じゃあどうやって世界一のお酒を作ってるの?と感じる方も多いでしょう。
どうやって世界最高峰の日本酒を産み出したか。それは根気よくデータリサーチとマーケティングを続けたから、とお話しして下さいました。お酒を飲めない農口さんは作り続けたお酒についての感想を多くのひとに聞いてまわりました。そして作り続けた日本酒から取ったデータを書き溜め続けました。ここで集めたデータと根気よく収集したマーケティングはまさに生きたデータです。そのデータに基づいて作られる日本酒は自身の感性だけでなく正確なマーケティングと分析に基づいているのです。
生きたデータに素直に向き合う姿勢、これが彼がお酒が飲めないのに素晴らしい日本酒を作り続けることができる理由なのだなと感動致しました。

今回の研究所での様々な体験はまさに夢のような体験でした。そしてその体験を神様自らが会いにきてくださり、お話を頂くことができたことに深く感謝します。今回案内してくださったかたが「農口さん、ぜひKLのひびきに来て下さい!お迎えにあがり、全てご案内します」とお誘いしてくださったのですが「長い時間に飛行機に乗ることは厳しいので海外は厳しいかな」とのことでした。
とても残念でしたが、同時に今回このようにお会いできてお話を伺えたことで私は農口さんのスピリッツをきちんと受け継ぐことができたと思います。私は日本酒の神様の心意気を受け取って素晴らしい日本酒と共にこれからも世界で挑戦してきたいと思います。

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