見出し画像

思い出す為の遊びをしようよ【映画「少女は卒業しない」感想考察】

思い出す為の遊びをしようよ

映画「少女は卒業しない」主題歌
みゆな「夢でも」 歌詞一部抜粋

あなたを忘れない。

将来"あなた"を思い出す為の装置の対比が面白い。
何故、4人の少女の物語を描いているのに「少女"達"は卒業しない」というタイトルではないのか。

作田詩織(中井友望)は
坂口優斗(藤原季節)を思い出す装置として本がある。

後藤由貴(小野莉奈)は
寺田賢介(宇佐卓真)を思い出す装置として花火がある。

小宮山莉渚(神田杏子)は
森崎剛士(佐藤緋美)を思い出す装置として写真がある。

つまりは"あなた"への思いを"形"にし、抗うことのできない別れ(卒業)を受け入れようとしている。

しかし、山城まなみ(河合優実)は
佐藤駿(窪塚愛流)を思い出す装置としては記憶しかない。
形がない。
つまりは別れを受け入れきれない。

山城まなみが一人だけ違う構造を持っているからこの作品の主人公であり、「少女"は"卒業しない」なのかもしれない。

だが、山城まなみは"答辞"を読むことで別れ(卒業)を受け入れようとしている。

それぞれがそれぞれの形で、思い悩む姿は本当にキラキラとしていた。
世界の全てだった学校からの卒業。
"一歩踏み出す様"を丁寧に美しく描く。
この映画は最高の人間賛歌だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?