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失恋したら、犬飼おうっと。〜超絶ポジィティブ系ペットがあなたを癒す7分間〜映画『ミスター・ビスケット』

寒い冬が終わり、暖かな春が顔を出し始める卒業式シーズン。
春の訪れと共に数々の別れを経験する人もいるのではないでしょうか。

特によく聞くのはの別れ…

何を隠そう、筆者の私もそのひとり。
恋人と別れ、埋まらないぽっかりと空いた心の穴。
そんな時、誰かそばにいてほしい、話を聞いてほしい、励ましてほしい、と思った経験はありませんか?

今回ご紹介する映画『ミスター・ビスケット』は、失恋した心を超絶ポジティブなペットが癒す、ほっこり作品です。

クラシックな音楽と共に、自由奔放で人懐っこいミスター・ビスケットが全力であなたを癒していく7分間。
最後はきっとあなたも心を癒される。

映画の解説と一緒に、ペットが人間にもたらしてくれる効果を紹介して行きます!


ショート映画『ミスター・ビスケット』
〈監督〉Tom Levinge
〈作品時間〉7分44秒
〈あらすじ〉
恋人にふられたばかりで傷心気味の主人公ジョンは、友人の旅行中、犬の世話を任されることに。だがこの犬、なぜか人の見た目をしていた!(しかも人の姿に見えるのは私達観客だけ...)。ジョンは渋々ながらも”ミスター・ビスケット”と呼ばれる「彼」の面倒をみることにする。元々犬が苦手だったジョンに、ミスター・ビスケットはお構いなしにちょっかいを出す。「彼」のかまちょぶりにはじめはうざがっていたジョンだったのだが...。



◎ペットを擬人化したのは…?



劇中でジョンは視聴者には中年男性に見えていましたが、
日常生活を送る中でペットを人間と同じように捉えて言葉をかけたり、
深い愛情を注ぎながら過ごしている方も多いのではないでしょうか。

人は時にペットや機械などに対して、人間の感情や意図を投影し、擬人化する傾向があります。

ペットを擬人化することは、孤独感を解消しようとする側面であり、
これは「心のつながりを持ちたい」という人間の基本的な欲求なのです。

ペットは飼い主に忠実で、時には癒しや安らぎを提供してくれる存在です。
特に単身世帯や人間関係に悩んでいる人々にとって、ペットは心の支えとなる、といった話を身の回りで聞いたことがありませんか?

ペットとの関係は、相手に理解され、受け入れられ、愛されるというふたつの心のつながりを感じさせてくれるのです。

◎ジョンの癒し効果は科学的に証明されている?



劇中のジョンは最初こそミスター・ビスケットとの触れ合いを面倒くさがっていましたが、徐々に頭をなでたり、一緒に公園で遊んだりしてコミュニケーションを取っていきます。

このコミュニケーションのやり取りがジョンの傷心した心をどのように癒やしてくれたのか、今回は科学的な分野に目を向けて解説していきます!

実はペットとの触れ合いが人々に与える癒し効果は、科学的にも広く認められているのです。
ペットと触れ合うと脳内では「オキシトシン」「セロトニン」「フェニルエチルアミン」という3つのホルモンが活性化されます。

「オキシトシン」は、「幸せホルモン」として知られており、疲れやストレスを癒し、幸福感を与える働きがあります。ペットの中でも特に犬との触れ合いは、オキシトシンの分泌を増加させることが知られています。

「セロトニン」もまた、幸せや安定感をもたらす重要なホルモンです。ペットとのふれあいや日光浴などの活動によってセロトニンが増加し、イライラやストレスの軽減に効果があります。
 
「フェニルエチルアミン」は、恋愛ホルモンとして知られていますが、ペットとのふれあいでも分泌されます。この物質はストレスの軽減に効果があり、心身をリラックスさせることができます。

ペットとの触れ合いがもたらす心身のリラックスや幸福感は血圧や心拍数の低下にもつながり、人間の健康状態の改善に寄与するのです。


また、ペットと遊ぶことにはさまざまな効果があります。
ペットとの遊びは、「エンドルフィン」と呼ばれる幸福感を生み出す物質の分泌を促します。この物質の作用により、気分が良くなり、心の健康やホルモンバランスが維持されます。


更に、『遊び』に夢中になることは、認知機能の低下を遅らせる効果があると言われており、特に、認知症の症状を改善することが証明されているほどで、ペットとの遊びは、思考を刺激し、脳の活性化を促します。

現代を生きる人々は、多様化する社会の中でストレスを受けやすく、それが体調や日常生活に影響することも少なくないでしょう。

そんな現代人のストレスをペットは軽減してくれるのです。遊部ことを通して脳内をリラックスさせることで、日常の疲れやストレスを忘れることができます。劇中の二人のように思いっきり体を動かしてペットと遊ぶことは、運動不足の解消にもつながりますね!

◎犬が飼い主に抱きつくのはなぜ?

劇中ではミスター・ビスケットがジョンに人懐っこく接してシーンがたくさん見られました。
犬が飼い主に抱きつこうとするのにはいくつかの理由があるのです。

一つ目に安心感を求めること。
 犬は群れを持つ動物であり、群れの中での結束や安心感が重要です。飼い主に抱きつくことで、犬は安心感を得ると同時に、自分が守られていると感じ、犬自身がストレスを軽減することができるのです。

また、犬は愛情豊かな動物であり、飼い主に対する愛情表現や飼い主との絆を深めるために、抱きついたり体をくっつけたりするのです。

それだけでなく、喜びや嬉しさといった感情表現も含まれています。
犬が飼い主に抱きつくことは、喜びや嬉しさを表現する方法の一つで、ラストシーンでは飼い主が帰宅し、ジョンは自分の食事も放り出して勢いよく玄関まで迎えに行っていました。

ジョンが別れた彼女のことをミスター・ビスケットに話すシーンがありました。ですが、言葉が通じていないため、会話は成立していませんでした。
今は様々な研究がされ、ペットが自分の感情を伝えられる装置が開発されていますが、言葉の通じないペットと人間の関係において、飼い主との間で感情や愛情を伝え合うために、犬は抱きつくことでコミュニケーションを図るのです。

◎ペットは病気も治しちゃう!?

劇中でミスター・ビスケットは、失恋で傷心したジョンの心を癒し、治してくれました。
世の中には数多の病に苦しむ人々がおり、たくさんの治療法があります。
その中でも『アニマルセラピー』という療養方法を耳にしたことはありませんか?

アニマルセラピーとは、動物たちとのふれあいを通じて人々の心を癒す療法のことです。その一つとして、犬への読み聞かせが、読む能力に問題を抱える子どもの学習に有益な効果があるという研究結果があります。また、セラピードッグが注意欠陥多動性障害(ADHD)や自閉症などの発達障害に関連する症状を軽減する効果があるとされています。

また、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を抱える人に対しても、ペットが心の支えとなり、症状の緩和に役立つことが報告されています。
ペットの中でも特に介助犬を飼うことが、PTSDの症状の改善や社会的孤立の軽減につながるとされています。

社会的孤立や精神疾患を抱える人々にとって、ペットとのふれあいは重要な支えとなり得ており、ペットを通じて他人との交流が生まれ、社会的な孤立感を軽減し、人間関係を築く機会が増えるのです。

更に、ペットの世話を通じて顕示欲や責任感が高まることもあります。
ペットが飼い主を頼る存在でいてくれることで、飼い主は自分の存在価値を強く感じることができ、責任感や充足感を得ることができます。
また、ペットの世話を通じて、自分自身の世話をする能力や責任感まで高めることができちゃうんです!。

ジョンには通じていませんが、ミスター・ビスケットは『今日は人生最高の一日だね!』といつも言います。
このポジティブな気持ちがジョンの心を癒してくれた、見えないパワーなのかもしれませんね。

ペットを家族として迎え入れることは安易に推奨できない現実がいくつもありますが、この作品を見ると、街ゆく人々と共に歩くペットたちを温かい気持ちで見送っちゃいます。

まだ観ていないけど気になった方も、もう一度観たい方も、ぜひチェックしてみてください!
お読みいただき、ありがとうございました☺

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#アニマルセラピー #ペット #犬
#SAMANSA

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