ブレーキはECBで決まり?

 ブレーキの話もちょっとしておきましょう。とはいえまあ今時の電車であればブレーキは電気指令式ブレーキ(以下ECB)一択ですよね。HRDだとかMBSA-1だとかまあいろいろな方式がありますが基本的にこいつらは商品名と思ってください。きつねどん兵衛も赤いきつねも同じきつねうどんみたいなもんです
 で、ECBなんですがとりあえずあなたの設定した会社が三菱電機と取引していればMBSほにゃららみたいな名前で、ナブテスコであればHRDほにゃららという名前をつけておけばまあ突っ込まれることはないでしょう
 もし怖いのであれば「三菱電機と共同開発したABC-1ブレーキ」なんて言ってもいいと思います。実際大阪市営交通局(現大阪メトロ)のブレーキは実質MBSですが、OEC-1みたいに独自名称を付けています

分からなければ「電気指令式のABC-1でいいじゃないか」と大阪市交通局は示唆してくれました

 で、電気指令式には大雑把に言うとアナログ式とデジタル式があって、三菱のMBSなんかは3本の指令線を1と0に見立てて8通りのブレーキパターンを電装するデジタル式、HRDA-1なんかは1本の指令線に流れる電流量を読んで、ブレーキ指令とするアナログ式ですが、まあ気にする必要はないと思います。ぶっちゃけ現代の電車であればMBSA-1AかHRDA-1と書いておけば間違いありません。
 敢えてHRAとか使うのであれば1980年代の初期GTO車あたりに採用してみるのはいいのではないでしょうか。
 架鉄であれば1980年代前半の車両はHRA/MBS-R、90年代半ばからHRD/MBSAみたいなノリで十分かと思います。MBS-RだろうがMBSA-1だろうが機能的には大して違いはありません。とりあえずECBは車両の登場時期に合わせてブレーキを選べばいいと思います
 さて、全部の車両がECBならこれでめでたしめでたしなんですが、いわゆる電直車(SEDとかHSCとか言いますがまあこれも商品名です)とつなぐ必要がある場合、読み替え装置というのをどちらかの車両に併設しますね
 この装置は基本的にA/D変換を行うもので、たとえばブレーキ指令1を70kpaに設定されているのだとしたら、HRD側の「1」というデジタル指令をHSC側の電車に「70kpaだよ」と翻訳してあげる機構です。逆の場合はHSC側のBC圧を変換装置が読んで「67kpaだからB1だよ」とHRD側に返すわけですね

HSCで電制なしの4000形と連結する可能性があった(実際つないでた)3000形のブレーキ読み替え装置は、電空協調の際4000形のことを考慮してか心持空性重視のブレーキ指令を吐き出していた……ような気がする

 アナログの場合BC圧が必ずしもECBのノッチと一致するとは限りませんが、まあガクガクしますが誤差の範囲ですので気にするほどではありません
 それよりもHSC側の応答速度がだいたい2秒くらい、HRD側の応答速度が0.5秒くらいですから、この差による衝動のほうが気になるでしょうね。併結の際、こういったくすぐりを入れるのも面白いかと思います
 また、従来車との併結が前提なら、VVVF車でも敢えてHSC-Rとしてもいいかと思います。正直HSC-Rなんてブレーキを採用するのは正気の沙汰とは思えません(運転を考えるなら電制が安定してかかるHSC-Dの方がマシです)が、ブレーキ性能よりも互換性という意思表示になりますし、大規模民鉄並みの架鉄であれば、端境期を長く取って「HSCのVVVF車」を登場させてもいいかと思いますね
 まあいろいろぐだぐだ書いてみましたが、とりあえずよほどの理由がない限りVVVF車のブレーキは「電気指令式」と書いておけば間違いはありません

南海2000系は22001系と連結することを考慮してVVVFながらHSC-Rブレーキを採用。ただまあ回生ブレーキはおまけみたいな感じでブレーキ初速40km/h以下では回生は作動しなかった