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Sambor Villageだからできる旅を届けたい

それは「これって、ここでも食べられますか?」から始まった

ご家族で泊まりに来ていただいた10代の素敵女子がプノンペンでクメール料理の世界に魅せられたようで、ネットでわざわざ探してくれたのは、朝ご飯の定番・ヌンバンチョックと3時のおやつの定番・チェイチアン(揚げバナナ)。

この二つはマストで食べたい!!とキラキラして言ってくれたところから、ご家族の旅が動き出した。

お任せください。
なぜならば、Sambor Prei Kuk遺跡群の近くの村にはそのヌンバンチョックの麺を今でも昔ながらの製法でつくっているお家があるし、我らがSambor Villageの近所さんはコンポントムの町で1番の揚げバナナの名店である。

旅は、妄想から始まる

ヌンバンチョックのお母さんのところに行くんだったら、コミュニティガイドさんが一緒だといいな。

ヌンバンチョックは夕方から作り始めるから、ランチは遺跡近くのレストランにして1日コース。ハンモックにもテンション上がっていたから、木陰でお昼寝もぜひしていただきたい。

それでもまだ少し時間がありそうだから、ああ、かごのお母さんの家に行ってもらうのもいいな。ホテルで使っているあれを追加購入したいから、それを買いに行ってもらうことにしようか。

せっかく午後に村を訪ねるんだったら、朝の遺跡との出会い方も工夫したいな。
遺跡と今の暮らしが途切れずにつながっているのがSambor Prei Kukのおもしろいところだから、それを1日を通じて感じてもらえたらいい。いきなり遺跡に行くんじゃなくて、村を少し歩いてからにしたらいいかも。

そしたら、この間開催したbeautyhomeキャンペーンで訪ねたあのお宅を訪ねようか。初めてのルートだけど、コミュニティガイドさんにとってもきっと新しいアプローチでおもしろいはず。

頭の中に、明日、みなさんにこの人たちと、こんなふうに過ごしてもらったら幸せだなぁという場面がいくつも浮かんでくる。

この旅には、このご家族には、きっとダニーさんがいい。
頭の中の画面に、すっと自然に浮かんできたガイドのダニーさんに電話。
「娘さんからこんなふうなリクエストをもらってね。だからさ・・」
「ああ、いいねいいね。あのお家に行くのね。そしたら、それから・・」
と2人で明日の旅の場面を膨らませていく。
ランチのメニューはきっとこれが刺さると思うんだ〜。昨日プラホッククティヒを楽しんでくれてたから。
フルーツはレストランで出しちゃうより、市場で食べ歩きが良さそうだよね。
ヌンバンチョックのお母さんのところで製麺の様子を見せてもらったら、明日の朝はホテルでヌンバンチョックを用意するからさ。
ああ、村だとこの時間はなかなかないもんね。(ヌンバンチョックは時間限定)
そうなんだよね〜だから夕方出会って、翌朝食べることになるかな。

最初は遺跡に行くということだけしか決まってなかった明日が、お客様とダニーさんと私たちの間で膨らんで、何か楽しいことが起こりそうな明日になっていく。

ご家族には、鍵になるポイントだけ伝えて、あとはダニーさんとこの地域を知り尽くしたドライバーさんに委ねる。

以前だったら、心配だからとかいって、一緒に行っていた。
今は、信頼して委ねることで、そこから生まれる旅を歓迎できる。


ひとつの物語のような旅を

翌日、つまり旅の当日。
朝に見送ったご家族が「すんごく楽しかった。最高です」と夕方戻ってきた。
娘さんの手には、お母さんから買ったという作りたてのヌンバンチョックの麺。
「ちょっとだけ食べてみたかったんだけど、ミニマムがこの量だった!」とお母さんが笑っている。その手にはしっかり近所の名店の揚げバナナ。

その場で食べてみたいだなんて、最高に前のめり!

でも、この麺、どうしようか・・
明日まで持つのかなと言っていたら

ホテルのチームが「じゃあ、今夜、つくりましょうか??」と。

明日の朝用にもう魚を準備してあるからできますよ〜って。こともなげに。
しばらくするとヌンバンチョックのスペシャルディナー2品が登場。
お母さんのところで製麺され、お客様と一緒にここにやってきたヌードルたちが無事その日の晩ごはんになりました。
「よかった!あのお母さんのつくったやつを食べたかったんだ〜」ってにっこりしてくれた10代素敵女子にすっかりやられる。

知人の紹介で来ていただいたこちらのご家族。
お母さんから事前にいただいた「コンポントムって何をしたら面白いですかね?」という質問に「まずは来ていただいて。コンポントムに足を踏み入れてみたら、きっと旅が始まりますよ。」という極めて不親切な返信をしていたのだけれど、まさか、こんなに明確に旅のキーストーンが置かれるとは!
しかも娘さんからというところがまたうれしい。

余白をつくると旅は生まれる

コンポントムの楽しみ方を聞かれたら、必ず「事前に決めすぎないことです」と自信を持ってお答えしています。
余白をつくることで、生まれ出でるものがあるから。
シェムリアップやプノンペンでは「余白」をつくることがそもそも難しい。
行きたいところ、must go がてんこ盛りだから。
それを押し退けて余白をつくれるのは相当の上級者。
でも、コンポントムにはもともとそんなに、ない。
だから「なにしよっか」って、無理なく余白をつくってあげられる。

その「余白が生まれやすい状況」こそがコンポントムの最大の強みであり、面白さだと思っています。

今日 別の欧米系ゆったり旅のお客様にも、「ここの遺跡はどんなふうに回ればいいの?」と聞かれたので、村から遺跡に出会う流れの旅を提案してみたところ、とてもよかった。といって帰ってきていただいた。

ここの遺跡は今の暮らしと切り離されずにそこにある。
これってすごく、感覚として新しい!と感動を伝えてくれた↑のご家族。
それを感じ取っていただけて、改めてうれしいです。

余白から生まれる旅をつくる。それをSambor Villageに来る理由にしたいな。


旅の物語を見せてくれて、ありがとうございました!
冒頭の写真は主人公ヌンバンチョックさん

2023.3.15

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