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じわりと改装をしています。6月の記録

こんにちは。今日もカンボジアの真ん中コンポントムからお送りしています。
一つ前の記事に書いた、5月のハイライト全員で行ったStaff Trip。その成果のひとつが早速6月に現れました。

室内にいるときも、自然とつながっていられる状態をつくりたい

Sambor Villageは森のような庭とその緑に元気が宿るホテルです。
管理された自然を超えて、庭をすみかにする生き物たちもスタッフもお客様も含めてひとつの生態系のなかにいることを言葉を介さずに感じられることが魅力。

だから、癒される、のみならず、満ちていく。

なんとなく近くに他の生命を感じるって、想像以上に私たちに力を与えてくれます。

Sambor Village魂の庭 右端の建物がお部屋

が!

カンボジアは熱帯の国。雨季乾季を問わずそこにある熱風と湿度との戦い。

もちろんこの環境ゆえに蚊をはじめとした虫さんたちも元気です。なので、室内ではエアコン必須。加えて、平屋Villaで窓のすぐ外を人が歩くので、完全遮光のカーテンを採用しています。そのため、一旦お部屋に入ると意外に外の世界とのつながりが少ないのが以前から気になっていました。

繭のなかに入ったみたいですごくゆっくりできたよ〜と言っていただくこともあるんだけど、もうちょっとお部屋の外と中との境界線をゆるやかにしたい。

カーテンを開けた状態のお部屋 昼は外から見えない 夜は見えちゃう
カーテンを閉めるとこう(昼間・電気あり)
カーテン閉めた状態(昼間・電気なし)電気ないとやはり暗い

折しも、ホテルでのエネルギーコストをどうやって下げるか、と、施設内循環をどう上げるかということが去年の洪水以来の教訓であり、今年に入ってひょんなことから“パッシブ(Passive)建築“という概念を耳にして、どうやったら外からのエネルギーをできるだけ使わずに、ホテルの敷地や周辺ににあるものの力を借りて、より心地良い場所にできるか。これが、2023年上期の密かなテーマだったんです。

まず、室内に入る光の量を増やしたい。室内で緑が視界に入るようにしたい。
ではカーテンを閉め切らなくてもいい状態をつくるのはどうか。ということで、1番開口部の大きなガラスがはまった扉を磨りガラスに変えてみました。

それがこちら。

外からの様子 しかも夜の写真ですいません


・・が!

あれ・・?なんかちょっと想像してたのと違う・・?!
すりガラスは触れるほど近くに緑がないとむしろ見えない、という結末。
これにトライしたお部屋は敷地のほぼ中央にあって1番人通りも多い「見えちゃいやすいお部屋」なので、ここはこれでよしとする。
でも、他は・・。

実は擦りガラスの前に目をつけていたのが、ガラスブロック。

首都のおしゃれ素材屋さんのガラスブロック
探していた柄を見つけたものの、コンポントムで手に入るものの6倍の価格・・無理!

これを壁の一部に入れることによって採光と緑とのつながりの両方を実現できるのでは?

課題は、壁を壊すので、作業の工数がかかること。それゆえに換えやすい摺りガラスから着手したのです。

やっぱりガラスブロックか〜と言って入れたい柄の在庫を求めてバイクで走り回ったりしている間にStaff  Tripの日になり、行った先のシェムリアップで目にしたのは!

シェムリアップの最新オサレスポットの壁
お客様に配慮して外壁側から撮ったからあれだけど、素敵でした


これよ!まさにこれ!
そしていくつか回ったホテルたちもやはり、お部屋に外光と緑の風景をふんだんに取り入れるデザインになっていて、マネージャさんたちと話をしても、数年前まではむしろ外の世界と隔絶した空間が好まれたけど、いまはより開口部が大きくて、自然と近い距離にあることが望まれているよね、と所感を共有。

改装を担当するスタッフのみならず、他のセクションのスタッフも一緒になって、ああ、こういう感じだと見えないね。こうなってるのかぁと探索。

よし、そうだよね。やっぱり一思いに、やっちゃおう!

同じものを見たからこそ、できることがある

そして、Staff Tripから帰ってきた数日後。いよいよ着手しました。
以前から暗さが気になっていたスイートルームのバスルームから。

通常の倍のサイズのスイートルーム でも左奥のバスルームが閉め切りで暗い

まず、バスルームの窓を抜いて。

どかーん。実は緑が美しい。

次に、ガラスブロックを入れていく。

水平垂直をとって積むのがなかなか難しい。このあと2回積み直しをしました

そこから、こうなって。

仕上がり直前。このあと壁を磨いて白塗りします

そして、ついに!
緑の光ーーー!!

これ、バスタブ入ったら気持ちいだろうな〜 

そして、最終形態がこちら。さらに浴室部分のカーテンも色を変えています(鋭意、スタッフのお義母さんで仕立て屋さんの方が製作中)。本当に内側が見えないかどうかの検証も条件を変えて重ねました。光が入りやすいように椰子の枝の剪定もが庭チームがやってくれた。

Before/ Afterでお部屋全体のイメージが違うと思うんですが、どうでしょう?!

ちなみに、ガラスブロックを入れた状態の仕上がりイメージとしてチームに共有したもの。私の未熟なイメージ画でも同じゴールに行けたのは、もうStaff Tripのおかげというほかないw

iPadの写真編集機能のみ。見かねて手伝ってくれるヒーローとかいたら最高。大歓迎。

同じものを見て、きっとこういうふうに良くなるね、という頭の中の絵を一緒に持ちながらやることのパワフルさ。1回目の積み直しの時、嫌な顔されるかなと思ったけど、そうでもなかったのはきっと楽しかったStaff Tripの余韻のおかげ。
そして、目指しているところと、違うところが明確にお互いわかっているという安心。

こんなに赤裸々に改装の様子を出しちゃいました(見せていいのかこの裏側)が、このプチチャレ、まだ続いています。

そして、これに先立ち、去年の雨季、さんざん泣かされた雨水水漏れ問題は、ナイスガイなトタン屋さんとの連携プレーでStaff Trip前に全部屋雨樋リニューアル。

問題あったらいつでもくるぜというナイスガイ
雨樋を7センチ深くしました


今年はまだ、『天井から滝』事件、起きてません。かなり大胆な投資だったけど、あのタイミングでやってよかった!!

ということで、ゲストと自然の距離をさりげなく近づけながら、たくさんのいのちの中で生きるホテルを実現していきます。

2023.6.30
その月のうちにまとめが書けたという奇跡。



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