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プロダクトデザインのために、プロダクトデザインチームから異動した話

こんにちは、SmartHRデザイナーのさめまるです。noteではよくオープン社内報に登場しています。

社内いらすとや的ポジションな私ですが、メインはプロダクトのUIデザインをやってます。あ、いや、やってました。1年ほどプロダクトデザインチームにいたんですが、先日コミュニケーションデザインチームに異動して、ブランディングワークを担当しはじめました。
異動のきっかけはブランディングへの興味がでてきたことだけではなくて、主にプロダクトデザインチームの体制や業務の領域が変化してきたためです。UI/UXデザインという広い領域をカバーしていくためにデザインチームの体制を変えてみたという話です。

UI/UXデザイナーの領域ってめっちゃ広い

あらためて、UI/UXデザインの領域ってほんと広いですよね。ユーザーテスト・ヒューリスティック調査、ペルソナ設計、ワイヤーフレーム設計、デザインデータの作成...企業や個人によって、肩書きと領域の解釈はけっこう違いますよね。

現在SmartHRでは「UIデザイナー」「UXデザイナー」と領域を分けて募集してますが、以前は明確になっていませんでした。2018年10月に@oremega と同時に初のUI/UXデザイナーとして入社しました。当時専任PMがいなかったこともあり、ディレクター兼デザイナーとしてプロダクトを担当しました(カスタム社員名簿という機能です)。そのためPRDから仕様検討したり、ユーザーヒアリングに伺ったり、ワイヤーをかいたり、UIデザインをアップデートするためにデザインシステムの叩きとなるコンポーネントを作ったり色々してました。
広い領域をあれこれカバーするのは少人数チームの基本ですよね。

プロダクトデザインチームの役割が決まってきた

そんな体制もあっという間に変化していき、半年ほどでPMチームが立ち上がり、プロダクトデザインチームも4名になりました。開発体制が整いはじめたため「プロダクトデザインチームはここに責任をもつチームですよ」というチームコミットメントを定義しました。業務領域の宣言です。

・中長期的に担保できる効率的な UI デザインを行います
・ユーザー行動と欲求の特定から解決策の提示・提案( UX デザイン)を行います
・製品のブランドを担保します
・プロジェクトオーナーもできちゃいます

参考:愛しさと切なさと SmartHR プロダクトデザイン組織のバイブスのアゲ方と
当たり前ですが、メンバーそれぞれに得意だったり、重点をおく領域が違います。中でも私は「製品のブランドを担保します」という部分に重きを置いていて、表記文言をボイスアンドトーンを含めて決めていく「表記統一マンの集い」というサブプロジェクトをやってみたり、プロダクト内のイラストを担当したりしていました。
さて「Design Systems」という本には、ソフトウェアのデザインは機能パターン・認知パターンの2つから成りたっているとあります。ここでいう認知はUIの色やスタイル、言葉づかいなどから感じる「そのサービス(ブランド)らしさ」という意味です。この分類でいうと、私は認知パターンに重きを置いたメンバーであったためか、チームとして認知パターンに責任をもつことに課題を感じはじめました。

課題1 :認知パターンの判断軸が明確でない

実は弊社には明確なブランドガイドがまだありません。デザイナーらが各々にコミュニケーションをとったり、レビューしてきて、醸成された共通認識をベースにビジュアルデザインしている状態なのです。そのためレビューでは配色や言葉づかいが「はたしてこれはSmartHRらしいのか?」という議論に微妙にズレがあったり、主観になりがちでした。
機能のレビューは活発な状態に対して、認知になるととたんに議論が進まない状態です。とくにプロダクトデザインという性質上、「この画面だけテイスト」といった局所対応するわけにはいきません。プロダクト全体に適用するものを根拠なく決めていくわけにはいかないという背景も、いっそう進めづらさに輪をかけていたのかもしれません。

課題2:デザインシステムの開発についていけない

SmartHRには SmartHR UI というデザインシステムがあります。SmartHR UIはフロントエンドエンジニアとデザイナーの推進力でスピード感のある開発が進んでいます。対して、そのUIのビジュアルは認知面の根拠が薄い状態です。このままだとあるべきブランディングが考慮されていないままにデザインシステムが出来上がってきてしまう危機感がありました。

プロダクトデザイナーも一緒にブランドガイドを作ろう

この課題を解決するために「デザインの認知の良し悪しを判断するためのガイドライン」が必要になりました。ブランドガイドラインです。このブランドガイドラインの策定を、「ブランド構築」がチームコミットメントに」掲げるコミュニケーションデザインチームに託そうとしていました。しかしそれではビジネス観点が強いブランドになり、プロダクトへの落とし込みに苦戦する可能性もあると感じました。また個人的に、コミュニケーションツールでもプロダクトでも、CXを意識してタッチポイントに責任をもつ仕事なので、不要にデザインの領域を壁を作るようなことをしたくなかったというのもあります。結果、すぐにコミュニケーションデザインチームに異動することになりました。(たしか最初に相談してから3週間後くらいに異動しました。)その後マーケティング面の課題なども、ブランドをアップデートする取り組みがスタートしています。
異動して約2ヶ月ですが、プロダクトとコミュニケーションの両方に属しているような感覚です。ブランディングワークを中心としていますが、プロダクトのチームレビューやチーム定例にも出ており、認知面でのレビューを引き続きしている状態です。今後根拠となるブランドガイドができると、もっと積極的に議論ができたり、SmartHR UI をアップデートしたり、と展開していく予定です。

これから

機能と認知って対立関係になりがちですよね。
たとえば「テキストカラーは薄いグレーの方が世界観に合っている。だけどアクセシビリティを担保するために濃いグレーにすべき」というシーン。
プロダクトにおいて機能よりも認知が優先されることはまずないですし、特にSmartHRはBtoBプロダクトなので、後者の機能を優先すべきです。
だから対立するのではなくて、機能はクリアした上でブランドを魅力的に伝えていくためのプランCをさがすことが必要なんだなと日々感じています。そのためのチーム体制のチューニングをしたおかげで、今かなり違和感なくワークできています。

さて、このブログが私の仕事納めです。2019年にSlackにかいて自分で気に入ってるひとりごとを貼って終わりにします。ではまた来年!

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